第7話
今日は芽衣と初めてのお出掛け。クレープを食べるために、朝ご飯を少し減らしてきた。
休みの日に初めて芽衣と会う。私服姿の芽衣を見るのが初めてで楽しみだ。
そんな私は可愛いスカートを履こうとしたけど、脚の筋肉を隠すためにズボンを着用している…悲しき陸上部の宿命。
可愛い格好をしたいのに、髪伸ばすのも邪魔くさくて女子力が一向に上がらない。
それに、私はずっと日焼けに怯えている。陸上部は常に外で活動し今は6月だから大丈夫だけど外で部活をする限り紫外線を一年中浴びることになる。
きっと私の女子力はこれからも上がることがないだろう。最近、諦めつつある。
「水希ー、お待たせ」
「あっ、可愛い服…」
「何?どうしたの…」
「似合ってて悔しいー」
「・・・褒めてくれてありがとう」
身長が小さく可愛い芽衣を抱きしめて、高い高いをしたい。もうロリコンだと言われてもいい…だってこれはずるい。小学生が頑張って大人っぽくしましたって感じだ(芽衣に言ったら怒られるから絶対に言わないけど)
やばい、、私と芽衣は女子力が違い過ぎる。私なんて大きめのパーカーにジーパン…女子力が皆無すぎて泣きそうだ。
「水希、男の子みたい」
「やだー、女子力が欲しいー」
「可愛い男の子」
「褒めてないから…」
やけくそ気味の私はクレープを思う存分食べると決めた。陸上部に入部してから食べても食べても運動しているから太らないし、運動部の特権をフル活用できる。
「芽衣、どれにする?」
「私はイチゴミルフィーユ」
「じゃ、私はガトーショコラクリーム」
「水希、チョコ好きだよね」
「うん。チョコ自体も好きだけど、すぐにエネルギーにもなるし疲れている時に丁度いいから」
お店から甘い良い香りが漂ってくる。芽衣に連れてきて貰ったお店は、雰囲気も可愛くてクレープの種類も豊富でいるだけで楽しい。
やっと、女子高生の青春をしているような気がする。服装は置いといて、注文したクレープ美味しい!チョコと生クリームが疲れた体に染み渡る。
「水希は甘い物が好きなのに、何でミルマロ否定派なの?」
「甘い牛乳が好きじゃない…」
「じゃ、苺ミルクは?」
「やだ…だって、コーヒー牛乳も嫌いだもん」
「コーヒにミルク入れるのに?」
「それとこれとは別物なの」
私にとって甘い牛乳が許せない。牛乳単体で美味しいのになぜ甘くする必要あるの?甘さは私にとっては邪魔者でしかない。
「頑固者ー」
「しょがないでしょ!あっ、芽衣のクレープ一口頂戴」
「いいよ」
「美味しいー!芽衣も私のクレープ食べる?」
「うん」
「はい」
ははは、芽衣が背伸びしてクレープを食べようとするけどギリギリ届いていない。
身長が13.5センチも違うとこんな遊びもできて楽しい。芽衣は口を膨らませて怒っているけど、怒ってる姿も可愛い。
「水希、届かない!」
「ごめん、ごめん。これでいい?」
「もう!」
私の身長は女子の平均より少し高いぐらいだ。芽衣の身長は小学生の身長ぐらいで、私が小学4年生の時の身長だった気がする。
「美味しい〜」
「よしよし、可愛いね〜」
「子供扱いしないで」
「クリームを口に付けてるから子供でしょ」
「早く言ってよ///」
なんて可愛い子でしょう。顔を赤くしながらティッシュで口を拭く芽衣を見ていると抱きしめたくなる。
あの感覚に似ているかも、小さい動物を見て可愛いって抱きしめたくなる衝動的な感覚。
芽衣はこのままでも良いと思うけど、背を伸ばしたいってことはやっぱり身長がコンプレックスなのかもしれない。
「水希、何…じっと見て」
「可愛いなって」
「馬鹿///。急に何言うの…」
「抱きしめたくなる」
「だから…やめてよ」
芽衣は犬に例えるとポメラニアンかな。ふわふわしてて、小さくて、目が大きくて愛くるしい。私、昔から犬派なんだけどお父さんが反対して犬が飼えなかった。
「芽衣、このあと行きたい所ある?」
「・・・あっ、何?」
「行きたい所ある?」
「えっと…どこでもいいけど、、水希とお揃いの物欲しいな」
「私と?」
「うん、、」
「そうだな〜、取り敢えず雑貨屋さんに行こうか」
芽衣とお揃い…今まで友達と揃いの物を持ったことないから何がいいのか悩む。
もし、彼氏とお揃いの物だったらペアのネックレスがいいけどね///。
いいよね、うん!いいよ。夢がある。服から時々見えるお揃いのネックレスがチラリズム的な感じで最高だ。
「おぉ、色んな物があるね〜」
「何かいいのあるかな」
「あっ、芽衣。これはどうかな?お揃いのスマホケース」
「可愛い!これにしよう!」
芽衣が気に入った物があって良かった。ちょっと照れ臭いけど、友達とお揃いの物を持てることが嬉しい。
芽衣は高校に入って一番の親友だし、常に一緒にいて姉妹みたいな存在だ。リアルでは鬼の軍曹であるお姉ちゃんがいるけど。
「はぁ、また明日から体育祭に向けて忙しくなるね」
「水希みたいに生徒会や体育祭実行員じゃない人は楽だよ」
「そうなの?体育祭、楽しみだけど裏方は大変だよー」
「もう家に帰る?」
「まだ早くない?」
「でも、水希が疲れてないかなって」
「芽衣といると楽しいから疲れも吹っ飛ぶ」
「そっか///」
芽衣の前であんまり疲れたって言わない方がいいと反省する。せっかくの日曜日だし、もっと遊ばないと勿体ない。
お揃いのスマホケースをゲットしたし良い1日になった。大好きな芽衣といると楽しくて疲れている私の活力になる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます