2020年4月26日
水槽から『ダザイ』と『ホウサイ』が消えてからというもの、私は事あるごとに水槽の蓋を開けては彼奴らが水面に浮いていたり、もしくは近くの壁やテーブルの上を這っていやしないかと探すようになっていた。私がいくら探そうが無駄だった。少しばかり狂気じみていると分かってはいながらも、私はたまに「出でよ、『ダザイ』」と強く願ってみたりもしたのだが、もちろん『ダザイ』も『ホウサイ』も現れることはなかった。スタンド能力の発現? いい歳をした大人が何を厨二病を
もう少しで『登山客』の新エピソードが仕上がるというところで、私は目の疲れを癒すために水草が縦横無尽に繁茂しているゴーストシュリンプのいる水槽へ視線を投げた。美しい緑色だななどと思った刹那、私は水槽の手前のテーブル上を這う『ダザイ』を見つけた。思わず私は嬉しくて小躍りしそうになるのを辛うじて抑え、おもむろにピンセットを甲虫へと近づけていった。私は甲虫の嫌がる様子から、それが『ホウサイ』ではなく『ダザイ』であると断定した。こんな奇跡があるだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます