第3話

「ふーくん! おはよう! 聞いて聞いて!」

今日も迎えに来る幼なじみはもう当たり前ですか。

「んー、どしたー」

「昨日行ったカフェの店員さんがイケメン過ぎた! イケメンと恋したいわ〜」

どこぞの男だ、そいつわ! 俺は断じて許さんぞ! ってか隣のイケメンはどうしました〜? あなたの隣には何年もイケメンくんがいるんですよー!

「イケメンなら誰でもいいんか。カフェとか行くんだな、さくらも」

「誰でもよくはないよー、何かときめくような事件が起きて、運命的に恋するのー!」

理想がお高いようで。俺は白馬にでも乗って、現れればいいんですかね?

「ときめく…ねぇ」

「ふーくんはときめくことないの?」

なんだその質問は! 常日頃お前にときめいてんだよ! 今だってなぁ、そんな上目遣いで見てくんなよ、ちび! かわいいだろ、このやろー!

「あるんじゃね…?」

「えー! ふーくんがときめくとかウケる!」

今時の女子高生のウケるポイントが俺にはわかりませんよ。何で俺は好きな人に、ときめくことをウケられなきゃいけないんですかね!

「俺がときめいたら悪いのかよ」

「ふーくんはイケメンだからときめかせて生きたら?」

笑いながらなんてこと言うんだ! お前がときめけよ、ちび!

「じゃあ、手でも繋ぐか。さくら」

おいおい俺何焦って変なこと言ってんだ?

「あはは! 子供の頃みたーい! ってか私をときめかせようとしてどうする! 恋をするには好きな子をときめかせるんだぞ、少年!」


…好きな子をときめかせようとしたんだよ、バカ!

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