第14話

*前回の5人での遊園地より


「史人、さくらちゃん! せっかくだから、ゆみちゃんとたく2人の時間も作ってあげない?」

遊園地で遊ぶのも中盤に差し掛かった頃、智がこんな粋な計らいを申し出てきた。

「うーん。ゆみりんともっと遊びたいけどー、結構楽しんだし、いいかも〜!」

「俺もいいと思うぞ」

「お、じゃあ俺2人に言ってくるなー、ついでにトイレ行ってくるわー」

少し離れたベントでアイスを食べる2人のもとに智が走って行った。

「智くん、いい人ー! ってか智くんアイス食べるの早すぎだね!」

ふふふと笑うさくら。おい、智。いくら親友でも俺からさくらを奪ったら…、ってさくらは俺のものじゃないか。

「智なんでも食うの早いんだよな。俺はいっつも遅いけど」

「ゆっくり味わうのもいいよね〜、ふーくんの何味?」

「いちごのにしたー。さくらのは?」

「私、さくら味のソフトクリーム初めてみたから、さくら味にしたー! 食べてみる?」

おぉっと、突然の間接キス…。いや、小さい頃から別に分けっこなんてしてただろ。動揺するな、俺。

「あー、もらってみようかな」

へ、変じゃないよな…? 幼なじみの女子からアイスを分けてもらうだけ。落ち着け、史人。

「あ、せっかくだからー! あーん」

…おいおいおいおいおい! さくら、それはさすがにレベル高くないか! え? 俺達付き合ってたっけ? いや違う、落ち着け、俺。雰囲気的にやってみたくなっただけだ。落ち着け。

「お、おぅ。あー…」

「美味しいよねー!」

「おー。うまいな」

…ドキドキしすぎて味なんかわかるか! あー、心臓に悪い。

ティロリロン♪

「あ、メール。智からだ。ん?」

「智くん? そーいえば戻って来ないし、あれどこ行ったの?」


【1人でみろよ】

俺はアイスで腹を壊したことにして、さくらちゃんと2人っきりのデートを楽しみなさい。先に帰ってるなー! 楽しかったぜ、また遊ぼうな!


智…。なんていいやつ。さっきみじめな嫉妬して悪かった…。

「ふーくん? 智くん何だって?」

「あ、あー。お腹壊しちゃったらしい、アイスで」

「えー! 大丈夫? お薬とか買ってきた方がいいかな?」

「いや! えっと、ちょっと落ち着いてる間に家帰るって。心配しないでほしいみたい」

「そっかー、心配だけど…。智くんの分まで楽しもうか!」


智、マジでありがとう。

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