第308話
お洒落なジュエリー店で芽衣に似合う指輪を必死に探す。指のサイズは完璧だ。私は寝ている芽衣の指に紐を巻き、輪っかを作り結んだものを用意している。
後はデザインと予算が合えば買える。だけど、ここからがなかなか進まない。後3日後には芽衣の誕生日だ。早く決めないといけない。
「あ、、あの今、人気の指輪はどれになりますか!」
「今、人気の指輪はこちらになります。デザインがシンプルで色々なファッションに合う温かみのある暖色系の指輪です」
「おぉ、可愛い〜」
ふむふむ、店員さんに教えてもらった指輪は値段もお手頃でとても可愛らしい。
高校生の芽衣にぴったりの指輪で、この指輪をつけた芽衣を想像するとニヤける。へへ、きっと可愛いだろうな。
「あの、指輪のサイズはこのサイズでプレゼント用に包んで下さい!」
鼻息荒く定員さんにお願いをする。恋人がいるとプレゼント選びなどイベントごとが楽しい。好きな人のために日々を頑張れる。
ウホウホとテンションが高いまま、私はプレゼントを鞄に入れスキップをする。
「ただいまー」
「水希、明日までに2万円頂戴」
ウキウキした状態で帰ってきた私にいきなりお金を要求するお姉ちゃん。えっ、恐喝?
「何で!」
「旅行代よ。ホテル代と電車代。食事代はお母さんが出してくれるって」
「うぅ…分かった。でも、2万円って高いね、、」
「芽衣ちゃんの分も入ってるからね」
ぬぐぐ、、じゃ、仕方ない。私はお財布からお金をお姉ちゃんに渡した。プレゼントを買うためお金を多めにお財布に入れていた。
でも、芽衣の誕生日どうしよ…食事代が消えた。芽衣の誕生日が平日だから日曜日にお洒落なお店に行ってランチとスイーツを食べようと決めてたのに。
「何?ため息ついて」
「いや、、もうすぐ芽衣の誕生日で…」
「あー、お洒落なお店のランチやカフェに行こうって考えてたの?」
「うん…」
「バカね。お金を使いすぎると芽衣ちゃんが気を使うでしょ。高い誕生日プレゼントを贈るなら手料理でもてなした方がいいのよ」
「あっ、そうだよね…」
「芽衣ちゃんが水希と同じことしたら気を使うでしょ」
「うん、めちゃくちゃ申し訳ない」
また私の悪い癖が出てしまった。高い物をプレゼントしたいと自己満足な考えが消えない。前も同じように怒られたのに…。
「水希、これあげる」
「何〜?」
「イヤリング。マラソン大会で13位になったご褒美よ」
「やったー!ありがとう〜。カッコいいー」
「文化祭、楽しみにしてるからね」
「えっ…あっ、これを付けて歌えと」
「私が衣装のプロデュースするから」
お姉ちゃんの優しさには必ず裏がある。私がプレゼントされたのはサークル型のクール系のイヤリングだ。
恐ろしい…激しいロックが好きなお姉ちゃんが派手な衣装を選びそうで怖い。
「あっ、芽衣ちゃんに無理させちゃダメだからね!」
「大丈夫…だよ」
「常に優しくしなさい!女の子の体はデリケートなの。水希はスケベだから心配だわ」
今のところ、無理はしないつもりだ。今のところは。芽衣ちゃんのね、素晴らしいマシュマロに触れてしまうと理性なんて無くなる。
だから、仕方ないことなの。
「顔がニヤけてる!」
「そんなことないよー」
お姉ちゃんがニヤけた私の顔をグニグニと手のひらで押し込む。めちゃくちゃ力が強く痛い!私の顔がタコになる。
「ふゃめてよー」
私は負けない。お姉ちゃんの仕打ちに耐えてみせる。ニヤニヤ笑うお姉ちゃんに絶対に負けないから。
「ははは、タコー」
「ひぃたいよー」
「よし、夕ご飯食べましょ」
「顔がヒリヒリするー」
顔をさすりながら、大好きな唐揚げを頬張る。部活をしているとお腹が異常に空く。
幸せを噛み締めながら唐揚げを食べているとお姉ちゃんが一個くれた。常に女王様だけど時々優しさを見せてくる。
いつも助言に助けられてるし…だからこそ今日みたいな仕打ちに耐えられる。
なんだかんだいってお姉ちゃんのこと好きだし(恥ずかしい///)尊敬している。
お姉ちゃんのお陰で今の高校に入り、芽衣と出会えた(強制的に受けさせられた)
陸上部に強制的に入部させられ恭子先輩と仲良くなれた。生徒会に強制的に立候補させられ、先輩達と出会え…ひかるやさわちん・ごんちゃん、後輩ちゃんにも出会えた。
うん、お姉ちゃんの妹で良かった。生まれ変わってもお姉ちゃんの妹がいいな。
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