25話 誕生日

「「「「誕生日、おめでとうッ!!」」」」


 母さんが帰ってきてから2日後、心配していた事は何事もなく、僕は誕生日を迎える事が出来た。

 そして…朝、起きてきた僕に向けて言われた言葉がコレである。


 うん、確かに今日は僕の誕生日なのは間違いは無いのだが、朝一の挨拶としては『おはよう』が先なんじゃないかな?と思ったのは僕だけなのだろうか?


 とは言え、『おめでとう』と言われたのだから返事をしないといけないだろう。


「うん、ありがとう!それから、おはよう。」

「あ、そうだね…お兄ちゃん、おはよう。」


 おはようと挨拶した僕にいち早く反応したのは妹のレインである。

 まぁ、普段から妹が一番最初に挨拶するからなんだろうけど…。


「あぁ、ルウド、おはよう…そ、それで…だな。」

「もう、あなたったら…ルウドだって、心の準備って物があるんですからね?」


 とは、育ての親であるポルンお父さんレイナお母さんである。

 どもりまくるポルンに、何故か雑巾でポルンの汗を拭こうとするレイナ…はっきりいって動揺しすぎである。


 まぁ、今日は僕の15歳の誕生日なのだから、お父さんの言いたい事は十分に分かる…分かるのだが、もう少し落ち着いたらどうだ?と思う。

 それにしても、普段落ち着いているお母さんまでもが、そわそわしているのは珍しいな…と、思わず苦笑する。


 ちなみに…余談ではあるが、前世の時もそうだが、基本的に15歳の誕生日には家族揃って新たな大人の仲間入りであるの確認をすると言うのが、この世界での習わしとなっている。


 そんな訳で、家族全員、僕のステータスが気になってしょうがないのだろう。


「で、母さんアリスは何をやっているのかな?」


 そう…みんなで『誕生日、おめでとう』と言う台詞は聞こえたのだが、それ以降はずっと何かに祈る様な姿勢のままなのだ。


「え、えっと…その…あのね…ルウドにステータスが現れる様に…かな?」

「そ、そうなんだ…。」


 いや、まぁ…母さんの心配は分からないでもない。

 こう見えても僕は只の人族ではなく、母さんの息子…竜族で、しかも眷属なのだから…。


 普段から人の姿を取っているとは言え…もしも、人族ではなく竜族としてステータスを貰うと成った場合、竜族の成人は150年経ってからと言う事になる。

 その場合、後135年もの間、ずっと待たなければならなくなる。

 そうなると、僕のS級冒険者になると言う夢は遠のく事になるのだから…。


 その一番の理由が、冒険者になるにはステータスを表示させる事が出来る事と言う絶対的な条件が必要になるからだ。


「と、とりあえず…どうなるかは分からないけど、試してみるのが一番だと思うよ?」


 僕はそう言うと、みんなの前に歩いていく…そして、意思を込めて、決まり文句を発した。


「ステータス・オープン!」


 本来、自分だけが見るのであれば『ステータス』と心の中で思うだけで良いのだが、他の人に見せるには、このオープンと言う言葉を発する必要がある。

 それには、他の人に見せる意思があると言うキーワードになるからだ。


 そして、その言葉は正しく発動し、僕達の前に現れた。


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名前:イン・ル・ラグーン

種族:竜人ドラゴニュート:人族状態(変化中)

年齢:15歳

Lv:1

HP:1265/1265

MP:286780/286780

SP:14980/14980


STR:B

DEF:C

INT:S

DEX:C

AGI:B

LUCK:S


スキル:<アルベイン流剣術:Lv3><身体強化:Lv6><魔闘術:Lv8><竜魔闘術:Lv3><変化:Lv10><隠蔽:Lv6>

魔法:<精霊魔法:Lv5><竜魔法:Lv7><時空魔法:Lv4><生活魔法:Lv5>

耐性:<全耐性:Lv3>

加護:<破壊神の加護>

称号:<破滅竜><転生者>


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 それを見て、僕も含めて家族全員が唖然となる…。

 正直、何処をどう突っ込んでいいのかすら分からない状態である。


「えっと…母さん、ちょ~っと説明お願い出来るかな?」

「わ、妾に言われても、お主のステータスなのだから妾に説明など出来るはずが無かろう?」


 確かに、母さんの言う通り僕のステータスを母さんに聞くのは間違っているのだろう。

 だが、だからと言って完全に間違っているかと言われると、そうではない。

 その証拠に、母さんなら答えられるであろう物が、多々あるからである。


「母さん…言いたい事はソレだけかな?」


 僕の感情が薄れ、冷たく焦点の合っていない目で母さんを見る。


「わ、妾は無実じゃ、本当に妾は何も知らんのじゃッ!」


 狼狽えてはいる物の、その言葉には嘘はなさそうだ。

 とは言え、このまま…と言う訳にはいかないので、母さんを問い詰めていく事を決めたのだった。

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