第331話

天気は晴れ、雲もなく快晴だ。窓を開けて気持ちのいい風を肌で感じる。

最高の文化祭日和だ。みんなで頑張って作り上げた文化祭を最高の日にしたい。

顔を洗い制服に着替え、私は学校に行く準備をする。そしてある事に気が付いた。


お姉ちゃんがいない。お母さんに聞くとすでに学校に行っていると聞いて悪寒がした。

お姉ちゃんは何をするつもりなのだろう、、お願いだから大人しくしてほしい。

今日の文化祭は3年生に受験勉強中の休息として楽しんでもらうことが念頭にある。


なのに、私の姉は裏で動き回っている。きっと生徒会長の私より動き回っている。

そして現生徒会より力を持ち、いろんな部を操っている。恐ろしい、一体どれ程の被害者が出ているのか考えると怖い。

私はお姉ちゃんの妹だ。報復が私の方に来るかもしれない。現に私は陸上部から報復という猫パンチを沢山貰った。


早く学校に行こう。お姉ちゃんの悪巧みを暴かないといけない。

今日はお母さんが文化祭に来る。ライブ楽しみにしてるわよと言われながら朝ご飯を無理やり口に入れて飲み込んだ。

今日は生徒の家族が来る。だから、頑張らないといけない日で…早くお姉ちゃんの暴走を止めないとまずい。



いつもより30分も前に学校に着いた。生徒は疎らにいて文化祭の再最終準備をしている人達がいる。私は横目で頑張れと応援しながら靴箱に行くと廊下に生徒の写真が沢山貼ってあった。きっとお姉ちゃんが撮った写真だ。

お姉ちゃんは色んな所に行って写真を撮っていた。そっか、お姉ちゃんはみんなの思い出の写真を撮っていたのか。


ってここまでは感動した。よくよく見ると机の上にボックスが置いてあり、紙とペンも大量に置かれていた。

張り紙には写真が欲しい方は番号と枚数とクラスと名前を書いて下さいと書いてある。

1枚30円と書いてあり、まさか商売をするとは思わなかった。私の姉は将来バリバリのやり手になるだろう。すでに才覚が出ている。


今日は生徒の家族も来る。文化祭の準備している子供の写真なんて確実に買う筈だ。

みんな良い笑顔で、私が真里ちゃんと佐藤先輩と執事服を着た写真もある!松村先輩はやっぱりお姉ちゃんと結託していた。

ここで、お姉ちゃんと松村先輩の凄いところは男装(執事)喫茶の宣伝するため別枠で写真コーナーを作っている所だ。


それも、男装喫茶で注文した人とチェキ撮りますと書いてありどこまでも商人で驚く。

みんながぞろぞろと登校してきた。みんな壁の写真に釘付けになりあっという間に人だかりになり紙に番号を書いていく。

特に人気なのは男装喫茶の写真があるコーナーで私は男装喫茶とは関係ないのに写っていて楽しみにしていますと声を掛けられた。


私は逃げるように教室に行きため息をつく。朝から疲れた。HRが終わったらクレープの下準備をしないといけない。

私は朝担当でクレープを焼く担当だ。エネルギー補充するために自分の分をまず作ろう。苺チョコ生クリームクレープが食べたい。



「水希、おはようー。壁に貼ってあった写真見た?あれ、誰がやったのかな」


「ごんちゃん、おはよう。あれは、お姉ちゃんだよ。カメラを首に掛けて撮りまくってたもん」


「あー、そう言えば。そっか、先輩か」



お姉ちゃんのことだからまだ何かを仕掛けてくるに違いない。昨日、お姉ちゃんと話していた早川先輩はまだ動きが不透明だ。でも、きっとお姉ちゃんと結託している。



「水希、おはよう」


「芽衣、おはよう」


「靴箱の所、凄いことになってるね」


「お姉ちゃんの仕業だよ」


「ねぇ、執事服を着た写真はいつ撮ったの?みんなが楽しそうに写真を選んでいたよ」



芽衣の声のトーンが低く、ダークな芽衣が出てきた。あれは無理やり着されられただけで、私が着たいって言ったわけではない。

だけど、頬をつねられ痛い。芽衣の焼きもちはすぐに手が出るから困る。



「芽衣、痛いよ、、」


「水希の馬鹿」


「だって…」


「芽衣は水希の写真を買うの?」


「買うよ、ごんちゃんもひかるちゃんの写真買うでしょ」


「当たり前じゃん。ひかるちゃんの写真は全部2枚づつ頼んだよ」



お姉ちゃんの思惑通り、売買が順調に進んでいく。お姉ちゃんが私に陸上部のダンスをしている写真を撮らせたのはこのためだったのかと分かった。抜かりなくて怖い。

私も芽衣の写真を全部買い、お姉ちゃんの手のひらの上で転がされている。

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