第151話
お姉ちゃんがクラスメイトに話の流れで冗談っぽく、私のことを聞かれたらしい。
姉妹で生徒会役員をやっていると目立つ。でも、目立つからと言って妹のことを根掘り葉掘り聞いて来る人はあんまりいない。
なのに、激励会が終わったあと私に興味を持つ人が増えた。ただの興味だったら直ぐに移るから大丈夫だ。でも、恋愛の興味はなかなかしつこかったりする。
当人はほっといて欲しいと思っているのに、野次馬心を抑えてくれない。
「最悪だ…」
「大丈夫よ、ひかるちゃんと噂になった時のようにほっときなさい」
「うん…」
ひかると噂になった時、どれだけ言われようがチラチラと見られても気にならなかった。
でも、今回は違う。私だけならいい、、でも、芽衣だけは巻き込みたくない。
「ほら、水希落ち込まないの」
「うん…」
「堂々としなさい。芽衣ちゃんまで不安になるわよ」
「それは嫌だ、、頑張るね」
お姉ちゃんに励まされたけど学校という狭い空間が嫌いになりそうだ。もし、これが男女の交際だったら興味本位で噂の真実なんて知ろうとしないと思う。
でも、同性の恋はなかなか出会えないから興味心が強いんだよ。
私は見世物じゃないし、普通の高校生だ。ただ、好きになった人が同性だっただけ。好きになったら性別なんて関係ない。
だって、そうでしょ。好きな気持ち抑えられる?本気で好きなんだよ。
散々悩んで、やっと芽衣と付き合えたんだ。だから、ほっといてよ。
「さぁ、走るわよ」
「うん」
「あっ、望のこと恭子に報告するから」
「何で!」
「恭子にも見張ってもらうためよ」
見張るって…私ってそんなに信用ないの?こんなに純粋で一途なのに、全く信用されていない。未だに、遠藤さんこと言われるし。
何がダメなのかな、、普通が分からないよ。距離感、、別に遠藤さんと手を繋いだりとかしたことないのにな。
お姉ちゃんが先に前を走っていく。私も後ろから走り、ふと校舎の窓を見ると遠藤さんがいて目があった。
いつも、遠藤さんは窓の近くにいて目が合うときが多い。私の中では礼儀的な意味もあり、目があったから手を振った。
私は分かってなかった。この行動がダメなんだと。相手に期待させてしまう、周りから見てイライラする行動なんだと知らなかった。
私が芽衣と付き合ってなかったら何でもない行為。でも、同性の恋はその行為が友情としてなのか分かりづらい。
男女の恋だったら、恋人が違う人にずっと愛想を振りまいていたら怒られる。
でも、同性同士の恋は友情が存在する。もちろん、男女間にも友情はあるよ。でも、同性の友情の比率と桁が違う。恋人からしたら分かりづらくて、心配しちゃうよね。
私は芽衣とラブラブで心配要素はないと思っていた。でも、私の行動は常に芽衣を心配させている。言ってくれたらよかったのに…なんて、傲慢な考えで相手の気持ちになれば分かることだ。
でも、私は鈍感で女心が分かってないとよく言われていた。まさにその通りだよ。
◆
私は芽衣を守りたい一心で距離を少しだけ取ってしまった。私といることでチラチラ見られるのが嫌で、、ただ守りたかっただけなんだ。好きだから…大好きだから。
でも、言葉にしないと伝わらないよね。いくら、恋人同士でも言葉にちゃんとしないとダメなんだ。
あと2日後にはクリスマスなのに…私の頬は赤くなりズキズキと痛い。芽衣ではなく、お姉ちゃんに叩かれた。
お姉ちゃんに頬を叩かれたことはない。ヘッドロックや拳骨はあるよ。でも、お仕置きみたいな感じで意味合いが違う。
あれほど、距離感を考えろって言われてたのに…芽衣を悲しませ、お姉ちゃんを本気で怒らせた。
私は遠藤さんのことは友達としか見ていない。でも、他の人からしたら距離が近すぎてイライラするみたいだ。
難しいよ、難しすぎる。私には恋が難しい。私の横にいる遠藤さんは私の制服の袖をギュッと握っている。
別に待ち合わせしたわけじゃない。生徒会の集まりが終わり、遠藤さんと偶然会い話をしていただけだ。
でも、それを見た芽衣は傷つき芽衣と偶然一緒にいたお姉ちゃんの怒りが頂点に達した。
タイミングが悪かった。私が芽衣と勝手に距離を置き、芽衣が悩み苦しんでいるときに私が遠藤さんと話すことが増えたから。
頬が痛いよ、遠藤さんと距離を取れろ言われても私にとっては友達だ。難しすぎる。
でも、やっと気づけたよ。遠藤さんの気持ちに…。
「好きなんです…高瀬さんが」
「えっ…遠藤さん、、」
「知ってます。高瀬さんと植村(芽衣)さんが付き合ってること…でも、諦めることができなくて」
遠藤さんからの突然告白に私やお姉ちゃん、芽衣が固まる。遠藤さんは私と芽衣の関係を知っていたの?
お姉ちゃんは呆気に取られていた。だって、遠藤さんは私に恋人がいると知っていながら恋人の芽衣の前で告白をした。
凄い勇気で、、「諦めきれません」と言われ言葉が出てこない。
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