第132話

この世は面倒くさいことが多い。見た、聞いたことで騒ぎ、話のネタにする。

私の誕生日でお姉ちゃんとひかるは仲良しになった。別にこれはいいことだと思う。

問題はこの次だ。芽衣は制服を持ってきてなかったから、一度家に帰り制服に着替えて学校に行くことになった。


そして、私とひかるとお姉ちゃんは初めて3人で登校した。みんなが初めて見る光景であり、私とひかるが一緒に登校したこと・お姉ちゃんとひかるが仲良くしていること…この2つのことで私とひかるの噂が更にヒートアップする。


芽衣は昨日の夜、私とひかるの噂を気にしないようにするって言ってたけどこれじゃ無理だよ。

面倒くさい。迂闊に3人で登校をした私達にも非はあるけど面倒くさい。それに、昨日が私の誕生日だってことが面倒くさい。


色々なものが重なると嘘でも真実味が増す。ここまで来たら苦笑いしかできない。

ひかるのクラスの前で手を振り合って、私は自分のクラスに行くまでの注目が凄かった。まだ、朝なのに早く帰りたくなってきた。



「ごんちゃん、おはよう」


「おはよう〜」


「朝から何、食べてるの?」


「お菓子!机の中に入っていたから」


「えっ、勝手に机の中に入ってたお菓子食べてるの…?」


「だって、美味しそうなんだもん」



ごんちゃんに見せて貰ったお菓子が前、お姉ちゃんに遠藤さんが渡したお菓子の袋と同じだ。偶然かな?でも、袋の中はチョコレートのお菓子だ。

気にしても仕方ないか。私は今日、芽衣からチョコレートケーキを貰う予定でウキウキだし、そのお陰で羨ましくもない。



「美味しかったー。でも、誰がくれたのかな?」


「誰なんだろうね」


「もしかして、私のファン!」


「かもね。軽音部、また部員が増えたんでしょ」


「そうなんだよ〜。でも、みんな…水希のせいでボーカルやりたがらない!」



どう言うこと?何で私のせいなの?私、関係なくない?って思っていると文化交流会以来、軽音部には私と早くまたコラボをして欲しいとリクエストが来るらしく、私と比較されるのが嫌らしい。


何それ…私は別に歌なんて上手くないし、出来れば2度と人前で歌いたくないし、私がどれだけクラスメイトや部活の部員からのカラオケのお誘いを断っていると思うの?かなり面倒くさくて大変なんだよ。


暫くは文化祭や文化交流会など歌う機会がないからルンルンだけどね。

そう言えば、ごんちゃんから聞かせて貰った曲…良い曲だった。歌詞もいいし、作詞作曲できるなんて凄い。

相変わらず、ギターを弾く姿もカッコ良かったしファンが出来たのも頷ける。



「あっ、芽衣が来た」



ごんちゃんの言葉に顔をドアの方に向けると芽衣がいて、窓越しに遠藤さんとこの前一緒にいたお友達がいる。

このクラスに何か用事でもあるのかな?って思っていると、遠藤さんがオロオロしてて目があったと思ったら慌てていなくなった。



「水希、ごんちゃん、おはようー」


「芽衣、おはよう」


「芽衣、今日の髪型も可愛いー!」



うごんちゃんの言う通り、めちゃくちゃ可愛い。一瞬、言葉を失った。本当は私が一番に可愛いと言いたかったのにごんちゃんに先を越された。でも、正直者だから許す。


もしかして、今日の髪型は私のためかな?昨日も可愛い髪型をしていたし、きっと私のためだ!今日は自信に満ち溢れている。

昨日のラブレターのことなんてもう気にしない。でも、一応あとで聞こう…断ってるとは思うけどやっぱり気になる。



「芽衣…髪型、似合ってる///」


「水希、ありがとう///」



昨日、芽衣とラブラブな夜を過ごせた。短い時間だったけど幸せだった。あの後、最後にキスをして芽衣は二階に戻ったけど余韻が幸せでよく眠れたよ。


それに今日は芽衣の家にお泊まりだ。今日こそは絶対に大切な思い出を作る日にする。

芽衣は昨日ヤキモチを焼きすぎて自分が嫌になり、お泊まりをやめたことを教えてくれた。


私にとって芽衣の全ての行動が愛おしい。親バカならぬ芽衣バカだ。理由さえ分かれば私への愛の大きさから来るものだと分かるし、愛されているな〜って思えるんだ。



「水希、ニヤけすぎ」


「ごんちゃん〜、芽衣が可愛いもん」


「水希のバカ///」



ごんちゃんに呆れられてもいい。本当に可愛いくて、可愛すぎるから仕方ない。自分も女だけど、女の子ってこんなに可愛くて自分の彼女が世界一可愛いって思える。

この後、私は大変なことになるとは知らず芽衣の可愛さにずっとニヤけていた。

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