第16-1話 Cブロック─八坂チームVS五十嵐チーム
「さてと、ようやく俺達の番か……。なんか長く感じたな」
体内を巡るエーテルの循環具合を感覚的に確め、深く息を吸って脳へと多くの酸素を送り届ける。吸ったばかりの毒を吐き出し、意識を沈めて集中力を高めていく。そんな二人を嘲笑うかの様に、談笑を繰り広げる貴族が二人。
「ようやく我々の出番ですな、
Bブロックの試合時、
「そうだな、
だが、慢心は時に大きな力となる。それが心意だからだ。心意はエーテルを伝い、魔力すら強化する。故に、貴族達は強く同時に弱くもあるということだ。
「八坂君、大丈夫?顔怖いけど……」
隣に立つ
「ああ、問題ない。勝負に関してもな」
「両者、構え!!」
その声と共に、各々武器を構える。
───なんだ?こいつら……。さっきからニヤニヤしやがって。ぶっ飛ばしてやりてぇな
観客席が騒がしくなり、気になった
「よかった~、間に合って。おーい
一番前の客席より金髪赤眼の少年、
「なんで?って顔してるね。今日は君のクラス以外三時間授業だよ」
それだけ言えばわかるよね、といった表情と共に彼は着席する。
三時間授業で尚且つ他クラスが模擬戦をしている。なら、情報収集も兼ねて観戦に来るのは当然と言える。まあ、そんなことを考えている生徒はごく僅かだろうが。大方、野球観戦でもする位の気持ちで来ているんだろう。
つまり、今この総合演習場には、Ⅰ~Ⅶ全ての一年生が客席にいることを意味していた。
「はぁ……タイミング最悪だ」
悪態を吐き、
両者が改めて意識を戻したことを確認した男性教員は、試合開始の合図を告げる。
「始めえぇ!!」
合図と共に
「
紅い彗星は強く目映い光を演習場一杯に輝かせ、その名如く、眼にも止まらぬ速さで二人に接近する。彼らは刃をクロスさせて、
その勢いで飛ばされそうになるが、二人はなんとか堪え、背を向けたままの彼へ雄叫びと共に、一斉に斬りかかる。
ワンテンポ遅れて頭上に降り注ぐサーベルの一振りを剣身に当てて左側に受け流して、その反動を利用して左拳を
「いきなり突っ込むからびっくりしたよ!」
「ああ、悪い。まあでも、これで先制は貰ったぞ」
悪い笑みを浮かべて、黒い剣を構え直す。
観客席にて、
「い、痛いな……アル。どうしたんだい?」
左脇腹辺りを擦りながら苦笑いを向ける。
「ニヤニヤしすぎ」
そう一言言って、直ぐに会場に目線を移した。
後方へ吹き飛ばされた
「おいおい、まだ一発目だろうが」
「
「……」
【ミュスクル・キャンサード】討伐時同様の
彼はジリジリと
「刀刹技式【
小さく、それでいて力強く発せられた言葉を鍵に、より一層輝きを増して発動する。凄まじい気迫と共に、
───ッ!!あれは中級か、それ以上の威力……!!!
「
【
青い軌跡を描き、刃と刃がぶつかり合う。赤黒い粒子と青白い粒子が周囲に飛び散り、金属音を響かせて激しく剣戟を繰り広げる。
「心意は時に人の心を蝕む。彼は上手くそれを利用したんだろうね。…………あいつが押されてるよ」
───彼は手強いぞ、
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