第133話
もう、やだ…勘弁してほしい。何でスムーズに1日を終わらせることができないの!?
授業が終わり、部活をやり切ったら一度家に帰って芽衣の家に行く予定なのに…さわちんが大変なことになり私まで巻き込まれた。
「(ボソッ)さわちん、何でこんなことになったの!」
「(ボソッ)知らないよ!」
さわちんはある女の子に告白をされて悩んでいた。名前も知らない女の子にいきなり告白されたらビックリするし対応に困るのは私も分かる。
そんなことがあり、悩んでいたさわちんの前に告白した女の子の友達が突然やって来て、さわちんを困らせる。
「竹本さんとどう言う関係なんですか!」
「ひかるとは友達だよ」
「じゃ、何で未来に返事しないの!ずっと、苦しそうにしてるのに」
「名前もクラスも知らないのに…どうやって返事したらいいかなんて分からないじゃん」
「調べたらいいでしょ」
ちょっとこれはさわちんが可哀想すぎる。友達思いの行動にしても乱暴すぎる。
さわちんがイラっとしたの伝わってくるし、私も流石にこれは無いと思った。
「高瀬さん!竹本さんの恋人なんですよね!ちゃんと捕まえてて下さい!」
「えっ、、私?」
怖いよ、何でそんなに睨みつけるの、、私は偶々近くを通り、さわちんに捕まりここにいるだけで…それにひかるのことは誤解だし巻き込むの勘弁してほしい。
「あの、、私とひかるは…」
「あっ、2人ともここにいたの?先輩達が探してたよ」
芽衣、バッドタイミングすぎる。女の子の視線がギラつき、睨み付けている。芽衣は無関係なんだから睨まないで。流石の私も怒るよ!誤解も解けないし、何なんだ!
さわちんもそろそろ限界みたいだ。いつもクールなさわちんが怒った顔をし、眉間にシワを寄せとうとうキレてしまった。
「いい加減にして」
「何よ…」
「未来って女の子、連れて来てよ。今、ここで断るから」
「酷っ…最低」
「そっちが返事しろって言ったじゃん」
「ちゃんと未来のことを考えて欲しくて…」
これは仕方ないと思う。友達の為と思ってもやり過ぎだ。未来ちゃんって子まで印象悪い感じになってしまう。
あっ、、女の子が走ってきた。もしかして、あの子が未来ちゃんなのかな。
「美和…ここで何してるの!」
「未来…」
「あの…すみません。ほら、美和…行こう」
「あっ、待って…この前の返事」
「忘れて下さい…振られるの分かってて気持ちを伝えたので」
そんな…切ないこと言わないで。私は当事者じゃないのに胸が苦しくなる。さわちんを見ると困った顔をしているし「振られるの分かってて、、」なんて辛い言葉すぎる。
私も芽衣に告白した身だから未来ちゃんの気持ちがよく分かる。気持ちを伝えるのも伝えないのも苦しいよね。
「これからも田村さんのこと応援してしてます。それじゃ、、」
「待って!その、、私は貴方を知らないから…友達から始めよう」
さわちんがまさかの返事をした。さっきは断るって言っていたのに、未来ちゃんの言葉に心を打たれたみたいだ。
突然のさわちんの返事に未来ちゃんは涙を流しながら「はい…」って言って私までもらい泣きしそうだ。
涙が止まらない。めちゃくちゃ良い場面だ。何これ…完璧に恋愛ドラマだ。めちゃくちゃ良いドラマだよ。多分、ここの場面で最高視聴率を取れてる。
さわちんに呆れ顔をされてもいい。だって、未来ちゃんは良い子すぎる。さわちんのこと本気で思ってくれている。
「あの、、私…ごめんなさい!つい、未来のことになると暴走しちゃって」
「何となく気持ちは分かるから」
何でさわちんは私を見たの?急に私を見るから首を捻ってしまう。あっ、酷い!ため息をつかれた。こいつ、何も分かってないって顔をしたよね!
「あの、高瀬さんもすみません…」
「あっ、いや、、私は別に」
「竹本さんとお似合いのカップルなのに、、失礼なこと言っちゃって」
嘘でしょ…最後の最後に爆弾を落とされた。何で良い話で終わらないの。一瞬で芽衣の眉間にシワが寄った。さわちんと未来ちゃん、良かったねーでいいのに。
私は完璧な被害者なのに勘弁してほしい。
「あの、、田村さん。今日、一緒に、、」
「部活終わるの待っててくれる?」
「はい///!」
さわちんの対応がカッコイイ。急にイケメンな態度を取り…私が密かに芽衣に足を踏まれてるの気づいてる?
私、可哀想じゃない?トバッチリだよね?めでたし、めでたしで終わらないよ。3人だけでニコニコしないでよー!!!
「あっ、そろそろ戻らないと」
「えっと、、未来さん…ごめん、名字が分からなくて」
「仲田です!」
「仲田さん…また後でね」
「はい///」
やっと、足が解放された。さわちんと未来ちゃんの間から超幸せオーラが出ている。芽衣からは冷たい冷たい雪女のオーラが出ていて、私は氷漬けにされそうだ。
急にさわちんにムカついてきた。自分ばっかり幸せになりやがって…人の不幸の上での幸せなんて許さないからなー!
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