第101話

あー、あー、、今まで生きてきた中で一番疲れた。脱力感が凄くて、ベッドにうつ伏せ状態で倒れている。

もうすぐ、夕ご飯の時間だけどもう寝たいよー。疲れた…食堂に行きたくない。



「水希、そろそろ食堂に行かないと」


「芽衣、、もうちょっと…」


「ダメだよ、ほら起きて」


「あっ!芽衣…分かったから降りて」


「水希の体、温かい」



ベッドにうつ伏せで寝ている私の背中の上に芽衣が仰向けで乗ってきた。嬉しいけど、ダメだって!これ以上、体温上がると本当に鼻から血が出る。

なのに、背中に頭をグリグリしながら甘えてくるから全く動けず耐えるしかなかった。

これも慣れるための試練なのか…芽衣自らが試練を与えてきて、私は翻弄される。



「2人とも食堂行くよー」



ごんちゃん、今回はナイス!今回だけは褒めてあげるよ。やっと芽衣が背中から降りてくれて深呼吸が出来た。

ふぅ、、ドキドキがヤバい。背中が芽衣の温もりと柔らかさをまだ覚えていて体がウズウズし悶々とする。



「水希、少しは慣れた?」


「無理だって///」


「じゃ、私も頑張る」


「芽衣、面白がってるでしょー」


「少しね」



やっぱりだよ、、だって芽衣の顔はニコニコしてて楽しそうだ。私をからかって面白がっているよ。

くそー、悔しいな。芽衣に仕返ししたい。どうにかして芽衣をギャフンと言わせられないかな。何も思いつかないのが悔しい…。



「水希、今日で最後の夜だねー」


「早いよね」


「あっという間の二日間だった」



京都のご飯も今日で最後。美味しい和食をご馳走様です。今日も夕ご飯には人参が入っていて…今回は食べたよ。誰か褒めてほしい。

まさか、食べた天ぷらが人参の天ぷらだなんて思わず、口から出すこともできず頑張って食べた飲み込んだ。



「水希、芽衣。この後、他の部屋に行かない?」


「ごんちゃん、一度部屋に戻った後でいい?携帯を置いてきた」


「分かった、先に行ってるね。芽衣は先に行くでしょ」


「えっ…うん」



携帯を充電のため部屋に置いてきたから取りに行かなくてはいけない。今日は最後の夜だからみんな集まって盛り上がるだろう。

あんまりうるさいと先生に怒られるから騒げないけど、やっぱり沢山話して思い出の1ページを作りたいよね。



「水希、じゃ後でね」


「うん」



急いで携帯を取りに行かなきゃ。楽しい修学旅行の思い出の写真を沢山撮りたいし、携帯って手元に持ってないと落ち着かない。



「水希、待って!」


「うわぁ、、びっくりした」


「やっと追いついた」


「ごんちゃんと先に行ったんじゃないの?」


「水希と一緒がいい…」



芽衣に嬉しい言葉を言われて照れるし、ニヤけてしまう。部屋に入ると、芽衣が抱きついてきて「一秒も離れたくない」と言う。

今日の芽衣はどうしたのかな。甘えん坊だし、スキンシップが多くて嬉しいけど戸惑ってしまう。



「私ね、、水希を好きになって、寂しがり屋になったかも。水希と常に一緒にいたいし、触れていたいの」


「私もだよ」



可愛いな、可愛すぎる。試練を与えられキツくて、いつか仕返しをしたいなんて馬鹿なことを考えていた。芽衣の気持ちに気づかない私はダメだ。

10分間だけ2人の時間を楽しもう。ごんちゃんにはトイレに行ってたとか言えばいいし、私も芽衣と少しでも触れ合いたい。



「キャッ」


「お姫様抱っこ〜」


「ビックリした、恥ずかしいよ///」


「少しの時間だけイチャイチャしよう」


「うん///」



約10分間、私達は一秒たりとも離れなかった。芽衣が私の脚の間に入り、後ろから抱きしめると嬉しそうな顔をする。

私に甘えながら可愛らしい顔で「好き」って言ってくるから離したくなくなる。

でも、そろそろ行かないと、、ごんちゃんに「遅いー」って言われそうだ。



「芽衣、そろそろ行かなきゃね」


「うん」


「痺れを切らしたごんちゃんがドアをどんどんと叩きそう」


「ふふ、あり得る」



なかなか2人っきりにはなれないけど、短い時間でも芽衣と過ごせたらいい。本音はもうちょっとだけと思うけど仕方ない。



「はぁ…」


「水希、どうしたの?」


「あっ、いや…何でもないよ」


「嘘だ」


「いや、、その…」



芽衣の匂いのせいで体の疼きとムラムラが私の体を支配する。それに体の熱が上がりすぎてキツく、ため息をついてしまった。

ベッドの上だし、芽衣の体が柔らかいし、良い匂いするし、何より2人っきりだ…。


今、ここで芽衣を押し倒したらなんて無理な話だけど想像をしてしまう。それなのに、芽衣ちゃんは「正直に話せー」って私の頬を両手で挟んで私の顔をタコにしてくる。

距離が近いよ、最近の私はリミットが外れるのが早くなり困っているのに。



「芽衣…」


「何…?」


「芽衣が欲しい…」


「・・・」


「誕生日の日まではって分かってる…」


「私は、、いつでもいいよ」


「ごめん!何言ってるんだろうね、、本気でそろそろ行かないとまずいね」



ダメだ、ダメだ…今は修学旅行中だし、ごんちゃんがいつ来るかも分からない。それに、芽衣は初めてだから(私も初めてだけど)誰にも邪魔されない空間で結ばれたい。

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