第214話

Mei side.02



水希のタラシは優しさ故のものばかりで悪気がないからタチが悪いけど、、天然だし最近は水希なりに行動を考えていた。

私は筒井君が私のことをまだ好きなのは感じていたけど二度も告白を断ってるし、別に買い物に一緒に行くだけだったら問題ないと勝手に思っていた。


だけど、この行動は水希にとっては傷つく行為で内緒にしていたから特に拗れた。

ひかるちゃんに「自分がされて嫌なことはしちゃダメだよ」言われ心に痛む。

水希に同じことをされたら嫌だ。めちゃくちゃ嫌だ、、私だったら激怒するだろう。


水希が時々、家庭科室をジッと見ているのを知っていた。でも、水希は悲しい顔をして一度も家庭科室に近づかなくなった。きっと私に気を使っていた。

分かっていたのに、、水希がちゃんと私の事を考えてくれていたのを。



「水希のことを一番分かっているのは芽衣ちゃんでしょ」



ひかるちゃんの言葉が身に染みる。私は甘えすぎていた、、水希の優しさに甘え、当たり前だと勘違いしていた。

あんなに優しい人なんていないのに。あれほど苦しんだ片想い時期をすっかり忘れるなんて、、バカだ。大バカだ。


やっぱり、私は水希と距離を置くことになるのかな…。甘えることも、抱きつくことも、キスすることも、愛し合うことも出来ない。

もし、水希に好きな人が出来たらどうしよう。私は、永遠の片想いをすることになる。



私はひかるちゃんにお願いして、部活を休むことにした。とてもじゃないけど、部活をするにならなくて、ヨタヨタと校門を出る。

そしたら、筒井君がいて、、後悔した。私は筒井君に期待をさせてしまったんだ。

私が水希以外の人を好きになることがないのに、期待をさせ色んな人を傷つけた。


あれほど、水希の行動には文句を言っていたのに私は自分の行動は気にも留めなかった。

意味なんて考えず、、最低だ。水希のことをちゃんと考えていれば距離を置かなくても済んだのに。最悪だよ、時間を巻き戻したい。


水希はきちんと遠藤さんに断った。期待を持たせちゃいけないって分かってるから遠藤さんと距離をとった。

そばで見てたのに、私は同じことが出来なかった。水希、ごめんね。やっと、、水希の気持ちが分かったよ。


私は筒井君にもう会えないし、恋人がいると伝え、恋人に誤解されるのが嫌だから学校に来ないでとハッキリと言った。

酷い女だね…私の無自覚な行動のせいで筒井君に期待させといて、、でも、やっと言えてよかった。水希は苦しかったよね、、



私は急いで水希の家に向かう。もう遅いって分かっている。けど、、私はもう一度ちゃんと水希と話したかった。

急いでバスに乗り、水希の家に向かっていると、、水希とすれ違った。横には晴菜さんがいて、笑顔で一緒に歩いている。


水希の横は私の指定席なのに、、お願いだから指定席を取らないで。お願いだから、、その笑顔を私以外にの人に見せないで。

でも、私は水希が言った距離を置きたいと言う時間が過ぎるのを待つしかない。



水希が好き


水希が大好き


水希を愛してる



私はバスを降り…涙を堪えるため、溢さないために空を見上げる。最初は涙でよく分からなかったけど、春の空の暖かさと綺麗さを実感できたよ。

空を見上げながら私は水希への愛を呟く。この想いが届いて欲しいと願いながら。










Nao.side



昨日は水希の涙の跡が痛々しかった。芽衣ちゃんと別れたとは言っていたけど、きっと大喧嘩をしたのだろう。

朝、起きてきた時はどこかスッキリとした顔をしていて顔が引き締まっていた。水希の中で何かを決断したみたい。


私は水希と芽衣ちゃんを見守ることしか出来ない。別れないとは思うけど、、恋は分からないから…私も彼氏と別れたし。

恋は勉強より難しい。私にとっても難解すぎて解けない問題ばかりだ。

初恋は実らないって言う。でも、私は水希と芽衣ちゃんには跳ね除けてほしい。



本当にお似合いで仲の良さがいつも羨ましくて、私の理想なんだよ。



だから私は作戦を立てた。この作戦は私にとっても有意義で、もともと考えていたこと。

きっと作戦は上手くいくはず。でも、まだ答えが出るのは2ヶ月先。

私はじっくりと動く。まずは周りを固めて動くと決めた。私は突発的な行動はしない。


勉強と一緒でコツコツ派だ。まずは水希からで、、あとは周りを固めていく。

はぁ…これから忙しくて倒れそうだよ。あと、、問題は晴菜さんなんだよね。

晴菜さんはどこまで水希に本気なの?晴菜さんが水希に対して特別な感情を持っているのは分かっている。


水希の背中に抱きついたり、映画を見た時は水希に抱きついていたし(怖がってたから悩ましいけど)、、手も繋いでいた。

大好きなホラー映画なのに、気になって映画が集中して見れなかった。喉ばかり渇き、ミルクティーをがぶ飲みした。



最近の水希は晴菜さんに出会って変わった。良い方向だからいいんだけど、、そのせいで芽衣ちゃんとの仲が拗れた気がする。

水希は芽衣ちゃんに一途だけど、急に片方だけが成長すると相手は取り残される。上手くバランスが取れなくなるんだ。


今まで見てきた芽衣ちゃんのライバルの中で晴菜さんは最強だ。私でも敵わない。

きっと、晴菜さんに関しては私は何も出来ない。もし、晴菜さんが水希に対して本気だったら、、どうなるのだろう。

私の作戦は時間が掛かる。その間に、、何も起きなければいいけど。

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