2020年4月27日

 仕事の疲れからか、昨夜は『ダザイ』の生存確認を怠ってすぐに就寝してしまった。水槽のライトをつけるどころか、ホプロキャットフィッシュとブッシープレコに餌を与えるのすら忘れていた。まあ、一日や二日くらい餌をやらずとも餓死するような貧弱な連中ではないし、腹が空けば勝手に爆繁しているスネイルを捕食するので問題ない。私は起床してすぐ、思い出したように『ダザイ』がいる方の水槽の蓋を開けて奴の姿を探した。水草の上にはいない。黒く変色して水底に沈んでしまったのだろうかと思いながら水面に目を走らせていると、濾過装置から流れでる水に翻弄されてくるくると回転している『ダザイ』を見つけた。鮮やかなマダラ模様を保ってはいるが動いてはいない。まだ息があるかもしれないと思い、私はピンセットで奴を掬って水草の上へと移動させてやった。とりあえず今は動いていないが、以前のように時間が経てば復活する可能性はある。


 数時間後、もう一度『ダザイ』の様子を確認してみたが、私が先ほど乗せた水草の上から動いた様子はない。昔であれば『ダザイ』が絶命したと嘆くところだが、今の私は奴の生命力の強靭さを知っている。なに、しばらくすればまた動きだすにきまっている。私はふと『タカギ』ならぬ『タカギモドキ』はどうしたかと水槽間の隙間に目をやったのだが、残念ながら巨大な尻の持ち主の姿はそこになかった。餌を求めて別な場所へ移動したのだろうか。おそらく、水槽にライトを灯さなかったのが一因かもしれない。

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