第231話
今日は春休み最後の日だ。芽衣と一緒に部活のために朝から登校し、ジャージに着替え気を引き締める。
いつのまにか4月になっていて、1年が経つのが早い。去年はまだ中学生で、恋に憧れ恋を知らない私だった。
春休みが終わると私の中でやっと春がきたなっと感じる。きっと、進級して新しい1年が始まろうとしているからかも。
あと2日後には2年生になる。今年で17歳になり、、私は受験勉強を頑張らなきゃ。
絶対に東條大学に受かりたいし、私の学力では2年生から頑張らないと厳しい。
私より断然頭の良いお姉ちゃんが勉強を頑張っているんだから、私は5倍は頑張らないとダメだろう。生徒会長と部活を両立しているお姉ちゃんには一生敵わないよ。
もし、私が生徒会長になったらお姉ちゃんみたいにやれるかな…人前で話すの苦手だから緊張してお腹痛いってずっと言ってそうだ。
「水希、何黄昏てるの?」
「もうすぐ2年生になるんだなって」
「時間が過ぎるのって早いよね」
「ねぇ、さわちん。もし、生徒会に受かったら一緒に頑張ろうね」
「嫌だ!絶対に落ちるから頑張らない」
「そこは《うん》でしょ!」
さわちんが駄々をこねながら、人前に出るの嫌いって騒いでいる。確かに、さわちんは苦手そうだなっとは思うけど、もし一緒に生徒会メンバーになれたら心強い。
お姉ちゃんに何でさわちんなの?って聞いたら監視役と私を叱る役って言われたけど。
「未来ちゃん、喜ぶと思うよ」
「それでも嫌だ!」
「じゃ、立候補しないの?」
「立候補だけはする…先輩と約束したから」
私も人前に出るのが好きじゃないから、出来れば落として下さいと言いたいけど、負けず嫌いで悔しい気持ちにもなるからもどかしい。
とりあえず、頑張るだけ頑張って落ちたら芽衣に慰めてもらおう。全てにおいて頑張ると決めたから全力で頑張りたいし。
はぁ、、日曜日は芽衣とのデートはしばらくお預けだ。だけど、日曜日のバイトを辞めることに対して申し訳ない気持ちにもなる。
まだ、数回しかしてないしお世話になった分辞めると言うのが辛い。でも、芽衣を優先したいから言うしかなくてジレンマに陥る。
「あっ、そうだ。私も土曜日にバイト始めることにした」
「そうなの?」
「水希がバイトを始めてから、しっかりしてきたのを見て触発された。それに、デート代を貯めたいし」
「そっか、頑張ってね」
「うん、頑張るよ」
みんなが変わろうとしている。さわちんも未来ちゃんの為に大人になろうとしてるね。
私は少しは大人になれたかな?大人になるため、芽衣と距離を取ったけど泣かせちゃったし…大人になるって難しいよ。
さて、1年生としての最後の部活を頑張ろう。明日は現生徒会の最後の集まりの日で、久しぶりに先輩達に会える日だ。
4月になったら、生徒会選挙が始まり5月から新しい生徒会が始まる。
去年は嫌々立候補して、生徒会へのアピールを何もしていないから今年はどうしようかな…今年もスピーチだけでいいのかな?
お姉ちゃんもこれと言って何かをしていたわけではないし、、周りに対しての愛想の振りまき方はえげつなかったけど。
あっ、空が曇ってきた。夕方から雨が降るのかなしれない。バイトに行く時、傘を持っていった方がいいかも。
カフェのバイトも今日で最後で、初めての接客業をして度胸がつき精神を鍛えられた。
今日は晴菜さんが家庭教師に来る日だから早く帰ってこないといけない。送る時、雨が降らなければいいけど、、雲が厚くなってきたから夜には大雨が降りそうだよ。
どうやって晴菜さんを送ろう…雨だからバスで帰るからいいよって言われそうだ。
私としては晴菜さんを家まで送らないと不安になるから嫌なのに…私が心配性だけかな。
晴菜さんを守りたいと言う気持ちが強いからこそ不安が強い。私の代わりに晴菜さんを守ってくれる人が現れると安心するんだけど。
あー、嫌だ嫌だ。また想像しちゃった。あいつのムカつく顔を思い出しちゃったよ。いやらしい顔をしながら晴菜さんに触るあいつを想像してしまい殴りたくなる。
岩本さんに話を聞いたから余計に悔しい気持ちが私を苦しめる。もっと前に出会えていたらって…守れたかもしれないのに。
朝起きた時、mさんのインスタに葉っぱの写真が更新されていた。緑の綺麗な葉っぱで、もうすぐ春って書いてあった。
mさんは一体誰なんだろう。今度、確かめる為に芽衣に聞いてみるのもいいかも。流石に気になってきたよ。
私はチラッと家庭科室を見る。《minami》のmなのかと頭に過ぎる。もし、遠藤さんだったら私はこのまま交流を続けていいのか分からない。きっと、芽衣は嫌な気持ちになるのが分かっているから。
だから、もしmさんが芽衣じゃなかったら探すつもりはない。知らない方がいい時もある。
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