第19話
「恭子先輩。貰って嬉しい、身に付ける物って何ですか?」
「何、唐突に」
「もうすぐ芽衣の誕生日なんです」
「うーん、そうだな…アクセサリー系かな」
「ネックレスとかですか?」
あれ?恭子先輩が笑っている。恭子先輩はクスクスと笑いながら「恋人へのプレゼントみたい」って言うから、慌てて反論したけどネックレスってやっぱり変だよね。
「ネックレスでいいと思うよ。芽衣ちゃん、喜ぶと思うし」
「でも…」
「ごめんって、気にしないでよー」
「しますよ」
私が恋人から欲しいと思った誕生日プレゼントがネックレスだったことを思い出したから、余計にプレゼントしにくい。
友達にあげるプレゼントでネックレスは重いよね…でも、身に付ける物って難しい。
学校では指輪やピアス・ブレスレット等が禁止で、こっそり見えないようにネックレスを付けてる人が多くてそれしか思いつかない。
きっと、ネックレスでも高くない物だったらそんなに重くはないはず。キモいとか…思われないはずだと言い聞かせる。
芽衣に嫌な顔されたら一生トラウマになり、誰にもプレゼントを渡せなくなる。
でも、ちゃんとした物をプレゼントしたい。芽衣が喜ぶ顔を見たいからだ。
「水希、アイス溶けるよ」
「はい…」
「落ち込まないでよー」
「別に…」
「芽衣ちゃんは水希からのプレゼントだったら嬉しいって喜んでくれるよ」
本当かな…最近、芽衣の考えてることが分からない時があり拗ねたり怒ったりで、私はいつも理解できず悩まされる。
私も女なのに芽衣の女心が分からない。
「芽衣ちゃんに似合うって思った物をあげるのが一番だよ」
「はい」
「もし、ネックレスをあげるつもりだったら少々高いやつね」
「何でですか?」
「プレゼントであげるネックレスはブランド物って決まってるの」
「えー、、そうなんですか。お金足りるかな…」
「まぁ、2万ぐらいでいいのあるよ」
2万円は高い!でも、お年玉と必死に貯めた小遣い合わせたら足りる。だけど、手持ちのお金が全部吹っ飛ぶ。
今月…お菓子が全く買えない。せめて15000円ぐらいじゃないと、何も出来ないよ。
「ここのお店だったら手頃の可愛いネックレスあるよ」
「あっ、本当だ!ここで買います」
「芽衣ちゃん、喜ぶよ」
恭子先輩にいいお店を教わったし期末試験が終わったら買いに行こう。
さっき見せて貰ったサイトで15000円ぐらいの可愛いネックレスあったし完璧だ。
それにしても恭子先輩がまたニヤニヤしている。いい加減、そのニヤニヤ顔の理由を教えて欲しい。この前からさわちんにもニヤニヤ顔されてモヤモヤする。
「芽衣ちゃん、水希に愛されてるね〜」
「えっ///、変なこと言わないで下さいよ」
「大事にしなさいね」
「芽衣は大事な友達です!」
大事な友達だから、初めての誕生日プレゼントをちゃんと選んでプレゼントしたかった。
それに、もう高校生だし中学生みたいにお菓子ではなくちゃんとしたプレゼントをしたくて、芽衣の喜ぶ顔が見たくて…悩ましい。
◇
頭が痛い…こんなにも勉強をしたのは受験以来で、部活も休みだしストレスを発散できる時がなくて悶々としている。
あと1日、あと1日期末試験を乗り切ればこの苦行から逃れられる。
早く、体を動かしたい。体が鈍っているし、朝のランニングも勉強に割り当てて筋トレしか出来ていない。
「芽衣…癒して」
「よしよし」
「甘い物食べたい」
「今日で試験終わりだし、クレープでも買いに行く?」
「お金ない…」
「お小遣い使い切ったの?」
「まぁ、そんなとこ」
私の計算ではプレゼント費用に15000円ぐらいと設定していたけど消費税という魔物が私を苦しめる。
消費税のせいで軽く2万に近い買い物になることをこの前気づいて、10円のお菓子を買うのを控えた。
プレゼントを買うまでの我慢だけど、買いに行くのは今日だし…今日さえ乗り切れば大好きなチョコレートが買える。
せめて10円チョコでもいいから食べたい。糖分が欲しい!極上の甘さのチョコを今日こそこの手に。チョコレート…。
「はい、グミあげる」
「やったー、グミだ!」
「試験頑張ってるから今日、私がクレープ奢ってあげるよ」
「ごめん、今日は予定がある」
「そうなんだ…」
「あっ、今週の土曜日さ…芽衣の家では誕生日パーティーとかはしないの?」
「しないよ、もう高校生だし」
良かった。もし家族でお祝いする決まりがあるのに私に合わせてくれていたら申し訳ないなって思っていた。
プレゼント費用が高いから、手持ちがないけどクレープぐらいは奢りたいと思っている。
プレゼントだけを渡すって寂しいし沢山喜んで欲しい。今日さえ乗り切ればチョコが食べれる!10円チョコ待ってろよ!
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