第230話

私は芽衣のベッドで、携帯を触りながらドキドキしていた。久しぶりに来た芽衣の部屋は懐かしい匂いと嬉しさで興奮する。

緊張する…お風呂上がりの芽衣を見た時、この気持ちを抑えられる自信がない。すぐに押し倒したくなりそうだ。


あっ、mさんのインスタの更新通知が来てる。夜空の写真が一枚アップされており、、一瞬思考が止まった。

別にリアルタイムで撮った写真をインスタにあげる人は少なく、昨日撮った写真や時間差でアップする人の方が多い。


だから、もうしかしたら芽衣は私を待ってる間に昨日撮った写真をアップしたのかもしれないと思った。けど、、mさんは芽衣ではないんじゃないかと頭によぎる。

海に行こうっと言った時、芽衣は夏に行った海?って聞き返してきた。その時、私は芽衣の反応に少しだけ戸惑った。



私が芽衣に海に行こうと行ったのは、、mさんのインスタに《思い出の場所》と一言書かれた言葉と海の写真を見たからだ。

だから、今度は2人で行きたくて誘ったけど、もしかしたら…mさんは私の知らない人かもしれない。偶然が重なり、私が芽衣と思い込みたかっただけ。


mさんのインスタの海も夏に行った海なのか分からないし…もし、違ったら残念だな。

離れていても芽衣と繋がれていると思っていたから急に寂しくなった。

mさんは誰なんだろう?私の周りにはmの人は芽衣しかいない。あっ、でも未来ちゃんがmだ!いや、、流石に違うよね?



「水希。何、見てるの?」


「うぉ、びっくりした」



急に背中に乗ってきた芽衣の温もりに驚き、興奮が急速に上がる。良い香りがして、一気に体の体温も上がった。

本当はもっと芽衣と話をして夜を楽しみたかったけど、、ダメだ。我慢出来そうにない。



「水希、、ちょっと待って…」


「無理…」


「電気…」



飛び跳ねる様にベッドから降り、電気を消す。急いでベッドに戻り、芽衣を抱きしめる様に上に被さると首に腕を回してくれた。

離れている間、、芽衣に触れたくて仕方なかった。やっと…芽衣を感じられる。



「久しぶりだから…優しく出来ないかも」


「水希の好きにしていいよ」


「芽衣が痛いのは嫌だ、、」


「痛みなんて感じたことないよ。愛しか感じたことない」



どうしよ、泣いちゃいそうだよ。芽衣の言葉が嬉しくて、好きすぎて苦しい。大好きすぎて、また好きになる。





この夜の記憶はあまりない。無我夢中だったし、芽衣の甘い声と柔らかな肌の感触が強すぎて他のことが記憶から溢れていく。

それ程、芽衣の声がヤバかった。耳が蕩けそうになり、私を最高潮に興奮させた。


朝起きた時、私の腕の中で眠る芽衣を見つめ恋って偉大だなって思った。何も考えてこなかった私が未来を見つめる様になったから。

バイトを始め、行きたい大学を見つけ、将来のことを考え始め少しだけ大人になれた。


芽衣はどんな未来を描いているのかな?芽衣の未来に私はいるのかな?そんな弱気な心はまだあるけど、未来に向けて頑張ると決めているから突っ走るだけだ。

明日は始業式。明後日は入学式で私達は進級し2年生になる。


高校の入学式の時、私は恋がしたいってずっと思っていた。1年前の私、、夢が叶ったよ。芽衣という大切な恋人が出来た。

私はまだ起きるまで時間があるから目を瞑る。この幸せな時間をもっと味合うために。



◇ ◇ ◇



私と芽衣が寝ている間にmさんのインスタの更新の通知が来ていた。でも、私は気づかない。だって、私が起きたとき芽衣の方が先に起きていたから分かるはずない。

mさんは未来ちゃんなのかな?でも、だったら何で?私を心配してくれて?


それとも全く知らない人なの?晴菜さんの時の様にまた偶然で何か起こるの?

芽衣、菜穂、恭子、爽子、ひかる、未来、美和(未来ちゃんの友達だけど…絶対にmさんではないと思う)、まどか、晴菜、美南、、遠藤美南…!まさかね、、


私の周りにはmさんがまさか4人もいたなんて凄いね。だから、私にはmさんが誰なのか分からなくなくて、もっと後になって分かる。

先に言っとくね、まぁ分かってるとは思うけど、mさんは芽衣じゃなかった。知らない人…でもなかった。だけど、まだ先の話。。。



◇ ◇ ◇



朝、二度寝して起きたとき芽衣が携帯を触っていた。私の寝ている姿を写真に撮り、嬉しそうに眺めている。



「芽衣、おはよう」


「あっ、おはよう」



ふふ、苦しいけど嬉しい。甘える様に抱きつかれ、、朝から襲いたくなる。

芽衣はまだ裸で、電気は付いてないけど部屋は明るいから綺麗な裸を直視できる。軽いイタズラ心で、胸元にキスをするとやっと裸ってことに気づいたみたいだ。



「あっ、逃げないでよ」


「服を着るからもうダメ…///」


「ちぇ」


「キスだったらいいよ…」



芽衣は甘いな。私がキスで止まれるわけないじゃん。私が芽衣にするキスは重い。

愛情と比例する様に、とびきり重くて甘いキスをする。芽衣が私の服を握る手に力がこもりニヤけてしまう。





私は恋の波乱は好きじゃない。昔は好きだった三角関係のドラマも今は苦手になり、リアルに体験すると嫌いになるみたいだ。

それなのに私の周りはいつもざわざわする。恋をすると止まれない。でも、それが真の恋なのかもしれない。


The course of true love never did run smooth


恋は曲者だ。

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