第16-2話 Cブロック─八坂チームVS五十嵐チーム
「ック!」
最後の一撃を右肩に貰い、左手でその部分を押さえながらバックジャンプで飛び退こうと脚に力を入れたその時、
───くっそが、完全にこいつのことが頭から抜け落ちてた!!!
目線だけを迫る彼の刃に向けて、心の中で悪態を吐く。
「刀刹技式【
緑色が輝き、
寸の所を、
「助かった、ありがとう
一安心といった感じで感謝を述べる。
「うん、油断大敵だよ
二人は目配せをして左右に走り出す。
「刀刹技式【
その剣舞に観客席───特に女性陣から───の黄色い声援が溢れる。それに負けじと片寄った層の男性陣が声援を送る。女性陣は兎も角、男性陣は双方の両親同士に親交があったりといった感じで、若干の贔屓ありきでの応援と言ったところだ。
黒い剣は上へと弾かれ、大きく仰け反る。残りの四連撃を全て腹部に受け、普通なら吐血して倒れても可笑しくない程のダメージが、精神的ダメージに変換されて頭痛を伴い、心臓を締め付ける。よろめきながら、左手で制服に
「ッ!?
「
───くっそ……それが狙いかよ。徹底的に俺だけを潰す手。…………合理的かつ単純な戦法。だからこそ見落としてた!!!
「刀刹技式【
業名が耳に届いた時には、既に
「ガハァッ!?」
それが最善で、戦場では良くある戦法ではある。一人が隙を作り、そこにもう一人が攻撃を繰り出す。だが、人間相手に使う機会はほぼない。あくまで対峙するのは人間ではなく、化け物なのだから。
轟音と共に
───私のミスだ。
「
不安と後悔の念が、光を曇らす。真意は強い影響力を持っている。故に、感情によって大きく左右されてしまう。上手くコントロールができなければ、魔力やエーテルは濁り、全てが弱体化する。
光力は通常より低下し、水色に薄汚い灰色が混じったような色を発していた。
「不味いね……
彼の予想が奇しくも的中し、彼女の剣撃は意図も容易く止められ、弾き返される。
二人の乱舞に
「ふはははは!!大口を叩いていた割には、大したことない男だったな!!」
「全くですなあ、
同調し、煽り重ねる。客席から彼ら系列の貴族や、
「
「天宮流星穿術、星剣技式【
金色の輝きを放ち、二人の刃を弾き返す。仰け反っている為回避行動ができない隙をついて、連撃を繰り出す。指揮者が振るう指揮棒を扱うように、軽やかに、そして美しい足捌きと剣舞。二人の上半身に叩き込み、彼らは立ち眩みを覚え、その場に静止して頭を手で押さえ付ける。だが、決めきることができずに彼らは回復し、再び
───ああ、足りなかった……何もかもがッ!!
悔しさは声に出さずに心に抑え込む。さっきよりも身体の融通が効かず、防御しきれずに何度も刃を叩き込まれる。その度に、頭が、心が悲鳴を上げる。遂にガードブレイクされ、【
「刀刹技式【
「刀刹技式【
「想いを司す不滅の誓いよ、汝を護る盾となれ───
「そうだな、俺は負けねぇよ」
そう言って、
「
「悪い、待たせたな」
「なんで、なんでそこに貴様がいる!?」
「なんでって……そもそも、いつ俺がダウンしたなんて言ったよ?」
「ッく!!」
「さて、リスタートだ」
そう言って
「
刹那、会場を雷撃が襲い、金色の光が轟く。客席の者達はその激しさと眩しさに思わず眼を瞑る。
「っう、眩しッ」
アルベントが小さく溢し、手で眼を覆い隠す。
「少しだけヒヤッとしたよ、
バリバリバリッと雷撃を纏わせた刃が、
ハァァァッと息を吐き出し、呼吸を整えて残った
「っく……まだ、まだ負けてないぞ!!」
「知ってるよ、だから早くやるぞ」
そう言い放って、
───そろそろ身体が限界迎えそうだな。早々に決めねぇとな
心の中で呟き、刻まれた術式に触れてエーテルを流す。空気中のエーテルを巻き込み、光は強さを増す。再び金色の輝きを放ち、
「
「負けてたまるかァァ!刀刹技式【
「ハァァァァ!!!」
叫びながら突き出された、電撃を纏った一突きが
「ぐがぁぁぁぁ!!!」
悲痛な叫びを上げながら
「Cブロック勝者、
男性教員の声が会場に響き渡る。演習場は歓喜の声と盛大な拍手で彩られる。
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