第328話

ここでおさらい。


私の学校の文化祭はクラス毎に出し物か模擬店をやる。そして、自由参加で部活動での出し物と模擬店をやる。

私のクラスはクレープ屋さん。さわちんとひかるのクラスは手作りジュース屋さん。

真里ちゃん達のクラスはたこ焼き屋さんなど、クラスでする物は殆ど模擬店ばかりだ。


これにはちゃんと理由がある。出し物にすると基本根底に面倒くさいがあり準備が大変であり、今年は部活動での出し物や模擬店の出店が多かったせいである。

殆どの生徒が部活をやっており、2つの出し物をするのは無理と判断した。


私はそれでいいと思う。部活動の出し物は生徒会長である私を散々悩ました。


◆陸上部のアイドル曲完コピダンス

→みんな私を逃亡者扱いする

◇奇術部のマジック

→炎は絶対に使わせないからね!

◆バスケ・バレー部の執事(男装)喫茶

→執事の服は絶対に着ません!

◇アニメ部のコスプレ写真撮影会

→いい加減、真里ちゃんを諦めて!

◆お姉ちゃんの企み

→本気で怖い。裏で何かを企んでいる。


まだまだ私の頭を悩ます部活の出し物はあるけど考えると頭が痛くなるからもういい。

それに、衣装を着た芽衣が今から踊るのが楽しみなんだ。最終チェックのダンスをする。



「水希、撮影準備は大丈夫?」


「さわちん、大丈夫だよー」



さわちんに撮影係を命じられて私はビデオカメラのセッティングをする。

カメラも用意し、私はカメラマンにも徹する。みんなの勇姿をちゃんと残さないといけない(お姉ちゃんに撮れと命じられた)


ヒラヒラした衣装が可愛い。紫色がポイントに入った衣装で芽衣にぴったりだ。

音楽が鳴り、チームPurpleが踊り出す。因みにひかるのチームがチームWhite。衣装の色で決まったグループ名だ(さわちんが決めた)


芽衣のダンスがとてつもなく可愛い。手の振りが可愛くて、芽衣にぴったりなダンスだ。

ぴゃんぴょん飛んだりしてつい写真を撮りながらYeah Yeah Yeahと口ずさむ。

みんなを見ていて少しだけ寂しい気持ちになった。私だけ仲間として入っておらず、みんなとの文化祭の思い出がない!



「はぁ、、緊張した」


「芽衣、可愛かったよー」


「ダンス大丈夫だった?」


「完璧!みんな、振りが揃ってたし」



可愛いね、めちゃくちゃ可愛いね。私の彼女は世界一可愛い。芽衣へのデレが止まらず顔が緩んでくる。ぴょんぴょんって飛ぶ姿が吐血するぐらい可愛すぎた。



「水希!間に合った!?まだ、大丈夫!?」



ごんちゃんが息を切らしながら体育館まで走ってきた。体育館を交代制で最終チェックに使っておりごんちゃんは軽音部の部室から走ってきたみたいだ。

実はさっき、今から陸上部のダンスの最終チェックするとLINEを送っていた。



「今からひかるのチームが踊るよ」


「良かった…間に合った」



ごんちゃんがキラキラした目でひかるが壇上に立つ姿を見ている。ひかるはごんちゃんに気づき恥ずかしそうだ。

白の衣装を着たひかるがカッコいい。身長もあるから激しいダンスが似合ってて、お姉ちゃんがひかるのチームに激しい曲を選んだ理由がわかった気がした。


音楽が鳴り、みんながバキバキに踊り出す。普段笑顔が可愛いひかるがクールな眼差しをする。これはごんちゃんが惚れ直すよ。

横を見るとごんちゃんの口が開き、ひかるのダンスに驚いている。

回転する時、スカートがひらりと舞う姿に私も目を奪われる。私は必死にシャッターを押した。これはちゃんと撮らなきゃダメだ。



「ふふ、この曲を選んで正解だったわ」


「お姉ちゃん、来てたの?」


「ほら、ちゃんと写真を撮って」


「えっ、はい」



全員がちゃんと写真に映るように角度を考えながら写真を撮る。2年生は今年が最後の文化祭だ。最高の思い出の写真を撮らないと。



「ひかるちゃん…良かった///」


「まーちゃん、ありがとう///」



ダンスの最終チェックが終わったひかるはごんちゃんの元へ行き、2人は照れながら話している。せっかくだからこの写真も撮ろう。初々しい2人が可愛すぎる。



「水希、体育館って水の使用禁止だっけ?」


「禁止に決まってるでしょ」


「そっか、そうよね。水はダメか」



お姉ちゃんは陸上部のプロデュース的な立場の位置におり、衣装のプロデュースや曲の選曲などを牛耳っている。

みんな、お姉ちゃんがアニメ部にデザインさせた衣装作りにかなり手こずっていた。

でも、裁縫が上手な親を巻き込んで完成した衣装は素晴らしく、お姉ちゃんのプロデュース能力にちょっとだけ感嘆する。


でもの、話だ。お姉ちゃんはステージに水がダメなら花びらを散らしたいと言い始めた。

文化祭は明日だ。今から花びらを用意するなんて無理な話だ。私は掃除も大変だからと拒否し、何とかお姉ちゃんを説得させる。いくら何でもやりたい放題すぎる。

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