第100話
やっぱり京都って凄い。大きな朱色の鳥居がドンっと構え、鳥居の下は広い道で暫く歩くとこれまた大きい大極殿があるらしい。
「鳥居が大きいねー。水希より大きい」
「ごんちゃん、当たり前でしょ!」
「水希、凄いね。ずっと来たかった所だから嬉しい」
「芽衣、良かったね〜」
「みんなで写真撮ろうよ」
3人でわちゃわちゃしながら鳥居をバックに写真を撮り、色々な建物を見学しているとあっという間に時間が経つ。
もう15時だよー。移動時間とかあるからそろそろ戻る準備をしないといけない。
楽しい時間って過ぎていくのが早いし時間の感覚がなくなる。まだ、13時ぐらいと思っていたのに携帯で時間を確かめた時、びっくりした。日が暮れてきて、空が茜空だ。
「ごんちゃん、芽衣、そろそろ戻らないと」
「もう?時間があっという間だ。あっ、お土産買いに行こうよ。私、お漬物買いたい」
「芽衣はお土産で欲しい物ない?」
「私もお漬物が欲しい」
私達はお漬物を買って、ホテルに向けてバス停まで行くことにした。まだまだ沢山行きたい観光名所はあるけど、いつか芽衣と来たとき行けたら良いなと思っている。
うわぁ…お漬物を買ってバス停に行くと、バス停に並んでいる人が多い。この人数がバスに乗り込むとなると大変だ。
「水希、乗れるかな…」
「でも、このバスに乗らないと時間が間に合わないよ。ごんちゃんがお漬物で悩みすぎるから遅くなったし」
「だって、全部美味しそうだったもん」
この人数を見てると芽衣が潰されないか不安になる。やっとバスが来たけど、すでに中には人が乗っていて更に今から沢山の人が乗り込むとなると大変だ。
後ろからめちゃくちゃ押される。ちょ、、ちょっと強引に押さないで。痛いって!
「芽衣、こっちに、、」
「う、うん」
苦しい…芽衣を守るように包みこみ、必死に吊り輪に掴まった。人が多すぎてこれでは小さな芽衣が潰れてしまう。
芽衣、痛くないかな。片腕で守るようにしてるけど揺れるたびに他の人とぶつかるから心配になる。
「芽衣、大丈夫…?」
「大丈夫」
「もう少しの我慢だから」
「うん」
全然、バスから人が降りない。逆に停留所のたびに人が増え大変だ。
私達がもう少し早めのバスに乗れたら良かったけど、時間いっぱい楽しんでしまうのはみんな同じでバスが混んでしまった。
痛っ!!!誰かに足を踏まれた。なぜかごんちゃんがへらへらしながら謝ってくる。
犯人はごんちゃんと分かり、怒りたかったけど人が多く痛さを耐えるのに必死だった。
「はぁー、、疲れた。腕が千切れると思った。芽衣はどこも痛くない?」
「うん、水希が守ってくれたから」
「良かった。芽衣は足とか踏まれてなくて」
「水希ー!ごめんって」
流石に疲れた。早く部屋に戻りたいのにまずは点呼があるから暫くはロビーに居ないといけない。早く、みんな帰っておいでよ!点呼が終わらないと部屋でゆっくり出来ないよ。
「お土産潰れてないかなー、、お姉ちゃんに頼まれた八つ橋が潰れていたら大変だよ」
「箱が潰れてないなら大丈夫じゃない?水希の八つ橋の箱、薄いし大丈夫だよ」
「でも、芽衣ー。中身がぐちゃぐちゃになってたらお姉ちゃんと恭子先輩に怒られるー」
早く部屋に帰ってお風呂に入りたい。今日こそは、ゆっくりお風呂に入りたいけど今日もきっと無理だろう。
芽衣の裸を直視しなければ大丈夫だけど、緊張してまた昨日と同じ結果になりそうだ。
「水希、汗かいてるね」
「うん、早くお風呂に入りたい」
「今日はちゃんと一緒に入ろうね」
「それは、、(芽衣の意地悪…)」
「緊張する?」
「するよ!」
「私も一緒だよ。でも、今日こそは水希と一緒に入りたい」
これって、一緒に入ってその、、芽衣の裸に慣れろって意味?いや、違うよね…ただ、一緒に入りたいってことだよね。
悩ましい。このいやらしい頭をどうにかしたい。煩悩が溢れまくっている。
「もうすぐ、水希の誕生日だから、、」
「うん…」
「お風呂に一緒に入れたら、少しは緊張がほぐれるかなって…」
「あ、あの、、///」
緊張なんて絶対にほぐれないけど、一度芽衣とお風呂に入ることで私の精神は少しだけ強くなれるかもしれない。
鍛えるしかない精神力は、乗り越えることで強くなれる。だから、頑張るよ。
無理だ、やっぱりキツい、、まだ湯船に入って数分しか経ってないのにのぼせそうだ。
何とか芽衣の横で服を脱いだ、体を洗った、頭を洗った、顔を洗った。でも、一緒に湯船に入り…緊張で最大級の猫背になり下ばかり向いている。
「水希、お風呂が気持ちいいね」
「うん…」
「まだ、緊張してる?」
「うん…」
「私も凄くドキドキしてる」
さっき、チラッと芽衣の裸を見てしまい緊張が最高潮に達している。綺麗だった。
コンタクトしてないのに…お、お、お胸をほんの一秒見ただけなのにしっかり脳裏に焼き付いて、何度も頭で再生される。お陰で、今日は朝まで起きてる自信が逆にあるよ。
「いつか慣れるかな…?」
「分からないよ…」
「水希には慣れてもらわないと困るよ」
「が、、んばる」
「それとも私が水希を・・・」
「それはない!」
それだけは絶対に有り得ないから。だって、だって、、もう何度も想像している。
どう考えても私が芽衣を・・・でしょ!!!うん、それだったらかなりしっくりくる。
「じゃ、慣れて」
「虐めないでよ、、」
「虐めじゃないよ、本気だよ」
「うぅ…分かった」
湯船の中で芽衣が手を握ってくる。恋人握りをされ、慣れるまで逃さないよって言われているようだった。
徐々にいつか慣れるから待っててほしい。だから、そろそろ上がっていい?
のぼせそうだ…頭に血が上って倒れるかもしれない。ここで鼻血を出したら周りに変態と思われてしまうから嫌だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます