第229話
「さてと、そろそろ帰らないと」
やった!恭子先輩が帰り支度を始めた。ひかるもさわちんもコートを着てバスの時間を調べている。やっと芽衣と2人きりになれる。
芽衣を家に送り、そのまま芽衣の家に泊まればいいし。やっとだよー。
お泊まりの用意をして、、夜ご飯はどうしようかな?お小遣いは残り少ないし、お年玉は芽衣の誕生日プレゼント用だから使えない。
悩ましい…急に泊まることを決めたから夕ご飯のこと何も考えてなかった。
「芽衣…少しだけ待っててもらえるかな?急いでお風呂に入って、夕ご飯を食べるから」
「うん、待ってる」
よし、夕ご飯を食べたら用意をして芽衣の家に行かなきゃ。芽衣が遅くなってしまう。
あー、芽衣の家に行くの久しぶりだ。
「芽衣、紅茶を入れてくるから待ってて」
「ゆっくりでいいからね」
私はみんなを玄関で見送った後、急いで紅茶を入れお風呂に入る(恭子先輩とさわちんがニヤニヤしていたのは気にしない)
はぁ、、緊張するな。キスも久しぶりだし…考えただけで胸のドキドキが止まらない。
優しく出来るかな…無我夢中になり芽衣に無理させちゃうかも。明日が休みだったらいいのに。部活もあるし、バイトもあるよ。
だけど、もうすぐ春休みが終わるから図書館のバイトだけになる。芽衣との時間が作れる。
お風呂から上がった後、私はお姉ちゃんと一緒に夕ご飯を食べ始めた。横同士で黙々と食べていたら、お姉ちゃんが姉として私と芽衣の心配をしてくれた。
いつもは女王様だけど時々、お姉ちゃんぶりを発揮してくるから敵わなくて…有難い。
「水希、芽衣ちゃんを今度は泣かしちゃダメよ」
「うん…ありがとう」
「あと、、晴菜さん…」
「何?」
「・・・何でもない」
晴菜さんがどうしたのかな?お姉ちゃんが困った顔をしながらまたご飯を食べ始めたから聞けなくなった。
お姉ちゃんが困った顔をするのは珍しい。いつも自信満々で悩み事もすぐに解決する。
しまった。早くご飯を食べなきゃ。芽衣が待っているし、きっとお腹が空いたよね。
私は急いで夕ご飯を食べ、歯を磨いて二階に上がる。芽衣がベッドの上で寝そべりながら携帯を触っていた(後ろ姿も可愛い)
「芽衣、お待たせ」
「・・・水希、こっち来て」
「どうしたの?」
芽衣に呼ばれて近づくと、ベッドに座るように促され…芽衣に抱きつかれる。力が強くて、危うく後ろに倒れそうになったよ。
「いきなり、眼鏡はずるい…」
「そっか、芽衣の前では久しぶりだね」
「好き…大好き」
「私も大好きだよ」
気持ちを伝え合ったあと目が合うと…潤んだ瞳が私を誘う。ここでキスしたら止まれなくなるのに、芽衣の艶やかな唇が私を誘うよ。
久しぶりに触れた唇は柔らかく、甘くて、やっぱり夢中にさせる。
どうしよ…早く、芽衣の家に行ってご飯を食べてお風呂にゆっくり入って欲しいのにな。
「芽衣、、」
「離れないで…」
「遅くなるから、、芽衣の家に行こう」
「うん…そうだよね」
いじけてる芽衣が愛おしい。私も芽衣と同じ気持ちだよ。離れたくないけど、我慢ができているうちに芽衣の家に行かないと襲いそうなんだ。中途半端な愛を送りたくないし。
「水希、ずっと一緒だよね…」
「当たり前でしょ」
芽衣の目に涙が溜まっている。改めて芽衣を苦しめていたんだと気づき、土下座して謝りたい。きっと芽衣はしばらく不安から抜け出せないかもしれない。
私は…芽衣に何ができるかな。芽衣の心を癒すにはどうしたらいいの?
芽衣を抱きしめながら考えていると「早く水希の温もりを直に感じたい…」って言われ急いで芽衣の家に行く準備をする。
私に出来ることは少ないけど、早く芽衣の心を体ごと温めてあげたい。私の心もずっと隙間風が吹いて寒かった。
お互いに暖め合おう。もうすぐ春が来る、春の様に私達の心も体もポカポカにしようね。
やっと寒くて蕾だった花が咲きそうだ。芽衣に愛を贈ったら、春が来る前に人足先に花を満開に咲かせることが出来そうだよ。
「あっ、芽衣。今度さ思い出の場所巡りしない?」
「したい!」
「海に行こうよ」
「海って夏に行った海?」
「うん」
「行くー」
芽衣が喜んでいる。あっ、でも日曜日はバイトだし…流石に直ぐには辞めれないよ、、
入学式は在校生は自宅で自主勉強の日だけど生徒会は全員出席する。生徒会長のお姉ちゃんが新1年生の前でスピーチをする。
私に休みないじゃん!やっぱり、日曜日のバイトを辞めないと芽衣との時間が取れない。
「芽衣…海に行くの1ヶ月待ってもらっていい?」
「えっ、何で…」
「日曜日のバイト…すぐには辞めれない」
「そっか、じゃ仕方ないよね、、」
「ごめん…しばらく日曜日はデート出来なくて」
「バイトの大変さや責任は私もバイトして分かるから大丈夫」
「芽衣はいつまでバイトするの?」
「春休みの期間の間だけだよ」
芽衣がすんなり受け入れてくれて感謝だ。読み聞かせのバイトは楽しいから残念だけど、担当の人にお願いしなきゃ。
慣れた頃に辞めないといけないって寂しいし残念だけど、凄く良い経験をさせてもらって感謝しなきゃ。
「あっ、でも遠出は出来ないけど今度美味しいココアの店に連れていくね。ミルマロもあるお店なんだ」
「行きたい!」
晴菜さんに教わった店だと私は言うか悩んだけど、言うのをやめた。この可愛い笑顔を曇らせたくなかった。
いつか、、言えたらいいなと思いながら最後にもう一度芽衣にキスをする。隠し事にならないよね…?っとドキドキしながら。
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