第418話

Nao side.03



私達は静かに階段を降り、飲み物とお菓子を食べながらDVDを再生する。私も久しぶりに見るからワクワクするけど隣の優希が興奮して集中できない。それに、静かに見ると言っていたのに誰も守っていない。

途中からは私以外が号泣し、私もウルってきていたのに泣くタイミングを失った。



「青春最高…」


「ちょっと優希…そこまで号泣しなくても」


「無理…これは無理」



映画を見終わったのは夜中の3時だ。真夜中だからか、みんなの異常なハイテンションぶりと興奮度に私は圧倒される。

唯一、水希だけが泣いては入るけど私と同じくみんなの姿に引き気味になっている。



「みんな、水希の部屋に行こう。映画と高瀬姉妹について語り合いたい!」


「そうね。さぁ、みんな飲み物とお菓子を持っていくわよ」



泣きながら興奮しながら立ち上がり、私達に二階に行くよう促す優希と望。

実はそろそろ眠くなったなんて言えない状況で私は眠い目を擦りながら階段を登った。



「望の言ってたこと、すっごい分かる!」


「でしょ!似てるとかじゃなくて、存在が高瀬姉妹なの」



優希と望が興奮しながら語り合っている。でも、私も水希も困惑しかできない。

華やかさでいうなら優希と望の方が凄いし、人気も半端ないのに口を挟ましてくれない。

そんな時、ずっと黙っていた宮田さんが語り出した。涙がゆっくりと溢れ…緊張が走る。



「主人公を自分自身と重ねて…本当に水希ちゃんと菜穂さんに出会えて私は幸せです」


「優香ちゃん…」


「昨日もし、菜穂さんと水希ちゃんに声を掛けられなかったら私は今も1人でした。今までずっと孤独で…でも、友達がいないの親には言えないので友達と遊びに行くふりをしたりして。従姉妹が時々遊んでくれましたが、学校ではずっと壁の花で。これから先、1人でお弁当を食べることが辛くて…無視されるのが本気で辛くて、、でも、もう大丈夫です!私、皆さんにしっかりお叱りを受けたのでやっと自分の悪い所を知りました。これから頑張ります!」


「宮田さん、何かあったらすぐに連絡をしなさい。私や水希、望と優希がすぐに飛んでいくから」


「はい…ありがとうございます」



私達はみんなで連絡先を交換し、私のアドレスにまた可愛い後輩の番号が増えた。



「優香ちゃん、今度他の友達を紹介するね」


「うん!」


「その時は私達も呼びなさい。受験勉強の息抜きのもなるし。そうだ、恭子と恵梨香も誘いましょう」



後輩達と仲良くなり、私は大人数で遊ぶ楽しさを知った。年齢関係なく楽しめる空間を作り出しているのが水希で妹ながら凄い子だ。



「高瀬姉妹と友達になれて幸せ〜」


「急にどうしたのよ」


「素直な気持ちを言葉にしたの」



望が照れ臭そうに言うから私も恥ずかしくなってくる。それに、優希も「私も〜」と言うから照れて何も言えなくなってしまった。



「あっ、、芽衣に電話してない!」


「あー、芽衣ちゃんに怒られるよ。これはお仕置き決定だね〜」


「佐藤先輩!芽衣のお仕置きは本気で恐ろしくて痛いんですからね!一度、お腹を殴られて数日痛くて泣きそうで…」


「芽衣って…結構激しいね」


「そうなの!小悪魔だし、黒天使だし、でも…世界一可愛いから許しちゃう」


「お仕置きの原因を作ってるのは水希のせいでしょ。いい加減、反省しなさい」


「えー…でも、何もしてないのに芽衣が怒ることもあるし」


「だから、それは水希がタラシを発動させてるからよ。この天然タラシめ」



水希の姉は大変だ。水希がやらかす度に叱ったりして…でも、その分楽しませてくれるから水希の姉として生まれてきてよかった。



私はシスコン(水希のせいよ)

水希はタラシ(天然ゆえ諦めるしかない)

望は学校一の美女(距離を置かれる)

優希はファン(イケメンゆえの運命)


みんな、それぞれ悩みを持っている。だけど、友達がいるから明日も楽しい。



「そういえば、菜穂の面白い話ってないの?水希同様絶対にありそうだし」


「やめてよ、そんなのあるわけないでしょ」


「ありますよー」



優希の言葉に水希が後でお仕置き案件の返事をする。私は水希と違って普通の人生を送ってきた。漫画みたいな出会いもない。

作り話でもしたらヘッドロックをと仕方なく聞くことにする。100%ないけどね!

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