第215話
このココア、めちゃくちゃ美味しい!
今日、晴菜さんに部活が休みならバイトに行く前に約束したお勧めのココアを飲みに行こうと誘われた。
この喫茶店、ココアも美味しいし店の雰囲気も凄くいい。気持ちが落ち着く。
「ココア、どう?」
「めちゃくちゃ美味しいです!」
体が温まるし、程よい甘さが最高だ。ホットチョコレートとは違う美味しさで、風邪が治ったばかりの体に元気をくれる。
今度、芽衣を連れて来たいな。芽衣もココアが好きだし、、季節がまだ寒いうちにホットココアを一緒に飲めたらいいな。
「甘い物って疲れた時に美味しいよね」
「はい」
このココアに焼きマシュマロとか入れたら更に美味しそう。芽衣、絶対に喜ぶ、、ずっと芽衣のことばかりだな。
芽衣に距離を置こうと言ったのは私なのに、会いたくて仕方ない。でも、強くなりたかった。自分自身を鍛え、筒井君や男子に負けない気持ちを持ちたかった。
もし、芽衣と距離を置いたことで芽衣に好きな人が出来たら受け入れると決めている。
私が勝手に言ったことだし、芽衣に好きな人ができたら、、私は負けたと言うことだ。
振られるかもしれないのに、距離なんて置くことないと思われそうだけど、弱い私を見つめ直し克服したかった。
芽衣がそばにいると甘えてしまう。あと、芽衣への気持ちを考えたかった。
この前、初めて芽衣にムカつくって感情を持ち、、そんな感情を持ってしまった自分が嫌だった。心が弱くて、芽衣の全てを受け入れられない器の小ささが情けなくて。
私はもうすぐ来る春休みの間、バイトをしまくってお金を稼ぐと決めている。部活とバイトを頑張り、忍耐力をつける。
あと、お金が貯まったら…芽衣とお揃いのアクセサリーが欲しいなって思っている。
ずっと携帯のスマホケース以外のお揃いの物が欲しくて、芽衣にプレゼントしたかった。
私は男でもないし、お金持ちでもない、頭も良くない、イケメンでもない。
私は誇れるものが何もないし、中身で勝負するしかなくて、、でも、優しさだけでは他の人に負けてしまう。
だから、弱い心を脱却して強い心を持ちお金を稼ぎたくて頑張ると決めている。
だけど、怖いよ。芽衣に好きな人が出来たら、、受け入れると決めてるけど、きっとめちゃくちゃ泣くだろうな。
しばらくは立ち直れないかもしれない。芽衣と友達としていられる自信はないけど、、自分で決めたことだから乗り越える。
「水希ちゃん、眉間にシワが寄ってるよ」
「えっ、本当ですか?」
「伸ばさないと跡が付いちゃう」
晴菜さんに眉間を撫でられ、晴菜さんとの距離が近づきドキドキする。この前、手を握られたのが頭に残っているのかも。
「晴菜さん、あの、、」
「何?」
「お腹!お腹空きませんか!?いつも飴玉を貰ってるので奢ります」
晴菜さんが余りにも見つめてくるから、緊張した勢いで話を逸らそうとした。でも、クスッと笑われ改めて晴菜さんと私の差を感じられ、大人としての余裕が違うよ。
「ここね、グラタンが美味しいよ」
「グラタン大好きです!」
まだバイト代は出てないけど、少しずつ貯めたお小遣いはまだ残っている。晴菜さんに日頃のお礼をしないと。美味しいココアを飲めて幸せだし。
「あっ、割り勘にしようね」
「ダメです。私が奢ります」
「ねぇ、水希ちゃんって今まで何人の人に告白されたの?恋人は抜きで」
えっ、突然の話にビックリしたし告白って…恥ずかしいよ。ひかると遠藤さんの2人に告白されたことはあるけど、、人数を言うのは断っているから申し訳ない気持ちになる。
それに何で私なんだろうっていつも思うし。
「言わないとダメですか…?」
「言わないと割り勘にする」
「そんな、、」
うー、悩むよ。いつもお世話になってるから奢りたいのに告白された人数を言わないと割り勘になっちゃうしどうしたらいいの?
晴菜さんは楽しそうにニコニコして、私で遊んでるでしょ。晴菜さんには敵わないよ、、
「よし、割り勘決定ね」
「晴菜さんの意地悪…」
「水希ちゃんは、まだまだだね」
晴菜さんにお勧めされたグラタンは美味しかった。美味しかったけど、、いつか、スマートに奢れるような人になりたい。
結局、晴菜さんの方が多く支払い…少しだけど奢ってもらう形になってしまった。
「水希ちゃん、また一緒にどこか行こうね」
「はい」
「あっ、そうだ。はい、いつもの飴玉」
「晴菜さん、ありがとうございます!」
「ねぇ、一度…晴菜って呼んで欲しい」
「名前を呼び捨てですか…?」
年上の人に呼び捨てで名前を呼ぶの緊張する。それに4歳も年下の私が晴菜って、、本当に呼んでいいのかな?
「晴菜…」
「照れくさいね」
「めちゃくちゃ緊張しましたよー」
「そうだよね、4歳も違うし、、」
1つ年上の恭子先輩でも、私は呼び捨てには出来ない。まして、晴菜さんは大学生だし高校一年の私からしたら大人だ。
「じゃ、行こうか…」
あれ?晴菜さんのテンションが急に暗くなった。何でだろうって思い声を掛けようとすると、あいつがいた。
やっと晴菜さんが暗くなった理由が分かり、私は晴菜さんの手を掴んで歩き出す。
あの晴菜さんの元彼クソ野郎がケバい女の人と腕を組みチャラチャラと歩いていた。
あんな男の事で悩んで欲しくなくて、見えなくなるまで歩くと急にストップが掛かる。
晴菜さんが歩こうとしない。私をジッと見て、口が動いているけど何を言っているのか分からなかった。
私は読唇術なんて出来ない。たった二文字?だと思うけどいきなりだったし、私には何て言っているのか分からなかった。
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