第152話
Mei side.01
最近、水希との距離を感じる。別に普通に話すし、家でのデートの時はちゃんと目を見て話せるし…キスをしたり、愛し合ったあとちゃんと好きだよって言ってくれる。
でも、違和感を感じていた。学校で水希の横にいるのに、近くにいるのに距離を感じる。
2人っきりの時と学校にいる時、微妙に態度が違う気がして心がモゾモゾする。
私の勘違いなの?でも、私の中で違和感が拭えなくて気持ちが落ち着かない。
それに、あの子の存在が気になる。水希が部活中、よく手を振っているあの子。ずっと、ずっと気になっていた。
水希は明るくて、人との間に壁を作らない。だから、色んな人と仲が良くて水希を取られるんじゃないかといつも不安だった。
でも、付き合い始めて心に余裕ができて大分気にしなくなったけど…まだ不安は完全には拭えない。
あの子の水希を見つめる目…水希は鈍感だから気付いてなさそうだな。気付いてないから手を振るんだと思う。
ちゃんと水希の愛を感じるからあんまりヤキモチを焼きたくない。でも、それでも不安になるの。水希のことが好きすぎて辛いよ。
何で、一緒に歩くとき喋らないの?教室では普通に話す癖に、廊下に出ると前を向いて歩き私を見なくなる。
部活の時もそうだ。水希はなかなか私に寄ってこない。未来ちゃんが羨ましいよ。
さわちんと未来ちゃんが休憩中に楽しそうに話していて…お似合いで、微笑ましい。
最近の水希は休憩中も先輩に走り方を教わり、ストレッチなどをしてなかなか私の所に来ない。別に、最初は気にしてなかった。
だって、水希は来年は予選でもいいから出たいって言っていたから目標に頑張っているんだなって思ってた。
でも、トイレに行く時など窓の近くを通ると必ずあの子に手を振る。いつも、水希を見ているニつ結びの女の子。
きっと、水希をずっと見ているんだろうな。水希の動きに合わせて窓の近くにいるから。
水希は気づいてないけど、普通に見てれば分かるよ。あの嬉しそうな顔が嫌になる。
私は心が狭いのかな?水希の彼女は私で、ちゃんと愛を感じるのに不安になるなんて。
でも、嫌なの。あの子の水希を見る目が嫌。私の恋人をそんな目で見ないで!水希は私の恋人だもん。苦しかった片思い期間を乗り越えて両思いになれたの。だから、邪魔をしないでよ…。
私は水希の笑顔が大好きだ。人懐こくって可愛いくて、例えるならワンコみたいな感じ。
甘え方もワンコみたいで、毎日愛おしいと感じる。キラキラとした目で走る姿が大好きで、私を抱いてくれる目も好き。優しい目から情熱的な目になるの。
「芽衣ちゃん、水希を見てるの?」
「ひかるちゃん」
「あっ、またあの子と話してる」
「うん…」
「芽衣ちゃんからしたら気になるよね」
ひかるちゃんに心の内をズバッと当てられ私は苦笑いする。もっと心に余裕が持ちたいのに持てなくて、水希の行動に不安が募る。
別に普通に話しているだけだと思うけど、凄く嫌だ。だって、どう考えてもあの子…水希のこと好きでしょ。
「私が水希に言おうか?」
「ひかるちゃん、大丈夫…友達だって分かってるから」
「でも、、あの子、水希のこと」
「水希を信用してるから大丈夫」
大丈夫、大丈夫と私は言い聞かせていた。そうしないと、すぐに不安の渦に飲み込まれる。私は泳げないから飲み込まれたくない。
「水希ってモテるよね」
「うん…ムカつくぐらい」
「本人がモテるって無自覚だから余計にモテるのかな?優しいし…水希って動物で例えると犬みたいだよね」
「分かる!水希ってワンコみたいなの」
飼い主に無償の愛を贈るワンコ。水希は私がどんなに我儘なことを言っても受け入れてくれて愛をくれた。勝手に拗ねたり、叩いても水希はその度に優しく微笑んでくれる。
だから、ついやり過ぎたりして子供みたいに困らせてしまうけど…だからこそ今回は私は少しでも大人になりたかった。
でも、大人になるってキツい。一体いつまで我慢したらいいのかな?水希を独り占めしたい願望がいつも私を苦しめる。
生まれて初めての恋。恋って凄いよ。こんなに人を好きになるなんて思いもしなかった。
自分と同じ女の子を好きになり、悩んで、苦しんで、実って…また苦しい。
もし、水希が男の子で他の女の子とずっと話していたりしたら私は怒っていただろう。でも、水希は女の子で相手も女の子だ。
友情という言葉が私を苦しめる。水希には友達が沢山いる。だからこそ、境目が難しい。
友情にヤキモチ焼くのは子供っぽすぎると言う感情が私を立ち止まらせる。
「芽衣ちゃん、水希の所に行かない?」
「でも、やることがあるから」
「少しぐらい大丈夫だよ」
「あっ…ランニング始めちゃった」
汗をかき頑張っている姿がカッコいい。水希が好きすぎて嫌になるよ。家では私を見つめ愛をくれる。大好きな笑顔で笑ってくれる。だから、私は我慢をする。
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