第174話
クレープ…
悔やんでも仕方ないけど、私の馬鹿と叱責したい。この状態になったクレープは家でなら平気で食べるけど周りには人がいる。
どうしたらいいの?捨てるのだけは絶対に嫌だ。全部食べ切りたいよ、、
「あの…新しいクレープ買ってきます」
「いや、あの、、大丈夫です」
しまった、、どうやって溢れた分を食べようか悩みクレープを見過ぎた。お姉さんが申し訳なさそうにしている。
お姉ちゃんと恭子先輩は呆れているし、、だって!全部食べたかっただもん。
「手を洗ってくる…」
「あの、一緒に、、」
お姉さんがトイレまで付いてきて結局クレープを買ってくれることになった。自分が凄くダサい。ダサすぎる。
食い意地張ってるし、結局お姉さんを助けたのはお姉ちゃんだし私は何もしていない。逆にクレープを奢ってもらい情けないよ。
「クレープありがとうございます…」
「助けてくれてありがとう」
「私は何もしてないので…」
「目があった時ホッとしたの。SOSに気付いてくれたから」
「でも…助けたのはお姉ちゃんだし」
クレープをモソモソと食べながら凹んでいるとお姉さんがスッキリしたと言ってきた。
さっきの嫌な奴は元彼らしい。女癖が悪く別れたけどしつこくて、今日会って完璧に縁を切るつもりだった。
でも、逆切れされ無理やり人気のない所へ連れて行かれそうになった時、お姉ちゃんが近づいてきて警察に電話を掛け始めたから元彼は逃げた。
流石お姉ちゃん、やることが凄い。でも、きっとお姉ちゃんのことだから時報に掛けて警察に掛けたフリをしてそうだ。
「高校生?」
「はい」
「最初ね、声を掛けられたとき男の子かと思った」
「ですよね、、急にすみません」
「嬉しかったよ、あんな風に譲ってくれる人あまりいないから」
お姉さんは大学生で、私の高校の近くにある大学に通っていると知った。ってことは偏差値の高い大学だ。
だって、お姉ちゃんが行きたがっている大学だから。そして、高校も私と同じ高校の卒業生だと知り驚いた。
不思議な縁を感じる。今日会ったばかりなのに、なぜだかそう思ったんだ。
お姉ちゃん達に合流した後、お姉さんが東條大学の学生だと教えるとお姉ちゃんが目をキラキラさせ大学について聞いきた。
それに私達の高校の卒業生だと言うと、みんな親近感を抱いて楽しそうに話し出す。
部活も元陸上部だと分かり、みんなの話の盛り上がり方がヒートアップしてきた。
「菜穂ちゃん。今度、大学の見学に来る?案内するよ」
「いいんですか!?」
「うん」
「やった!水希と一緒に伺います」
「えっ?何で私も一緒なの!」
「緊張するからついて来てよ」
珍しくお姉ちゃんから緊張と言う言葉を聞いた。生徒会の選挙でも堂々としたスピーチをするのに、年上相手だと緊張するのか。
宮本晴菜さんとLINEを交換したお姉ちゃんは嬉しそうにしている。そして、なぜか私もLINEの交換をした。
ってか、お姉ちゃんの携帯が壊れたとき晴菜さんと連絡取れないと困るからって…ほぼそんなこと起きないのに念には念をってお姉ちゃんが言い出したから。
私、まだ1年生だし私の頭じゃ絶対に入れない大学だから見学しても意味がないのに、、一瞬で私のプライベートが奪われた。
「水希、晴菜さんを家の近くまで送りなさい。また、あの元彼が出てくるかもしれないから」
「えっ!お姉ちゃん、マジで…」
「私は大丈夫だよ、、」
「念のためです。丁度、水希の格好が男の子みたいなので」
「お姉ちゃん達は一緒に行かないの?」
「ぞろぞろと行ったら晴菜さんの迷惑になるでしょ」
だったらお姉ちゃんが行けばいいのに、、元彼を追い払ったのもお姉ちゃんだし。でも、逆らっても意味がないのは分かっている。
私は渋々晴菜さんを家まで送ることにした。後で合流したらチョコの美味しい店に連れて行ってあげると言われ頷くしかなかった。
「じゃ、行きましょうか」
「うん、ごめんね」
「大丈夫です…」
晴菜さんは少しだけ私の好きなアイドルに似ている。可愛くて、ふわふわとした雰囲気がある人だ。はぁ、、顔も良くて頭も良いなんて本当神様って意地悪だよね。
少しは分けて欲しい。勉強が苦手で試験のたびに苦しんでいるから楽になりたい。
私達は歩きながら高校について話した。私が勉強が苦手だと言うと、晴菜さんが冗談で勉強を教えようかって言ってくれた。
まさか、この時は本当になるなんて思わないよ。不思議な縁ってあるんだね。
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