第153話

Mei side.02



苦しいよ、私はいつまで我慢したらいいの?心が弱い私が悪いって分かっている。でも、すぐには大人になれないよ。




今日、水希は生徒会の集まりで部活には出ていない。一応、どっちかが早く終わったら教室で待つことになってるけどそわそわする。

早く会いたい。最近、水希と少しでも離れると寂しくなる。ずっと触れていたくて、触れていないと不安になるんだ。


あと2日後にはクリスマスで、明日は終業式だ。水希と25日にデートの約束をしている。1日中、ずっと一緒にいられるのが嬉しくて待ち遠しかった。

それに、12月の一大イベントだし、付き合ってからの初めてのクリスマス。お互いプレゼント交換して、お泊まりして…愛し合えたらなって思っている。


もうすぐ部活が終わる。水希は今年最後の生徒会の集まりだから遅くなると言っていた。だから、多分まだやっているだろうな。

空に向かって息を吐くと白くて、冬だなって実感する。そんな日は水希と手を繋いで帰りたいけど手を繋いでくれるかな?


最近、寒いからだと思うけど水希はコートのポケットに手を入れる。私も寒いからコートのポケットに手を入れて手を繋げていない。

家に帰ったら体いっぱいに温めてくれるけど、時には外で温めて欲しいって思ってしまう。



そろそろ終わるかな。誰もいない教室で携帯を触りながら、水希を待った。外が暗いと寂しい気持ちが増幅するね。時間が経つのが遅く感じて早く時計の秒針進んでと願う。

私の携帯のフォルダは水希だらけだ。一緒に撮った写真もあるけど、水希が気を抜いている所を勝手に撮った写真が多い。


写真を眺めると思い出が蘇ってくる。お祭りの時の写真や修学旅行の時の写真など楽しかった思い出が私の心を暖かくさせる。

明後日のクリスマス、いっぱい写真を撮りたいな。綺麗なイルミネーションを見て、手を繋ぎながら歩きたい。



あっ、水希から〈終わったよー〉ってLINEがきた。私は急いで教室の鍵を閉め職員室まで行き、生徒会の部屋へ急いだ。

私は足が遅くて、、頑張って走ったのに…私の足が急ストップする。見たくなかった、楽しそうに話す水希とニつ結びの子を。

別にただ話してるだけだと思うけどイライラする。なぜか涙が…出そうになる。



「あっ、芽衣ちゃん。水希を迎えに、、」



ドアから先輩が出てきて、私に声を掛けてくれた瞬間…水希の元へ向かい、音がした。

水希が頬を抑えている。怒りに満ちた声が聞こえ、涙で濡れた目を拭い水希を見ると驚いた顔をしている。水希はなぜ先輩が怒っているか分かってなくて、しばらくして気づいたみたいだ。



「水希、あれほど言ったでしょ!」



あぁ、水希が落ち込んでいる。ショックを受けた顔をしている水希の元に行こうとしたけど私の足が動かない。

だって、見たくないものが目に入った。水希の制服の袖を握る女の子は意地でも離れようとしない。


そして、宣戦布告をされ…頭が真っ白になる。まさか、私と水希が付き合ってるのを知りながら恋人の水希のことを好きだと言うとは思わなかった。

それって、私から水希を奪うって言ってるよね。私じゃ、水希に不釣り合いってこと?



「諦めきれません」



何で貴方はそんなに強いの?私だったら無理だな。恋人がいる人を好きになっても、最後は諦めるもん。

この時の私の立場はどうしたらいい?絶対に水希は渡さないって言ったらいいの?修羅場なんて体験したことないから分からないよ。



「遠藤さん、ごめんなさい!私は芽衣が好きなんです!だから、気持ちに応えられません!」



えっ…水希が遠藤さんに頭を下げながら気持ちに応えられないと言っている。ちょっと以外で、水希は優しいから保留にすると思っていたから嬉しい。



「分かってます…最後に気持ちをどうしても伝えたかったんです。困らせてすみません」


「遠藤さん、ごめんね…」


「我儘な気持ちを声に出せたのでスッキリしました。やっと、高瀬さんを諦められる」



遠藤さんが私達に頭を下げ帰っていく。彼女は強いよ。最後まで恋を諦めなかった。

でもね、私も水希だけは渡せないの。だから、絶対に負けない。

あっ、生徒会室にいた2年生がぞろぞろと出てきて水希の頭を撫でている。



「途中、イラッときたけど最後カッコ良かった!水希、やるじゃん」


「佐藤先輩、髪がぐちゃぐちゃになるー」


「水希!2度目はないからね!」


「はい…お姉ちゃん、、ごめんなさい」



ふふ、先輩にチョップをされて落ち込む水希が可愛い。水希はいつも色んな顔を見せてくれる。その度に心がときめく。

あっ、先輩達に少し乱暴に頭を撫でられ、頬をつねられてる。そして、先輩に誘われて私も参加した。



「水希」


「芽衣…ごめんね」


「えい」


「うぐっ…痛いー」



水希は私より背が高いからチョップが出来なくて、だからお腹にグーパンチした。

結構強めにいったから水希がお腹を抑えている。先輩達は目を丸くしたあと笑っていた。

「これからは生徒会全員で2人の恋路を見守るからね」って言ってくれて頼もしいサポーターがついたよ。



「水希、帰ったら正座30分ね」


「えー、、お姉ちゃん、、勘弁してよ」


「当たり前でしょ」


「はい…」



久しぶりに私と水希は外で手を繋ぐ。横には頼もしい先輩がいて3人で帰り、先輩とお仕置きについて話し合った。

水希が「嫌だー」って言っても、私達のお仕置きの話が止まらない。水希には飴と鞭が必要だ。お仕置きという鞭を与えたあと、明日キスという甘い飴をあげなきゃ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る