2020年4月22日

 前回の日記から数日後、水槽へと戻した『ダザイ』が黒く変色して底に沈んでいるのを見つけた。私はそれを機に水槽を片付けた。やはり『ダザイ』と名付けた個体が何度も蘇っていたのではなく、オリジナルの『ダザイ』はとうの昔に死んでおり、その後は同種の別個体が私の前にタイミングよく現れていただけだったらしい。前回も不思議に思った事だが、同じ種類の虫ばかりが「そういえば、もうダザイが復活することはないのだな」と私が思う度、ああも都合よく部屋に迷い込んでくるものだろうか? たとえば、この部屋の何処かに『ダザイ』のコロニーが出来上がっており、偵察に出た一個体が私に捕獲されて水牢に監禁のうえ水責めに遭って絶命したのが向こう側で確認され次第、再びそこから別個体が派遣されてきているということは考えられないだろうか。いや、それは単に『進撃の巨人』の読み過ぎだろう。ともかく、もう水槽はない。今になって考えると水槽が呼び水となっていた可能性もある。これで『ダザイ』が復活してくる奇跡、もとい呪いから解放されたに違いない。


 『登山客』の執筆をしていた深夜、というよりもほぼ明け方の先ほどの事だ。目の疲れを感じてPCから顔を離し、椅子の背もたれに身体を預けて「まさか、もうダザイが現れることはないだろう」と考えた矢先の事である。何かが右から飛来してパソコン画面の前を横切ろうとしたのを私は咄嗟に叩き落とした。テーブルの上を見ると『ダザイ』、いや私が勝手にそう呼称している甲虫が逆さまになって踠いていた。これは一体どういう事なのだ。私はピンセットで甲虫を掬い上げ、ゴーストシュリンプもとい和名ヤマトヌマエビと水草を育てている大きな水槽へと入れてやった。大きな水槽なのでもう甲虫の動向は追えないかもしれない。最後に私はここに甲虫の画像を添付しておこうと思う。正確には、私のSNSのアカウントでそれを見れるようにしておくので、興味のある方は自分の目で確認していただきたい。

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