第236話

晴菜さんと初めて一緒に朝ご飯を食べる。だけど、さっきのことがあるからご飯を食べるだけなのに意識をする。

うーん、悩ましい…前に一度、勘違いで怒らせたと思い距離を取ったら晴菜さんに悲しい顔をさせた。まだ、あの時の顔が忘れられないしそのせいで丁度いい距離感が難しい。


朝ごはんを食べ終えた私は制服に着替え学校に登校する準備をする。明日からは2年生に進級し新1年生が入学し先輩になる。

気合を入れないと、、私はいつも悩みを抱えるとヘマをするから気をつけないと。

準備を終えた私はリビングに行くとお姉ちゃんと晴菜さんが話をしていた。私もこんな風に話したいな…普通が難しい。


とにかく自分から引っ付いたり、抱きしめるなどの行為を絶対にしない。晴菜さんにされても意識せず普通に接する。

誰も傷つけない、さりげない距離感を取ることを忘れないようにしないと。



「あっ、水希。支度は終わったの?」


「うん」



準備を終えた私達は一緒にバス停へ向かう。私とお姉ちゃんは学校へ、晴菜さんは一度洋服を着替えるため家に帰った。

やっと心が落ち着く。晴菜さんの初めてのお泊まりで、私の心は掻き乱された。

今になって朝の行為はまるで恋人同士みたいな戯れあいだったと猛烈に反省する。



「現生徒会の集まり、今日で最後ね」


「そうだね、1年があっという間だよ」


「水希、生徒会に入って後悔してる?」


「してない…楽しかったし、先輩達に会えて良かった」


「だったら、必ず生徒会長になるのよ。水希が新しい生徒会に入る後輩にそう思ってもらえる生徒会にしなさい」


「頑張るよ」



もし生徒会に入っていなかったら、私はどうな学校生活を送っていたかな?きっと、代わり映えのしない毎日だったと思う。

お姉ちゃんに無理やり陸上部に入部させられ、生徒会に入り私の環境は目まぐるしく変わった。テストや勉強は辛かったけど学校が楽しかった。


まだ生徒会長になれるか分からないけど、もし生徒会長になったら頑張りたい。

この1年間、お姉ちゃんを側で見てきた。私もお姉ちゃんの様な生徒会長になりたい。

あとは、さわちんに副会長になってほしい。さわちんにお姉ちゃんの読み通り、叱る役として私を律してほしい。



「生徒会長に選ばれるといいな」


「水希ならきっと大丈夫よ。ふふふ」


「何、怖いよ!何で笑ったの!」


「まぁ、5月になったら分かるわよ」



お姉ちゃんがニヤリと笑い、「確率は100%ね」ってボソッと言ったのが聞こえ怖い。100%なんて絶対にあり得ないのに…もし私の他に立候補者が3人いたとしたら絶対に票は割れる。だからそんな結果になるはずがないのにお姉ちゃんの自信が満ち溢れている。


お姉ちゃんの不敵な笑みと自信満々さが私を不安にさせる。何かを企んでるのかな、、

裏で何かをしているのではないかと恐ろしくなってきた。お姉ちゃんが仕掛けた罠が発動するの待っているかの様だ。

それに、、もう1人…お姉ちゃんの計画では生徒会に立候補させる人間がいるはず。


誰なんだろう、、もしかして芽衣?ひかる?でも、立候補者=下僕だ。だったら2人は確実に違う。お姉ちゃんのお気に入りだし、可愛い子には甘い。

次なる犠牲者が誰なのか気になるよ。さわちんは毎日お祈りしていると言っていた。生徒会選挙に負けますようにって。


さわちんは初めての生徒会選挙に立候補で、ライバルとの投票がどう分かれるのか分からない。それは私もだけど、、さわちんよりは有利だと思っている。

お姉ちゃんは必ずさわちんを副会長にすると言っていた。一体どんな手を使うのだろう…考えるだけで恐ろしいよ。




学校に着き、ごんちゃんと会うの久しぶりだな〜と思いながら教室に入ると芽衣が先に来ていて、可愛い笑顔で「おはよう」って挨拶してくれた。

私も笑顔で挨拶すると、ごんちゃんが飛んできて「仲直りしたの!?」って聞いてくる。そっか、ごんちゃんにはまだ言ってなかったね…ごめん、忘れてた!



「仲直りしたよ」


「本当!?良かったー、まだ仲直りしてなかったら水希を懲らしめる予定だったから」


「何で私だけなの!」


「どうせ、水希が芽衣を怒らせたんだろー」



久しぶりに会うのに、酷い言いがかりだ。でも、心配してくれて嬉しい。



「明日は入学式だね。明後日には2年生か。2人ともこれからもよろしくね」


「ごんちゃん、明日から2年生だよー」


「えー、明日は休みだから実感湧かないよ」


「そっか、、忘れてた。ごんちゃんと芽衣は休みなのか…私だけが登校」



明日は入学式だから部活がなく、学校帰りに芽衣の家に言ってイチャイチャするつもりだったけど、、私だけ登校と気づき切ない。

でも、暫くは日曜日にデートを出来ない分…会える日にデートをしなきゃ芽衣を補給出来ない。



「芽衣、明日…空いてる?」


「うん、もちろんだよ」


「一度、家に帰って芽衣の家に行くね!」


「待ってる」



ごんちゃんがニコニコしながら私達を見つめている。きっと、ずっと心配していたんだと思う。筒井に取られるよって怒ってたし。

さわちんもだけど、ごんちゃんも心強い友達だ。私は友達に恵まれている。

だけど、そんな大事な友達に後日魔の手が掛かる。いや、違う。計画が着々と進んでいる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る