第172話
眠い…昨日は紅白を見ながら年越し蕎麦を食べ、その後もう一度芽衣と電話をしていた。それから2時間ぐらい話して、寝たのが夜中の3時だった。
私の毎年恒例のお正月の過ごし方は午前中に家族とお参りに行ったあと午後からはのんびりお昼寝をしている。
でも、今日はお昼寝をできていない。うるさいよ…恭子先輩が遊びに来て、お姉ちゃんとわちゃわちゃと話をしている。
何で私はお姉ちゃんの部屋に呼ばれ、話に付き合わないといけないの?寝不足だから、お昼寝したいのに…。
目蓋が閉じる。眠い…お母さんに朝の7時に起こされたから4時間しか寝てない。
「水希、寝ようとしないで」
「恭子先輩、私は寝たのが夜中の3時なんです!2人で外に遊びに行ったらいいじゃないですか」
「じゃ、水希も一緒に行くわよ」
「嫌です…寝たい」
あぁ、、痛い、痛いから。何でお正月にプロレス技を掛けられないといけないの。
お姉ちゃんは優雅に私が入れた紅茶を飲んでいるし、私ものんびり紅茶を飲みたい。恭子先輩が持ってきたお菓子を沢山食べたい。
「水希って芽衣ちゃんがいないと腑抜けになるわね」
「そうなの。水希はすぐに色んな女の子に手を出そうとするし。姉の私が見張ってないといけないから大変よ」
「水希、浮気したら許さないからね」
「しませんよ!私は芽衣に一途です」
「ふん。昨日、未来ちゃんの目をハートにさせたくせに」
やめてー、それは昨日で終わったことじゃん。昨日はさわちんにヤキモチ焼かれ散々だった。大体、未来ちゃんが私のファンだったなんて知らなかったし。
お姉ちゃんも恭子先輩も私の不貞行為に敏感に反応するから困る。言っとくけど全て誤解で、私は不貞行為をしたことない。
ひかるとのキスは芽衣と付き合う前だから一応セーフだし、散々芽衣に叩かれたから罰は受けた。ただ、すっごく痛かった…芽衣は馬鹿力すぎる。
多分、私は巻き込まれやすい運命なんだよ。じゃないとおかしいし、神様を恨む。何で私ばかりと。
「それにしても、水希って可愛い子にばかりモテるわね」
「水希のどこがいいのかしら?姉の私から見てもどこにでもいる普通の女の子なのに。あっ、分かった!幸が薄そうな顔に無垢な女の子が油断していたらタラシの蜘蛛の巣に引っかかるの」
「そうね、それしかないわ」
酷くない?我が姉ながらかなり酷いことを言ってるよね。幸が薄い顔って、、分かってるよ。普通でどこにでもいる人間だって分かっているから戸惑ってるんじゃん。
きっと、高校が女子校だから起きている現象で外に出たらあり得ない現象だから気にしても意味がないけど面倒くさい。
「恭子、そろそろ外に行く?」
「うん、出掛けよう」
「水希、用意をしなさい。上は別にパーカーでもいいけど下はせめてジャージ以外にして」
「えっ、お姉ちゃん達で出掛けなよ。私は家でお留守番する」
「いいから早く着替える!」
「えー、、めんどい」
しぶしぶ立ち上がり服を着替え、髪をセットするのが面倒くさくてキャップを被った。
うーん、鏡で見た姿は男の子みたいで眼鏡だし、身長的にも中学生に間違われそうだ。
まぁ、いっか。デートでもないしお姉ちゃんと恭子先輩の下僕として同行するだけだ。きっと、私は荷物持ちになるはず。
「水希、あとで甘い物を奢ってあげる」
「恭子先輩、本当ですか!?」
「だから、今日は最後まで付き合ってもらうわよ」
「そんな…」
ぬか喜びするんじゃなかった。天国から地獄に落とさられテンションが上がらない。
はぁ、、断りたいけど甘い物が食べたい。くそ…何で私は甘党なんだ。お菓子の誘惑に勝てたことがない。
今日は人が多い。周りは人だらけで街の中はお正月の音楽が掛かっている。
出来れば神社に行って出店に行きたいな。この格好だとお洒落なお店は入りづらいし、クレープが食べたいよ。
「菜穂、まずはどこに行く?」
「そうね、水希は行きたい所ある?」
「神社でクレープが食べたい!」
「花より食い意地か。姉として悲しくなるわ」
「どうせ、私はお姉ちゃん達の荷物持ちになるんだから先にエネルギーチャージさせよ」
「そうね、次いでにお参りでもしようか。恭子もいい?」
「いいよー」
私が荷物持ちになることを否定しない姉。恭子先輩も突っ込まないしきっとそう思っているんだね。
いいもん、恭子先輩が甘い物を奢ってくれると約束してるし高いクレープを頼んでやる。
うわぁ、神社…人多すぎ。午前中に親と小さな神社でお参りしたけど大きな神社になると人数の差がすごい。でも、大きな神社じゃないと出店がないから仕方ない。
朝のお参りは芽衣とずっと仲良く、ずっと一緒に入れますようにってお願いしたからなんてお願いしようかな?
「彼氏ができますように…」
「恭子先輩…声に出てますよ」
「嘘!切実すぎたからかな…」
「恭子、彼氏よりも前に第一希望の大学に受かりますようにがよくない?」
「それは朝お願いしたから」
そっか、お姉ちゃん達はもう受験モードに入るのか。今年で3年生なるんだね。私も2年生になるし、、時が経つのが早い。
少し寂しいな、お姉ちゃんや恭子先輩とこうやって一緒に入れるが減るだろうし部活も夏までだ。少しどころか、かなり寂しい。
「水希、500円渡すから温かいお茶を買ってきて。
「私はミルクティーね」
前言撤回!まだクレープを奢ってもらってないのにパシリになってる。でも、お姉ちゃんにお釣りで私の分の飲み物を買っていいよ言われダッシュで自販機に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます