第20話
ふむふむ、これ芽衣に似合いそうだ。うげ、、でも予算オーバーだ。
おっ、これはハート型で可愛い!値段は17000円…買える値段だけど悩ましい。
私はさっきから30分以上店内をうろうろし店員さんを困らせている。
友達にハート型のネックレスを誕生日プレゼントとして送るのおかしいかなとか悩みなかなか決まらない。
予算とも戦わないといけず、デザインも色んな形のネックレスがあるけど、ピンッとくるものが無くなかなか決まらない。
「あっ、これは!」
「お出ししましょうか?」
「はい、お願いします」
これいい!芽衣の頭文字のMと小さなハートが付いているネックレス!値段も15000円で消費税込みでも予算内に収まるし、何よりも芽衣に似合いそうだ。
やっとプレゼントが決まり、店員さんに可愛いラッピングして貰いほっとする。これで10円チョコが買える。
芽衣の誕生日にクレープも買えるし、私の長い戦いは終わった。疲れた…プレゼント選びってこんなに大変だって知らなかった。
今まで友達にあげる誕生日プレゼントで悩んだことなく変な感じだ。
早く、土曜日になってほしい。芽衣が喜んでくれるかなとワクワクして、今日はゆっくり眠れる日なのに眠れそうにないよ。
◇
「高瀬、もっとペース上げろー」
はぁはぁ、、期末試験の間、筋トレしかしておらず体力が少し落ちている。
期末試験も終わり、部活が再開したのはいいけど一発目からハードなトレーニングに弱音を吐きそうだ。
明日は芽衣の誕生日だから先生に怒られている姿ばかり見せたくない。
息が苦しい。昨日10円チョコを食べたのに、まだエネルギーが足りてないみたいだ。
我慢しないで2個食べればよかった…1日1個って決めてしまったから。
でも、明日になればクレープが食べれる。だから、今日を乗り切ればとびきり最高な糖分が取れる!
「水希、お水」
「はぁ、はぁ、ありがとう」
「大丈夫?キツそうだけど…」
「大丈夫、気にしないで」
めちゃくちゃしんどい。夕方だけど気温が高くグラウンドをランニングするには体が出来ておらず、すぐに水分を奪われ体力を減らす。
今日はいつもより5周も走ってないのに、かなり体力の限界だ。
お昼に食べたお弁当のおかずを吐きそうだ。ちゃんと深呼吸しないとまずいかも。
滝のような汗も早く止まってほしい。このままだと本気で脱水症状を起こしてしまう。
「よし、一度休憩だ」
良かった、やっとで休憩ができる。一度、木陰に行こう。そして顔を洗いたい。
水を頭から浴びるとやっと息が落ち着いてきた。水は冷たくはないけど、汗が引いていく。
「高瀬さん…これ、、」
「えっ?」
「タオル、よかったら使って///」
「竹本さん、いいの?濡れちゃうよ」
「大丈夫」
タオルを持ってきてなかった私はお礼を言いタオルを受け取った。
竹本さんのタオルふかふかだ。肌触りもいいし、いい匂いがする。柔軟剤の匂いかな。甘い花の香りがする。
「ありがとう、助かったよ」
「高瀬さん、部活頑張ってるね」
「うん。試験期間中、部活がなかったから体力を取り戻さないと」
「凄いね」
「竹本さんは部活に入ってないの?」
「うん…運動が苦手だし、入りたい部活もないから」
「そうなんだ」
竹本さんは帰宅部なのか。よく陸上部を見学してるからそうかなって思ってはいたけど。
いつも思うことがある。見学するぐらいなら見てる部活に入ればいいのにって。
でも、運動が苦手だからこそ見学することで好きなスポーツを楽しめるってことかなってふと思った。
「あの、高瀬さんの好きなお菓子教えて下さい…///」
「お菓子?」
「いつも勝手に作ったお菓子を高瀬さんにあげているから…」
「貰ったお菓子、全部美味しかったよ」
「ありがとう///」
「私の好物はね、チョコレート!」
「分かった、今度チョコレートのお菓子作るから貰ってくれる?」
「もちろん!」
竹本さんの手作りお菓子はめちゃくちゃ美味しいから嬉しい。クッキーもマカロンも手の込んだお菓子ばかりで、貰うたびに密かに楽しみにしていた。
チョコレートのお菓子だったら、何を作ってくれるのかな?ってか、私貰ってばかりでいいのかな?何もお返し出来ていない…。
「今度、お菓子のお返しするね」
「いいの///。私が勝手に作って高瀬さんにあげてるだけだから」
「でも…」
「私、お菓子作りが趣味で食べてくれるだけで嬉しいから」
「分かった、いつもありがとう」
「うん///」
最初、竹本さんに声を掛けられたとき緊張したけど少しづつ話すようになって普通に話せるようになった。
竹本さんはクラスが違うのにいつも私にお菓子をくれる優しい子だ。
ただ、お菓子をくれる理由は分からないから一度さわちんに聞いことがある。
そしたら、私がいつも甘い物に飢えている顔をしているって言われた。悲しい…。
「休憩終わりー」
「あっ、休憩終わったから行くね」
「うん」
「竹本さん、もう遅いから気をつけて帰ってね」
竹本さんにタオルを返し、グラウンドに戻ると…私のタオルを持った芽衣が下を向いて暗い顔をしている。
具合でも悪いのだろうか。夕方だけど暑い気温にやられたのかもしれない。
芽衣はマネジャーの仕事を1人でこなして頑張りすぎだから。
「芽衣、具合でも悪いの?」
「大丈夫…」
「今日、早めに上がらせてもらったら?」
「だから、大丈夫だって!」
芽衣に怒られた。しつこく言いすぎたかもしれない。でも、顔色が悪かったから。
この後、なぜか恭子先輩に水希は乙女心が分かっていないと言われた。乙女心、私も女なのに…酷いよね。
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