第330話

文化祭の準備は夜まで続く。校内の模擬店の準備が着々と進み、部活をやっている組は走り回っている。

クラスと部活の模擬店などを両方やる人は大変だけどやり甲斐はあると思う。私もクラスと軽音部と生徒会でやることが多くパニックになりそうだけど楽しい。


明日になれば楽しい文化祭だ。みんな顔がイキイキとしている。そして、受験生で3年生のお姉ちゃんがなぜかまだ学校にいる。

さっき廊下で松村先輩と話してる姿を見たと思ったら、早川先輩といたり、、元生徒会役員が何かを企んでいる。


明日、何をするつもりなのだろう。カメラをずっと首に掛け歩き回るお姉ちゃん。

戦々恐々だ、手下を上手く使い文化祭を支配している。明日のメインイベントのモテ女コンテストは裏でお姉ちゃんが操っている。

私は放送部と入念に打ち合わせをした時、知らなかったことを知ることになった。


モテ女コンテストは各学年ごとに一名のモテ女を決める。投票で選ばれた生徒をステージに呼び自己紹介させ挨拶すると佐藤先輩から聞いていた。

でも、今回は違う。お姉ちゃんが勝手に変更させた。モテ女に選ばれた人はお姉ちゃんが決めた衣装に着替え、一発芸をする。


本気で私の姉は頭がバグっている。一発芸って意味が分からない。それも衣装って…アニメ部と打ち合わせしていたのはこれだった。

あの時、止めていればこんなことにならなかったのにって思ったけど後の祭りだ。

それに、あくまで選ばれた人が可哀想なことになるだけだ。選ばれなかったら問題ない。


きっと、佐藤先輩と真里ちゃんは確定だからお姉ちゃんから逃れられないけど私は大丈夫。私はモテ女じゃない。

きっと大丈夫だ、私は一発芸もしないし、衣装も絶対に着ない。高級チョコレートは欲しいけど、佐藤先輩がくれる。


みんなで夜を楽しめるのはきっと今日だけ。お姉ちゃんのことは一度置いといて文化祭の準備の続きをする。

私は生徒会長として最終チェックで歩き回る。問題がないか偵察に行き、偶然会ったひかるとジュースを飲みながら一息ついた。



「ひかる、ごんちゃんとどう?」


「上手くいってるよ///」


「だよね、ごんちゃんのひかるを見る顔がデレデレだもん」



まさかの2人の恋はめちゃくちゃ順調で幸せそうだ。ひかるの相手がごんちゃんで良かったよ、安心して恋を応援できる。

だけど、なぜかひかるが不安そうな顔をする。さっき、上手くいってると言ったのに、、



「どうしたの?悩み事?」


「明日、まーちゃんのファンが増えそうだなって。ギターを弾く姿がカッコよくて、不安になっちゃった」


「焼きもち?」


「だって、、カッコいいから」



やきもちを焼くひかるが可愛い。でも、ごんちゃんのギターを弾く姿はカッコいいから不安になるのも分かる。

ひかるはごんちゃんが初めての交際相手で、不安になることが多いだろう。私もそうだった。芽衣と付き合った時はいつも不安で、いつも焦っていた気がする。



「ひかる、大丈夫だよ。ごんちゃんはひかるのことが大好きでひかるに夢中だから」


「うん///」


「明日、ダンスでごんちゃんを今日以上に圧倒させて惚れさしなよ」


「うん、ダンス頑張る」


「よし、行こうか。ごんちゃんがひかるを探してるかもしれないし」



恋の先輩として、大事な友達の恋を見守りたいと、、思っていたのに!おかしいよ!



「この野郎」


「ぐぇ」


「ひかるちゃん、水希に何もされてない!?」


「ごんちゃん、いい加減にしてよ!」


「まーちゃん、どうしたの?」


「会いに行ったらひかるちゃんがいなかったから探してたんだ」



ごんちゃんは私がひかるを拉致したみたいに言う。さわちんもだけど、2人とも恋をした途端変わりすぎで私を敵対視する。

未来ちゃんもひかるも2人のことが大好きなのになぜって言いたい。


腕をクロスにしてぶつかってきたごんちゃん。2人の恋を応援しようと思っていた私に対して酷い仕打ちだ。

私に焼きもち?敵対視するごんちゃんにひかるが笑っている。不安なのは互いだと分かり安心したようだ。



「ごんちゃん、ひかるのこと心配なら手を繋いでいたら?それだったら安心するでしょ」


「馬鹿///。簡単に言わないで」


「ひかるはごんちゃんに手を繋いでほしいよね?」


「うん///」



どんなに酷い目にあっても恋の先輩としてアシストをする私を褒めてほしい。

手を繋いだ2人は照れていて嬉しそうでラブラブだ。本気で私に感謝して。

でも、いつまでもこの初々しさを見ていたい、私まで嬉しくて笑顔になる。


恋って少女漫画のようにキラキラさせる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る