第306話
うげー。沢山の部から出し物・模擬店の内容が書かれた用紙がぞろぞろと戻ってきた。
私は机の上で紙と睨めっこする。軽音部や演劇部などは明確なやりたい事が分かるからいいけど、これどうなの?ってものが多い。
演劇部→演劇
軽音部→ライブ
家庭科部→模擬店(お菓子屋さん)
ここまでは普通に良い。ここまでは。
漫画部→似顔絵描き、漫喫(まぁ、OK)
バレー・バスケ部→男装デート(うん?)
テニス部→早川先輩とお茶が出来るよ〜(うん?うん?)
陸上部→運動…(さわちんめ、考えるの放棄したな!)
まだ問題の部活は沢山ある。私が一番頭を悩ましたのは映画(映像)部だ。
生徒会のメンバーで映画を撮りたいと書いてある。いや、無理だし!絶対に嫌だし!
これは却下として、これも却下だな…剣道部の100人斬り!って馬鹿なの?運動部の出し物は無理やりな物が多すぎる。
別に部の出し物や模擬店は強制ではない。寧ろ、何もしない部の方が多い。だけど、ノリだけで考えてくる部が多すぎる。
何も思いつかなったりしたら、別に無理しなくてもいのに運動部はノリだけで(ノリしかない)参加しようとしてくる。
「ははは、何だこれ」
「ごんちゃん、笑い事じゃないよ」
「100人斬りって時代劇みたいだね」
「これ、部員だけでするわけではなくお客さんに対してだからね…」
「あー、無理だね。相手が怪我してクレーム来るの確実じゃん」
「もっと真面目に考えてほしいよ…それかやらない選択を選んでほしい」
文化祭まであと2ヶ月。夏休みに入るまでに部の出し物や模擬店の合否を決めないといけない。夏休みを使って準備する部活もあるからだ。主に文化部ね。運動部はノリしかないから準備いらないやつばっかり。
「あっ、これ面白いね」
「芽衣…これはダメだって」
奇術部も悪ふざけすぎるよ、、私をゲストに奇術(マジック)をするって。何で私まで巻き込むの?そんな時間ないし!
はぁぁ、、、生徒会のメンバーを巻き込んだやつが多すぎてため息しか出ない。
「ははは、これ面白いね!真里ちゃんをアニメキャラにコスプレしてもらって写真撮りたいって笑える」
「アニメ部が朱音ちゃんを敵に回すから却下。みんなにキャーキャー言われている真里ちゃんを見て朱音ちゃんの逆上怖いし。ごんちゃんも朱音ちゃんの怖さ知ってるでしょ」
あれ?文化部もふざけたものが多い。みんなノリだけで文化祭やろうとしすぎだよ。
頭が痛くなってきた…昼休み返上でやってるのに進まない。私は飴玉を舐め心を宥める。
「とりあえず、確実にOKなものだけ合否だそう…あとはやり直してもらう」
「8割がやり直しだね…」
「もうね、ふざけすぎなの」
芽衣が私を心配して頭を撫でてくれる。あぁ、やっと心が癒されてきた。
でも、ごんちゃんは楽しそうに企画案を見て笑っている。くそ、、他人事でムカつく。
「ごんちゃん、軽音部は野外のステージでライブになるから」
「えっ、何で!」
「体育館は演劇部と吹奏楽部と奇術部と映画部が使うから時間がない」
「何で軽音部が外なの!?」
「軽音部しか外せないの。野外だと演劇部と吹奏楽部は絶対に無理だし、奇術部は横から見られたらタネが分かるし、映画部は明かり関係のせいで外は無理なの」
「えー…余計に緊張するじゃん」
「それは私のセリフ!」
一般の人が入場できる文化祭。私も考えただけで緊張で吐き気がくる。
「水希、陸上部の出し物はどうするの?運動って…書いてあるし」
「さわちんにやり直しさせる。とりあえず、陸上部員のみんなで考えるよう伝えるかな。芽衣も手伝ってあげてね」
「分かった。さわちんのサポートするね」
明後日からは期末試験だ。勉強は晴菜さんにサポートしてもらって頑張っているけど大丈夫かな…目標は80点以上だけど、、私次第だよね。頑張る!頑張らないといけないんだ!
「あっ、ははは!これまじで笑える!」
「ごんちゃん、どうしたの?」
「芽衣、これ見て。ちょー笑える」
「えっ?ふふふ」
「えっ?何?」
「これ、見てよ」
文化祭にはメインイベントがある。松村先輩が教えてくれた学年毎のモテ女コンテスト。
よく見たらアニメ部は企画案の他にコンテストのサポート(衣装決め)をやらせて下さいと書いてあった。
司会は放送部が担当する。だから協力者がいるのは有難いけど裏がありそうで怖い。
「これってさ、選ばれた生徒にコスプレさせるつもりじゃない?」
「却下!コスプレなんてあり得ないから」
疲れた、疲れた。もう嫌だ。昨日は芽衣からマラソン大会のご褒美をもらって元気百倍になったけど、元気が萎んでいく。
女子校ゆえの自由さが私を悩ます。我が校の文化祭は入場制限がありチケットがないと一般の人は入れない。
故に他校の男子生徒の入場はほぼ皆無。もし、入れたとしてもナンパなどしたら先生達の厳しいチェックが入る。
この問題は一昨年より厳しくなった。筒井達のせいだ。あの問題が更に厳しくさせた。
だから来るのは基本生徒の家族と運良くチケットをゲットした人達。女子校だからこそ、ある意味男性禁止であり問題が起きるのを先生達が特に嫌がる。
でも、異性の視線がないから自由にやれるけど我儘すぎる。生徒会が振り回されている。
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