第327話
文化祭の日が近づいてきた。ただ今、生徒会のメンバーは美術部と一緒に校門に置く飾りを作っている。
もうすぐ文化祭の日がやってくる。みんながラストスパートをかけ部活はしばらくお休みになり文化祭中心とした放課後を過ごす。
高校生になって初めての文化祭。ワクワクするし、みんなでする共同作業が楽しい。
さわちんと作り終わった飾り門を校門に置き、更に飾り付けをする。
ごんちゃん、真里ちゃん、朱音ちゃんは校内の飾り付けを担当しみんな大忙しだ。
明日は夜まで文化祭の飾り付けや最終追い込みをしてもいいことになっている。
生徒会メンバーは文化祭当日まで大変だ。やることが多く、明日は最終打ち合わせをし当日もやることが多く…イベントや模擬店のチェックをしなくてはいけなくて午前中は偵察で時間を取られる。
「ぎゃー」
「えっ、さわちんどうしたの?」
「虫…」
「なんだ、コオロギじゃん」
「気持ち悪い…」
「コロコロ鳴いて可愛いよ。ほら、顔も可愛い」
「近寄らないで!来るなー」
さわちんは虫が苦手みたいで私がコオロギを捕まえて手に持つと一気に距離を取られた。
私は小さい頃から虫が平気で蝉やカブトムシなどが普通に触れる。虫って近くで見ると不気味だけど小さいから私には全て可愛く見える存在だ。
「あっ、バッタもいる。秋を感じさせるね」
「嫌!気持ち悪い!」
「バッタだよ?何が嫌なの?」
「顔!存在!色!」
「全否定だね」
バッタを持っている私に一歩も近づいてこないさわちん。私はじわじわと距離を縮める。
いつも私に横暴なことをしてきたさわちんに復讐を出来るチャンスだ。
「さわ〜ちん」
「馬鹿!来るな!」
「ほら、コオロギだよ。バッタだよ〜」
「怒るからね!叩くよ!」
「水希、さわちんをいじめないの」
さわちんズルい!ダンスの練習を終え、手伝いにきた芽衣の後ろに隠れた。
この前と逆になり悔しい。芽衣に隠れながら馬鹿ー!馬鹿ー!と言ってくる。
「いじめてないもん…」
「さわちんも虫ぐらいで…可愛いのに」
「えー、、芽衣も虫平気なの…」
「虫全般平気だよ。蛙や蛇とかも大丈夫」
「えっ、、芽衣。蛙と蛇も大丈夫なの?」
「水希は蛙と蛇、苦手なの?」
「苦手…」
虫全般平気だけど、蛙と蛇だけは無理。蛙は下から見た姿がダメで、蛇は舌が伸びるし目が怖いしクネクネしてるしお姉ちゃんが目をキラキラさせて見ていた大きいアナコンダの映画の影響もある。
人間を丸呑みするシーンが恐ろしく、ぎゃーと叫びながら一緒に見てしまった。
「蛙も蛇も可愛いよ」
「やだ!怖い!」
芽衣の知らない一面を知り、私はまだまだ知らないことが多いと知った。
さわちんは芽衣の動物(爬虫類など)好きの一面を知り、さっきまで背中に隠れていたのに距離をとっている。
芽衣のお婆ちゃんの家では動物を沢山飼っているらしくそのせいで芽衣も動物好きになったらしい。
それでも、蛙や蛇が可愛いと言えるのは凄い。私は考えるだけで気持ち悪い。
「ほら、時間がないよ。続きやらないの?」
「あっ、そうだね。さわちん、離れてないで続きするよ」
「分かった…」
3人で校門前の飾りを飾り付けをし、芽衣のお陰で仕事するペースが上がり予定より早く終わりそうだ。
さわちんは虫に怯えながらやってて戦力外に近かったけど仕方がないと許してあげる。
「あっ、水希はモテ女コンテスト誰に入れた?」
「3年生は佐藤先輩で、1年は真里ちゃん。2年生はごんちゃんって書いた」
「ごんちゃん、最近モテてたからね」
「芽衣は誰に入れたの?」
「3年と1年は水希と一緒だよ。2年は水希だけど」
「私も芽衣と同じ。水希に入れたくなかったけどモテ女って認めざるえないぐらいモテてるから仕方なく入れた。ムカつくけど」
別に私に投票なんてしなくてもいいのに…それに私に対しての言葉が相変わらず棘がありさわちんは私を敵視しすぎる。
今も未来ちゃんと話すと怒ってくるし、ひかるはごんちゃんと付き合いだしてやっと落ち着いたけど、ひかると話す時も睨まれた。
今年のモテ女コンテストはきっと荒れないだろう。3年の佐藤先輩と1年は真里ちゃんはきっと確定だ。
集計は放送部がするから当日まで分からないけど、集計の箱の前で2人の名前を言いながら投票しているのをよく見る。
私は…出来れば高級チョコが食べたい。選ばれたくないし、選ばれない確率の方が高いけど高級チョコと、、欲望だけは募る。
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