第307話

却下!却下!却下!


文化祭の企画案で否(やり直し)になった部の企画案の再提出の用紙と睨めっこする。

やっと期末試験が終わり、ホッとしていたのに私をイラつかせる。

あっ、期末テストはね〜まぁVサインだね。晴菜さんのお陰だよ。文化祭も来てくれるみたいでお姉ちゃんが張り切っている。


だからこそ最高の文化祭にしたいのに、、何…この企画。せめて出し物じゃなくて模擬店をしたら普通にOKになるのに私に喧嘩を売ってる。

とりあえず、バレー部とバスケ部の合同模擬店の男装デートクラブはOKにした。真里ちゃんと佐藤先輩の男装を見たいからだ。


アニメ部のコスプレ写真会も一応OK。真里ちゃんにコスプレさせない条件付きで。

奇術部と映画部も生徒会抜きでやるならとOKにした。問題は陸上部!

企画に3年生(お姉ちゃん達)が参入し、アイドル曲の完コピパフォーマンスって書いてある。さわちん!ちゃんと却下してよ!


もし、これにOKを出しても私は絶対に参加しないし参加出来ない。軽音部とのライブがあるし私のキャパはすでにオーバーしている。

だから、私は生徒会長の特権を活かし…高瀬水希抜きだったらOKとすると書いた(軽音部のライブがあるから無理と理由をつけて)

これは流石に納得してくれると思う。部長のさわちんには頑張ってしか言えない。


はぁ、、疲れた。文化祭ってこんなに大変なんだ…特に生徒会長の私はやる事が多すぎる。歌とピアノの練習もあるし、、

頭を休めるためベッドの上に横になった。目を瞑り休憩しているとドアがノックされる。



「水希ちゃん、今いい?」


「あっ、はい!」


「寝てた?」


「いえ、休憩してただけです」



部屋に休憩中の晴菜さんが入ってきて、私の大好きなチョコレートをくれた。期末試験を頑張ったご褒美として。



「ありがとうございます!食べていいですか!?」


「うん」


「美味しいー!!!」


「疲れた時にチョコレート美味しいよね」



晴菜さんとは前と変わらない距離を保っている。相変わらず優しい晴菜さん、綺麗さも増してどんどん大人の女性になっていく。



「あっ、文化祭の企画案?」


「はい、私が合否を出さないといけないので大変です」


「懐かしいな〜、一生の思い出になるよね」


「そうですよね」


「水希ちゃんのライブ楽しみなんだ。初めて水希ちゃんが生歌を聴ける」


「うぅ、期待しないで下さい…」



晴菜さんに楽しみと言われたら必ず文化祭を成功させないといけない。生徒会長として頑張らないと…ふざけた企画案を早く修正させなきゃ(私も頭が痛いもん)

晴菜さんに貰ったチョコを食べ私はふざけた企画案の用紙とまた睨めっこする。付箋紙にびっしりなぜダメなのかを事細かく書き再提出するようにと判を押した。



後日、再提出された企画案に全てOKサインを出す。勿論、陸上部の企画案にもOKした。

お姉ちゃんと恭子先輩が仕方なく折れてくれたからだ。忙しい私を除外してくれた。

どれだけさわちんから罵詈雑言を言われても右から左へだ。私は軽音部とのライブで忙しい。私も緊張が半端ないからいいの!


唯一の修正は映画部に体育館を使わないと言われ体育館のスケジュールを組み直す。映画部に体育館は大きすぎるから無理です!と言われ視聴覚室に変更する事が決まった。

そして、空いた枠に入り込んだのが陸上部だ。体育館のステージ上でキラキラと踊ることになった(あっ、3年生は踊らないよ。ふんぞり返ったお姉ちゃんに言われたの。見たいからこれにしたと)



やっと、第一段階の難所を乗り切った私は違う事で頭を悩ませる。

芽衣への誕生日プレゼントが悩む。非常に悩む。もうすぐ芽衣の誕生日なのに、、プレゼント選びが進まない。

予算はちゃんとある。でも、これだ!というものがなく毎日携帯と睨めっこ中だ。


明日、部活が終わったら直接お店に行ってみる予定だけどあんまり時間がないから目星だけは付けたかった。

芽衣と付き合ってもうすぐ1年が経つ。最高のプレゼントを贈りたい。沢山…不安にさせちゃったし、もう迷わないと誓いを立てたからだ。私が芽衣の恋人でいられるようにと。





痛い…痛いよー。私は珍しくひかるに叩かれている。部活を始める前に、文化祭の企画について話すことになりみんな一度集まった。

陸上部に限らず、部活で力が強いのは3年生だ。これはどこの部活も同じだろう。

だけど、陸上部ではそこから更に力を持つのが私の姉だ。絶対的権力を持ち、元生徒会長でありとにかく弁が立つ。


お姉ちゃんは文化祭でのパフォーマンスのセンターにひかるを指名した。

最初は挙手制だったけど誰もやりたがらないので指名制にし開口一番に姉ちゃんがひかるを指名する。みんな、喜んで手をパチパチと叩きひかるに決まってしまった。

ひかるもお姉ちゃんには敵わない。味方でいるうちは心強いけど敵に回ると恐ろしい。


お姉ちゃんがひかるのセンターについての適正を饒舌に話す。ひかるは運動神経に自信がないと言ってるけど実は普通に運動神経がいい(ひかるは謙虚すぎる癖があるから)

あと、身長も高く華がある(納得!)などこれでもかとつらつらと説明されひかるは落ち込みながらもOKした。

更にひかるを慰めていた芽衣とさわちんはフロント指名され発狂する(可哀想…)


お姉ちゃんは逆らえないメンバーを指名しニヤリと笑った。女王様の言葉は絶対だ。女王様をもてなすのが僕(しもべ)の役割。

そんな姉は生徒会にも侵食する。メインイベントの裏方を元生徒会メンバーが手伝うことになり恐ろしい企画案を出してくる。

アニメ部のお手伝いを却下した意味!選ばれたメンバーは男装かコスプレを選べと恐ろしいことを言い始めた。怖い…怖い!怖い!

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