テナガエビジャケット

手の込んだモザイクを薄目で看破する爺様。



その昔、まだ少年Åと報道される年齢の頃、友人が

「このビデオを買ってくれ!」

とカセットを持ってきた。


中身を確認すると裸の男女がメロウなBGMの中、抜き差ししている。洋ピンだ。こんな田舎で手に入るブツではない。

コレをどうやって入手した?と尋ねると

「ミツルの爺ちゃんのコレクションを一箱頂戴してきた」

なんとも田舎の少年らしい回答だが、なんでそれを俺の家に持ってきた?

「他の奴だとバレそうだけど、オマエならクズで育ちが悪くて頭良いから何とかすると思って。」


素晴らしいクラスメートだ。手の施しようがないくらいのクズだ。


早速四本2000円で買い取る。


さすがミツルの爺ちゃんだ。正気とは思えないラインナップだ。


一本500円…1500円で捌ければ良い方だろう。


翌週、隣町の学校の生徒に声を掛ける。裏モノでそれなりに画質が良い。本来ならこんな田舎には回って来ないし、買ったとしたら高くつく。1500円でどうだ?


さすがは娯楽の少ない田舎者。先ずは1000円のアガり。


続いて同じ学校の女ウケを気にする奴に声を掛ける。

今度は少し値を上げて2000円。


こっちは多少の抵抗はあった。が、やはり田舎者。喉から手が出るというか喉から触手でも生えてきそうな食い付きっぷり。

1800円でお買い上げ。この時点で元は取った。


さあ、ココからが腕の見せどころ。他所の学校は最初に買った奴を窓口にしてどんどん捌き、自分の学校は家庭環境と人間性から判断して交渉に入る。


30本程のビデオは一月掛からずに捌き切り、噂が出る頃には知らぬ存ぜぬで押し通し。



手元には10万近い現金が残り、一部からは性の伝道師と崇められる結果となった。


が、後に不良グループに目をつけられる遠因にもなったのであった。

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