第226話

今日は久しぶりにバイトが休みだ。ずっと部活とバイト漬けで久々に少しだけ体を休められる。だけど、部活はあるから早起きで伸びをしながら携帯のアラームを止めた。

昨日、芽衣が髪の毛を切っていてビックリした。似合っていたけど、切なくもなり、、


芽衣は心機一転って言っていたけど複雑な気持ちになるな。凄く髪型は似合ってたよ。

どんな髪型でも可愛いけど寂しかった。可愛い、寂しいの感情が交互に来て私を悩ます。出来れば、頭をなでなでしたい。



「水希、やっと起きたの?そろそろ支度しないと部活に遅れるわよ」


「はーい。急いで朝ご飯食べる」


「あっ、水希ってバイトいつまで?」


「バイトは春休み最終日までだよ」


「えっ、休みないの?」


「今日は休みだよ」



お姉ちゃんがホットコーヒーを呑みながら私のバイトの休みを聞いてくる。多分、毎日部活とバイト漬けで家にいないからだろうな。毎日、帰ってくるの夜の9時過ぎだし。

でも、お給料が楽しみなんだ。暫くはお金に困らないし、プレゼントも買える。



「水希、無理しすぎじゃない?」


「大丈夫だよ。バイト楽しいし」


「ちゃんと息抜きしなさいね」



息抜きか、、またココアでも飲みに行こうかな。大好きなココアを飲めると元気になるし。あとね、この前知ったんだけど喫茶店にミルマロがあってビックリした。名前は違うけど、ホットミルク(マシュマロ付)ってあって驚いた。


芽衣、喜びそうだな。連れていってあげたいけど晴菜さんに教わった店だし嫌がりそう。どこで知ったの?って質問されたら上手く答えられる自信がない。

今も芽衣にとっては晴菜さんは地雷なのかな…何で地雷なのか私には分からないよ。


今は頑張れることを頑張る。頬を叩き、気合を入れた。制服に着替え、急いで朝ご飯を食べる。前だけを向く。頑張って突っ走るんだと決めてるから。

うー、、痛い。気合い入れた途端、足を机にぶつけ危うくこけそうになった。


やだな、空回りする暗示みたいで。さっき叩いた頬も力加減せずに叩いたから痛いし、足(主に小指)も痛い。

今日、部活で転ばないように気をつけないと。怪我をする暗示かもしれないし。





ちゃんと気をつけていれば人は怪我はしない。部活中、怪我をしないよう意識しながら走りもうすぐ部活の終わりの時間が来る。

何事もなく終わるって私は喜んだ。この時までは、、ひかると芽衣の会話が聞こえてきて私の耳は全集中する。


一言も聞き逃さないように、私は聞き耳をたてた。盗み聞きは悪いことだけど心配するフレーズが聞こえてきたから仕方ない。

ひかるが芽衣にバイト慣れた?と聞き、芽衣が慣れたよって返事したまではよかった。

でも、その後バイトで指を怪我したと聞こえてきて私は叫びそうになった。


あの暗示はこれか!芽衣が今日も怪我をする暗示…えっ、どうやったら回避できるの!?

芽衣の代わりにバイトなんて出来ないし、芽衣の指には絆創膏が貼ってある。

くそ、今気づいた。今頃気づくなんて情けないよ。だから、芽衣がバイトするの心配なんだよ。玉の肌に傷が付いた。



「水希、水希!」


「はい!」


「部活中にボーッとするな」


「恭子先輩、、なんだ。さわちんか」


「おい!」



また恭子先輩に怒られるのかと思った、、さわちんの声の掛け方が恭子先輩と同じで焦ったよ。部活中にボーッとするとその後のしごきが大変なんだよ。



「芽衣のこと考えてたの?」


「まぁ、、」


「ひかるに聞いたんだけどさ、、この前バレンタインの時の男の子が来たじゃん」


「うん…」


「こら、落ち込むの早い!芽衣はちゃんと交際出来ない、学校にも来ないでって言ったのに、だったらしつこく友達になりたいって言い来たらしくて芽衣がブチ切れたって話」



うわー、悔しい、、あの時、何で私は逃げたんだ。あの時、逃げなかったら芽衣を助けられたのに私は大馬鹿だ。

筒井め、、クソ野郎だな。交際出来なかったから友達だなんて。絶対、そんなこと思ってないだろう。隙を狙ってアタックするつもりなの見え見えなんだよー!



「そろそろ芽衣と仲直りしたら?」


「分かってる…」


「芽衣の目腫れてたし、昨日泣いたんじゃない?」


「えっ!?腫れてたの?筒井のせい?えっ、何で芽衣は泣いたの!?」


「知らないよ。水希が芽衣の恋人なんだからちゃんと聞いてこい」



芽衣に話を聞きに行きたいけど、今だと中途半端すぎるしどうしたらいいのだろう…。

でも、泣いた理由が知りたい。芽衣を泣かした奴を殴りたい。誰だよ!泣かした奴。


ダメだ気になって仕方ない。泣いた理由だけでも聞きに行こう。我慢できないもん。もし、筒井だったら学校まで乗り込んでやる。

お姉ちゃんを連れて、、恭子先輩とさわちんも来てくれるかな?



「芽衣…ちょっといい?」


「何?」


「あのさ、、昨日、誰かに泣かされたの?目が腫れてる…ぐふ、、あの、、芽衣ちゃん」



うごぉぉ、久しぶりに芽衣にお腹を殴られて痛い。朝ご飯が口から出てくるかと思った。

ジャージを掴まれ、引っ張られながら芽衣と部室まで歩いていく。芽衣がなぜか怒ってる。芽衣ちゃんの顔が怖いよ、、部室に入った途端、私は壁に押しやられた。

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