22話 厄災との修行【6】
そして…まだまだ未熟とは言え身体強化をマスターした僕に対し母さんはテンションをあげまくり、さらなる修行をする事となった。
で、結論から言うと…物理的な修行だった身体強化を覚えた事により、今やっているのは魔法の修行へと移行した。
ただ、魔法の修行と言ってもそんじょそこらの魔法ではない。
そう…魔法は魔法でも竜族のみが使える魔法…竜魔法と呼ばれる特殊な魔法だったりする。
「あ、あの…母さん、この魔法って人族の魔法じゃないよね?」
先程母さんが放った竜魔法による、デモンストレーションにより、目の前の惨状を見た僕は母さんに尋ねた。
「何を当たり前な事を言っておるのじゃ?
妾が使う魔法は竜魔法なのじゃから、羽虫の如き人族が使う貧相な魔法と一緒にするでないぞ。」
そう言った母さんは、何故か誇らしげに胸を張った。
「あのさ…忘れてるかも知れないけど、僕は竜族じゃなく人族としてS級冒険者になりたいんだけど…。」
「もちろん、妾も忘れてなどおらぬぞ?
そもそも、封印を解いてくれたお礼に転生させてS級冒険者にするのが契約じゃからの~。」
「…だったら、何故に竜魔法を覚えさせようとしてるのかな?」
「何故とは異な事を言う…お主、強くなりたいのであろう?」
「そうだけど、それに何の関係が?」
「だったら、竜魔法は最適ではないか。」
「ごめん、ちょっと何言ってるか分からない…。」
母さんはいったい何を言ってるのだろう?
僕は、人族として…と、何度も言ってるんだけど?
「え?竜魔法じゃぞ?人族の魔法など足元に及ばない程、強力な魔法なのじゃぞ?」
「うん…でも、僕はが成りたいのは人外の化け物じゃなくてS級冒険者だからね?」
僕がそう言うと、母さんは倒れ込むと『およよ…。』と泣き始めた。
「ちょッ!?母さん、急に泣き出してどうしたのッ!!」
「だ、だって…お主、妾を化け物と…およよ…。」
「言ってない!母さんを化け物なんて言ってないからッ!!」
いきなり、訳分からない事を言ってきた母さんに、僕は慌てながら否定する。
「じ、じゃが…妾の使う竜魔法は、お主にとって『人外の化け物』なのであろう?」
そう言われて、一瞬、僕の心臓が止まる。
いや、正確には止まったりはしてないのだが…。
「ごめん、言い過ぎた…確かに、竜魔法は凄いと思う。
だけど、人族が操るには威力がありすぎると思うんだ…。」
「そうは言うが、人族の魔法は貧弱と言ったが、それでも妾達の竜魔法よりも勝る魔法を使う者もおるのじゃぞ?」
「え?そうなの?」
まさか、竜魔法より勝る魔法を人族が使えるとはビックリだ。
「うむ…流石に、妾もあの時は焦ったのう…。」
「そ、そうなんだ…。」
母さんが、しみじみ言うって事は本当の事なのだろう。
ただ、母さんって…昔、破壊神とか呼ばれてなかったか?
そんな母さんが焦るほどの魔法って…禁術とか呼ばれてる物なんじゃないだろうか…。
「まぁ、お主が何を考えておるのか甚だ疑問ではあるが…竜魔法を取得したからと言っても、化け物になる訳じゃないぞ?
姿形はそのままじゃ、安心するが良い。」
「じ、じゃあ、僕が竜魔法を覚えても人族から見たら問題ないんだね?」
「もちろんじゃ!むしろ、お主が竜魔法を覚えねば、妾が心配に…じゃなかった、S級冒険者になると言う契約がなされないのじゃ!」
母さんが心配?いや、多分、僕の聞き間違いだろう。
「そ、そうなんだ…うん、分かった!なら僕、竜魔法を覚えるよ!」
「そ、そうか…妾も、その言葉を聞けて安心したのじゃ♪
とは言え、竜魔法は身体強化などとは比べものにならないほど覚えるのは大変じゃからの…諦めずついてくるのじゃぞ?」
「うん、僕頑張るよ!」
そう言うと、母さんは笑顔で僕に竜魔法の指導を始める。
とは言え、元々、竜魔法と言うのは竜闘気同様、竜族専用の魔法…その為、竜族とは言え前世が人間の僕には荷が重かった…なんて事はなく、何故かすんなり使える様になってしまった。
「あ、あれ?竜魔法って、こんなに簡単に覚えられる物なの?」
「さ、さぁ?じゃが、覚えられぬより覚えられた方が良いのではないか?」
「そ、そうだよね…覚えられないよりは…。」
結局、何で簡単に覚えられたのかは疑問なのだが、生まれてから直ぐに魔力の上限を増やすのと、その制御をやっていたからでは?と自己完結をして、今日の修行の目的である竜魔法の取得する事が出来たのだった…。
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