第51話

海だー。空は快晴で最高の海日和になった。ただ一つを除けば、、みんなで駅で待ち合わせをし電車に乗ったまではよかった。

席も空いてて、さぁ!座ろうとしたら恭子先輩とお姉ちゃんに両方から腕を組まれ4人がけの席の隅っこに追いやられた。


私の目の前にはお姉ちゃん、私の横には恭子先輩。おかしくなよ、何このトライアングル!最悪な三角形なんだけど。

せめての救いは芽衣が来てくれたから、三角形が四角形になったこと。


普通、仲の良い2人が隣同士に座らないの。何で斜めなの、、おかしいよ。

海に着くまで約1時間、私はお姉ちゃんの顔を見ながら過ごすことになり朝から嫌な気持ちになる。目がギラギラしてて怖い。



「さぁ、水着に着替えるわよー」


「お姉ちゃん、行動が早いって!」


「水希が遅いのよ。私は早く海に入りたいの」



颯爽と歩く姉と恭子先輩。身長も高いから絵になるけど、この2人のせいで電車は最悪だったから素直に褒めたくない。

約1時間、2人の威圧感に小さくなり芽衣ともあんまり話せなかった。芽衣は恭子先輩とお姉ちゃんとばかり話していたからね。何で私ばっかりこんな目に!


肩が凝った。泳ぐ前にすでに疲れている。できるなら泳ぐ前に甘い物が食べたい。

エネルギーを補給しないと元気が出そうにない。そんな時、気が利くのがひかるで首をぐりぐると回していたら横に来てチョコが溶ける前に食べてねってポッキーをくれた。

ひかるは女神だ、、ありがとう!



「さぁ、荷物を預けたし水着にも着替えたし泳ぐわよ!」



合宿にでも来た気分になる。全員、陸上部だし生徒会長のお姉ちゃんの仕切りが凄い。

みんな、お姉ちゃんの言葉にテキパキ動いてるし、私だけ反骨しているみたいだ。

それにしても我が姉ながらスタイルがいい。お姉ちゃんと恭子先輩は当然ながらお洒落なビキニを着用し、芽衣は宣言通り可愛い花柄の入った白のビキニを着ている。


ちょっと、色っぽすぎるよ。芽衣にはもう少し布の量が多い水着を着て欲しかった。

2人はいいよ、2年生だし大人っぽいし。だけど芽衣は身長とお胸のアンバランスさがずるいの。お陰で私の目は芽衣のお胸に視線を奪われてしばらく動けなかった。



「水希?」


「はい!芽衣の水着、か、か、可愛いね」


「ありがとう、嬉しい///」



今すぐ私の着ているTシャツを着せたくて仕方ないけど、そんなことしたらニヤニヤしながら私を見ている恭子先輩に何を言われるか…。

絶対、心の中で思っているはずだ〈芽衣ちゃんの胸に釘付けになっていやらし〜〉って。

嫌だ!せっかくの海で恭子先輩にからかわれるのだけは勘弁してほしい。



「水希、お待たせー」


「待たせてごめんね」



遅れて水着に着替え終わったさわちんとひかるが・・・嘘でしょ。さわちんの水着は予想通り私と似た様な感じで水着の上にTシャツを着ている。

問題はひかるがまさかのまさかでビキニで芽衣よりは布の量は多いけど花柄の入った水色のビキニの水着で驚いた。


意外だ。ひかるって清楚な感じだからビキニ系は着ないって思っていた。それに、ひかるも思った通りお胸の発育がいい。

多分、お胸の成長が止まっているのはさわちんと私だけだと思う。仲間がいた。



「水希、どうかな…?」


「可愛いです///。ひかるに似合ってる…」


「良かった。初めてこんな水着を着たから」


「うぎゃ!」


「さぁ、みんな泳ぐわよ!」



恭子先輩、お願いだから首に腕を回さないで下さい。苦しいから!この体勢で歩くなんて危ないし何度も転けそうになってるのに恭子先輩はお構いなしだ。

酷い!私はまだストレッチをしていない。お姉ちゃんと恭子先輩は十分にストレッチしているみたいだけど私は出来てない。


ストレッチは怪我をしないための運動部の基本なのに、何で私にはさせてくれないの。おかしい、おかしいよ。

今日来たメンバーは黙っていればモテるタイプのメンバーばかりだ。なのに運動部の血が騒ぐのか、お洒落な水着とかお構いなしに泳いでいる。特に年上の2人は髪の毛が濡れるのも気にしてない。



「水希、一緒に入ろう」


「うん。そういえば芽衣って泳げるの?」


「浮かぶことはできる」


「泳げないんだね…」


「浮き輪なしで浮かべるもん」



浮かぶは泳げるに入らないからね。確かに素質はあるのかもしれない。でも、プールで練習しないと危ないよ。

何で、浮かべるからって浮き輪を持ってこなかったの。芽衣が溺れる前に浮き輪レンタルしに行こう。絶対に危ないと思う。



「水希、どこ行くの?」


「浮き輪をレンタルしてくる」


「大丈夫だもん」


「危ないって」


「勝手に入るから」



あっ、芽衣が拗ねて海に入っちゃった。浮かぶことはできるからって、波が来たとき絶対に対応できないよ。大きい波はなさそうだけど危ないし。

それに、周りにいる男!男!男!ずっと女子校にいるから、この感覚を忘れていた。

芽衣の水着姿をジロジロ見やがって…やっぱりあのアンバランス差はダメだって!

注目されてるよ、お姉ちゃんが言っていた芽衣はモテるよって言葉が胸に刺さる。


それに、ひかるも可愛いから男の人がずっとチラチラ見ている。その度にさわちんがガンを飛ばしているから安全だけど。

さわちんがいる限り、ナンパ目的の男の人は撃沈するだろう。さわちんから異常な殺気のオーラが出ている。

芽衣を追いかけないと。1人で海に入り本当に浮かんでいる。時々、手でバチャバチャやっている(まるで5歳児みたいに)



「芽衣、危ないから」


「ほら、浮かんでいるでしょ」


「うん、分かったから」



芽衣は頑固で時々融通が効かない時がある。多分、その浮かび方だと小さな波が来た時、波に押されてバランスを崩しわちゃわちゃになりそうだ。

それに、まだ微妙に芽衣が足の爪先が付くぐらいの深さだから余裕があるんだ。足がつかなくなったら、余裕の顔はできないと思う。

ほら、言わんこっちゃない…波が来て、パニックになり芽衣が慌て出した。

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