2020年4月23日
つい先ほどの事だ。昨日、眼前に飛来した『ダザイ』を入れた水槽を覗いてみると、水面にぷかぷかと浮いているヤツを見つけた。一見、死んでしまったのかとも思ったのだが、ピンセットで掬い上げて水草に乗せてやるともぞもぞと足肢を動かしはじめた。片付けてしまった水槽と違い、今度は水面上にも多くの足場あるので入水する事はないと踏んでいたのだが、そこはやはり『ダザイ』の天命というか元から備わった自殺機構とでもいうか、どうあっても水の中へと戻っていってしまうらしい。私はピンセットを持ったまま、そばに置いてある同サイズの別の水槽を覗こうとして動きを止めた。『ダザイ』である。いや、正確には『ダザイ二号』とでも呼ぶべきか。ともかく、水槽脇の壁に『ダザイ』と同種の甲虫が貼りついている。それにしても、これは一体どういう事なのだ。正直なところ、「まさか複数で現れることはないだろう」という思いが脳裏をよぎりはしたのだが、そんな馬鹿げた考えを持ったのはほんの一瞬の事である。それがまた具現化したのだ。もはやこれは私のスタンド的な能力が発現したと考えてもいいのではないだろうか。私はおもむろに『ダザイ二号』をピンセットに乗せ、『ダザイ』のいる水槽へと放してやった。しかしながら、『ダザイ』に『ダザイ二号』では芸がない。特に意味はないが、私は『ダザイ二号』を自由律俳句で知られる尾崎放哉に
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