第9話

「さくらー、帰んないの?」

おっと、不機嫌モードか…? 俯いたまま動かないぞ。

「ふーくん…。助けて…」

「え?」

「もうすぐテストなのに数学が全然わかんないのー!!」

あー、もうそんな時期か。さくらが、我ながらそこそこの頭を持つ俺を頼ってくる幸せな季節。テストありがとう! テストに感謝してるのなんて俺かガリ勉くんくらいだろ!

「おー、勉強見てやるから落ち込むなって」

「だって、この間も赤点ギリギリだったのー…。ふーくんいっつも教えてくれるのにごめんね。今回もお願いしていい…?」

かわいい! テスト…最高! ありがとう、数学のできる俺!

「気にすんなって。さくらがさくらなりに頑張ってるのはわかってるから頑張ろう、な?」

ちょっとカッコつけたくらいにしたりして。俺って頼れる男なんじゃないのー!

「ありがとう! ふーくん! よろしくお願いします」

丁寧に頭を下げてくる姿すら愛らしいのはもう重症ですね。

「任せとけ!」


テストまで幸せな放課後が待っている!!

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