第8話

「カップルってどういう会話するのかな〜」

またさくらがカップルの話をしています…。

「んー。普通の会話とかしてんじゃねーの、友達とするような」

おぉっと、まずい。また、彼氏への道から遠ざかるような発言だったんじゃないか?

「そっかー。今日あったこととか、たわいない会話するのかもね!」

何か、さくらが楽しそうってことはセーフか。

「あ!そーいえばね、この間カップルがゲームしてたー!10回クイズだっけ?懐かしかったな〜。私もあーいうの彼氏とやってみたーい!」

10回クイズ…。あのピザとか、ひざとかのやつか。カップルにはあんな遊びすら楽しいというのか。俺はまだその領域まで達していないのかもしれないな。

「俺とやってみるか?」

…10回クイズくらい小学生もやるし、いいよな?

「ふーくんとやるの? 練習みたいな?」

めっちゃ笑ってる。なんだよ、10回クイズはカップル限定の遊びかよ!

「まぁいっか! 練習でやろ〜! 楽しそうだし! カップルさんがやってたやつねー」

乗り気になったみたいでよかった…のか?

「じゃあ、いくよー! ふーくん答える人ね!」

「お、おぉ」

「じゃあ、ふーくん 『好き』って10回言って!」

…ん? え? え!? 『好き』って!? ずっと言えなかったのにこんなタイミングで急に『好き』って言うの!? 10回も!?

「ふーくん? ふーうーくーん? 10回クイズ身構えすぎじゃない?」

笑ってんなよ〜。一大事だぞー。ここは男らしくやると言ったらやらないとな…。

「す、すき。すきすきすきすきすきすきすきすきすき!」

はっずかしー! いや、ここからクイズ。頑張れ、俺。カップルのクイズに負けてられない!

「ふふ、ありがとー!」

…!?

「好きって言わせるクイズなんだってー! カップルって感じだよね〜、ふーくんも引っかかったし〜! 面白かったー!」

カップルさん俺の寿命縮めに来ないで…。頑張ったのに、そんなオチあります…? 翻弄された俺の気持ちも考えてくれません?

「お、おー。引っかかったわー」

「テンション低〜! やられる側は面白くないのかー。私は楽しかったからありがと!」

「楽しかったならよかったわ」


…あーあ。まぁかわいいから、なんでもいいか。

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