第8話

はぁはぁ…しんどい。今日から部活でクラウチングスタートの練習や100mラップ計測をやれることは嬉しいけど、まだ体ができあがってないし慣れてないから悲鳴をあげる。

息がすぐに上がり、今にも倒れそうだ。



「水希、大丈夫?」


「うん、、」


「水、持ってこようか?」


「大丈夫、、」



芽衣に心配をされている。原因は私の体力がないせいだ。情けないよね。

だけど、分かったことがある。私は後半は伸びるけど、スタートが下手で前半のピッチが全然上がらない。

もっと練習をしないといけない…他の選手に前半で離されてしまう。筋肉は付いてきたけど体幹が弱く瞬発力が遅く加速ができない。



「芽衣ちゃんー」


「あっ、はい」


「私は大丈夫だから」


「うん…」



後でフォームについて顧問の先生に聞いてみよう。難しいよ…中学生の頃はフォームなど気にせず走っていたけど、今はちゃんとやらないとダメだって実感する。基礎ができてない私は他の1年生と比べて一歩遅れている。



「水希は体幹が弱いから、もっと鍛えた方がいいよ」


「恭子先輩、、」


「腕立て伏せと腹筋と背筋とスクワットを30回3セットを毎日やった方がいい」


「分かりました…」


「こら、情けない顔するな」


「だって…」



体幹は鍛えたいけど身体中が筋肉ムキムキになりそうで怖い(女子力…)

最近の1番の悩みは私のお胸の成長だ。私のお胸は発展途上の筈なのに成長が遅すぎる。



「あっ。部活対抗リレー、生徒会に負けないからね」


「恭子先輩、出るんですか?」


「うん」


「えー、だったら勝てないですよ」


「こら、する前から勝負を諦めるな」


「だって…恭子先輩早いし」


「5人のバトンリレーだからどうなるかは分からないよ」



確かに一対一だと絶対に勝ち目はないけど、チームリレーだとワンチャンあるかもしれない。それに、陸上部は短距離選手を選出できるのは2名までと決まっている。



「陸上部に勝ったら、アイス奢ってあげる」


「マジですか!」


「勝てたらね」


「やった!絶対に勝ちます」


「あっ、食べ物に目が眩んだな」


「へへ、楽しみにしてますね」



憂鬱だった部活対抗リレーがアイスでやる気が出てきた!それに陸上部に勝てたら励みにもなる。

恭子先輩が優しい。顔も綺麗だし、私も恭子先輩にみたいになりたいと憧れる。



「お互い頑張ろうね」


「はい!」



あと、1週間後には体育祭だ。1週間でどこまで体幹や体を鍛えられるか分からないけど、先輩に言われたメニューをこなすと決めた。

恭子先輩にも良いところを見せたいし、もし生徒会が負けたら鬼軍曹のお姉ちゃんから雷が落ち大変なことになる。







私は生徒会室で事前準備の最終チェックをする。明日は体育祭で、使用する道具などの確認することが多くなかなか終わらない。

流石に今日はグラウンドを使う部活は中止で1つのことに集中できるけど初めてのことが多く大変で頭が痛い。



「水希…いる?」


「あれ、芽衣どうしたの?」


「手伝うことあるかなって」


「そうだな…あっ、ハチマキを数えてくれる?」


「クラスの人数分あるかチェックするね」


「うん、ありがとう」



うーんと、うーんと…これは終わったし、あとはこれのチェックをして準備して最後はグラウンドに確認に行こう。芽衣が手伝ってくれたお陰で思ったより早く帰れそうだ。

やっとで明日、体育祭を迎える。この1週間、ランニングや体幹を鍛えるトレーニングを頑張ったから明日成果がでてほしい。



「こっち、終わったよ」


「ありがとう〜、こっちもあと少しだから芽衣は先に帰っていいよ。遅くなるし」


「最後まで手伝うよ」


「もう遅いし十分だよ」


「でも…」


「本当にあと少しだから」


「分かった…」



あと10分ぐらいで終わると思うし最後にグラウンドの最終チェックをすれば大丈夫だけどこれ以上芽衣に迷惑をかけたくなかった。

家に帰ったらストレッチを入念にして、明日のために今日は早く寝なれけばいけない。

体調は万全で挑みたいし、生徒会メンバーは明日早めに来ないと行けないのよ…。



「やっしゃー!終わった」



やっと事前準備か終わった。あとは帰る時にグラウンドを見たら帰れる。

生徒会の部屋の鍵も閉めたし、あとは職員室に鍵を返せば…あれ、、靴箱にいるの芽衣?もしかして待っててくれたの?



「芽衣!」


「あっ、終わったの?」


「うん、先に帰らなかったの?」


「せっかくだから、一緒に帰ろうかなって」


「危ないよー、外も暗くなってきてるのに」


「大丈夫だもん、水希は心配性すぎる」


「当たり前でしょ」



芽衣は時々頑固で、待っててくれるのは嬉しいけど心配にもなるから困る。

前も靴箱で3時間も待っててくれたし、芽衣は優しすぎる。それに帰りが遅いと私が不安になるし、芽衣は可愛いから危ないよ。



「鍵を職員室に返してくるね」


「私も一緒に行く」


「寂しがりやめ」


「うるさい!早く行くよ」



体育祭が終わったら芽衣に何か奢らないと申し訳ない。いっぱい助けてもらったし、手伝ってくれた。

確か芽衣の誕生日は7月だったはず。せめてもの感謝でお小遣いを貯めて、できる限りの最高のプレゼントをあげたい。


女の子相手に愛おしいって初めての感情だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る