第5話
うぅ…緊張して吐きそうだ。先程、今年の生徒会の選挙が終わった。
生徒会長の立候補が3人、副会長が2人、会計2人、書記3人、庶務1人。
私はお姉ちゃんに庶務に立候補しろと言われ、、見事に当選!だって、私しか立候補者がいなかった。嵌められた気分だ。
そして、お姉ちゃんも見事に生徒会長に当選した。投票までの2週間、周りに対する愛想の振りまき方がえげつないくらい凄かった…姉ながら見事すぎて呆気に取られた。
はぁ、、生徒会長・副会長・会計・書記…みんな2年生なのが納得できない。何で1年生は私だけなの?お姉ちゃんの陰謀?
何で他の1年生はボロ負けなの…おかしいよ、普通1人ぐらいいるはずなのに。
今から新生徒会のメンバーが壇上に出て、生徒会長であるお姉ちゃんが演説する。
みんなの目線が壇上に注目している。そんなに見ないで…注目されるのが苦手な私は吐きそうだ。お姉ちゃんは何で堂々とそんなに話せるのだろう?鉄の心臓すぎる。
「お疲れ〜」
「芽衣…疲れた」
「立ってただけじゃん」
「視線が怖かったー」
「よしよし、頑張ったね」
「何で今年の1年生はボロ負けしたのかな…」
「うーん、今年の2年生の役員さん…みんな有名な人ばかりだからじゃない?」
「えっ?」
嘘…知らなかった。私以外の新生徒会のメンバーはそれぞれの部活での有名な人って知らなかった。
私なんて隙間で残っていた庶務に立候補し当選する羽目になった。
帰りたい…でも、今日から生徒会は実働する。部活もやりながら生徒会って無理だ。
部活優先でやるから、生徒会の集まりはイベントがある時以外は多くて週一でいいみたいだけど、2年生に囲まれながら放課後を過ごすなんて地獄だ。
「芽衣…助けてー」
「手伝えることがあったら言ってね」
「じゃ、庶務を変わって」
「それは無理」
「そんなー、もうすぐ体育祭があるから生徒会はフル活動するって言われて泣きそうなのに」
生徒会の初めての活動は、体育祭の生徒の指導やホームルームでの活動の声掛け、競技運営などでやることが多い。
部活をしながら生徒会、、それに体育祭は運動部の活躍の場だ。部活対抗リレーもあるし、私は生徒会の一員としてリレーに出ることが決まっている。
1つ文句を言いたい。部活対抗のリレー、1年生がアンカーって何でだ!普通は上級生でしょ…1年生のお披露目だからって最悪だ。
プレッシャーで倒れそう!吐く!泣く!早く来年になってほしい…そしたら任期が終わり解放される。今日はもう帰りたい。現実逃避したいよ。
「芽衣、今日は先に帰ってね」
「生徒会、そんなに遅いの?」
「分かんない、でも体育祭まであと1ヶ月もないし今日から色々と動くみたい」
「そっか…分かった」
はぁ、憂鬱すぎる。私の青春が、どんよりとした曇り空に覆われている。
青い空はどこに行ったの。今にも雨が降りそうな空がより私を落ち込まさせる。
明日は体育祭実行員と打ち合わせだし、部活は打ち合わせが終わってから出ないといけないしハードすぎる。
せめて共学だったら…ほら、よく聞くよね。イベントはカップルが出来やすいって。女子校だと無縁すぎて泣きそうだ。
部活と生徒会で私の放課後は終わるし、これじゃ高校に何しに来てるか分からない。勉強しに来ているんだけどね!
◇
「はい、唐揚げあげる〜」
「いいの?」
「今日は特別」
「天使!じゃ、私は人参あげる〜」
「水希が嫌いなものを渡すな」
お母さんも酷いよ。私が人参が嫌いなの知ってるくせに、人参のグラッセって…人参感凄いし。せめて細かく刻むとかしてくれたらいいのに、これは流石に無理だ。
お姉ちゃんは人参好きなんだよね、、お母さん、お姉ちゃんが好きだから私のお弁当にもついでに入れたはずた。
「お腹いっぱいになったら眠くなる…」
「えー、寂しい。水希起きてよ」
「眠いー」
「やだ、ダメ」
「寂しがり屋」
「日曜日、どこに行くか決めよう」
「うぅ、分かった…」
そうだった、日曜日は芽衣と遊ぶ約束をしていたのに生徒会のことで頭がいっぱいで忘れていた。
日曜日、何しよう。ショッピング・映画・散歩?うーん、これぐらいしか思い付かない。それか、家でまったりゴロゴロとか。
「私ね、クレープ食べたい!」
「クレープ?」
「うん!お気に入りのお店に水希を連れて行きたかったの」
「じゃ、クレープ屋さんに行って買い物でもする?」
「うん」
久しぶりにクレープを食べる。高校に入学して、部活と中間試験と日々を終われのんびり出来なかった。
部活が終わり家に帰った後、すぐにバッタンキューだし、まだ体力がないから休みの日も寝てばかりいた。芽衣とも今度の日曜日が初めて学校以外で遊ぶ日で楽しまなきゃ。
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