第417話
Nao side.02
水希の話ではこの時のことがきっかけで鐘村先生と仲良くなり、時々図書室で会うようになったと…ってすんなりそんな話を素直に受け入れてしまう私達は毒されている。
展開が早すぎるし、生徒と先生って…まるで禁断のドラマの展開すぎるのだ。
「ねぇ、2人で図書室で会うようになったのは水希が話そうと言ったの?」
「いえ、先生がお昼休みに時々ここいるから話そうよって言われて」
「ほぅ、先生から。へぇー、、凄いね」
「佐藤先輩…顔が変ですよ」
「誰でもこうなるよ!」
声を掛けたのは水希だけど、その後のプッシュは先生からで…なかなかのやり手ね。
さっき、水希が先生が泣いていた理由は彼氏と別れたからだと言っていたけど、先生の切り替えが早すぎる。水希の貞操…ふぅ。
「疑問なんだけど、どうやって先生と待ち合わせしてたの?」
「靴箱に先生が図書室って書いた紙を入れて、その紙を見て会ってました」
「朝…靴箱に入ってるの?」
「はい」
「ふーん、、そ、、ぅなんだ」
「早川先輩?どうしました?」
「別に…ちょっと心臓が」
私も望同様心臓がバクバクと動いている。水希は先生と何もないと言っているから何もないとは思うけど先生と生徒の禁断の恋を想像し胸キュンだ。ぐふふとニヤけてしまう。
「ねぇ、、鐘村先生の写真はないの?」
「流石にないよ。あっ、お姉ちゃんが卒業した後に来た新任の先生だからお姉ちゃんは会ったことないよね」
「そっか…(残念)」
みんな水希の言葉に肩を落とす。私も見たすぎて残念すぎてため息が出た。
「禁断の恋…ふふふ」
「優香ちゃん?どうしたの?」
「な、、なんでもない!」
みんな、芽衣ちゃんがいるから何もない方がいいと分かってるけど水希と先生のドラマみたいな展開を望んでしまう。
比奈乃ちゃんの時もそうだけど、あり得ない展開ってドキドキワクワクし、ストーリーの続きを見たくなる。ラストはどうなるのかと。
「これは聞いても大丈夫だよね…?お泊まりした時、何かあった?」
「別に勉強の話をしていただけですよ」
「他の話もしてるよね?詳しく教えて!」
優希が食い気味で水希に質問をする。
「えー…何を話したかな?一緒にココアを飲んで、勉強の話をして、、やっぱりそれぐらいですね」
「えっ、そうなの?(つまんない)」
「一緒に映画を見ました。恋愛映画でちょっと照れましたね。ラブシーンがあるとどうしたらいいのか分からなくなります」
「ほほぅ、恋愛映画を見たんだ」
「はい、先生が映画好きで」
「タイトルは?」
優希の質問攻めに水希は淡々と答えていく。そして、みんな一斉に携帯を手に取った。
「何だっけ?えーっと、あっ○○です」
「○○ね!」
みんなタイトルを聞いて一斉にどんな映画なのか検索をする。でも、私だけ動かなかった。その映画はDVDを買うほど好きな映画だからだ。先生…やるわね!
この映画、めちゃくちゃいいから見てほしい。ホラー好きな私が珍しく買った恋愛青春映画で
内容がとにかくいい!
地味な男の子が華やかな兄妹に出会い地味だった高校生活が一変していく話で、これぞ青春の醍醐味を味わえる話だ。
「あっ、これか!この話は私も見たよ。主人公と仲良くなる2人が最高なの。それに人生を変える出会いがいいなって…そうだ!映画を見ながらまるで主人公が出会う兄妹が高瀬姉妹みたいって思ったの!自由奔放で華やかで我が道を行く感じが彷彿させる」
望が興奮しながら優希と宮田さんに絶対見てと勧めている。この映画は好きだし、兄妹のキャラも好きだけど似ていると言われると絶対に違う。私はこんな青春なんてしたことないし、自由奔放って…想像できない。
「えー、似てないですよ」
「私も水希の意見に同意見よ。この映画、私も好きで見たけど全然違うし」
「似てるとかじゃないの。存在というか周りを変えていくって感じと2人といるとどんなに暗い場所でも明るい場所になるって感じ」
私には望が言っていることがどうしても受け入れられない。暗い場所が明るい場所になるって電球みたいだし。
「この映画見てみたいです!」
「私も!今から借りにいく?」
この映画を見たことのない宮田さんと優希が見たいと真夜中なのにDVDを借りにいくとコートを着ようとする。
望も「私も見たい!」とコートを着ようとするから私は仕方なく止めた。DVDを持ってると伝えると早く見ようと急かしてくる。
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