第2話

【青春:せいしゅん】

若い時代。人生の春にたとえられる時期。希望をもち、理想にあこがれ、異性を求めはじめる時期。




意味をちゃんと調べた。異性という言葉に顔が緩む。やっぱり、青春に憧れる。

今日から私は高校生になる。まずは友達を作り、部活は…一応生徒会を優先で考えないといけないけど、私が生徒会に受かるはずないし深くは考えないでいいと思っている。

だから、私は好きなようにする。お姉ちゃんに大事な高校時代を邪魔させない。



「あっ、水希いた」


「お、、お姉ちゃん。何でいるの。ここ1年の教室だよ」


「知ってるわよ。水希、部活は私と同じ陸上部にしなさい」


「何で、お姉ちゃんが勝手に決めるのー!」


「水希、足速いし丁度いいでしょ」


「高校では通じないよ」


「分からないじゃん、それに私と同じ部活に入っていた方が生徒会をやりやすいからよ」



うわぁ、最悪だ。生徒会・部活までも私はお姉ちゃんの悪の手から逃げれない。

私の青春はどこ!男子はどこだ!見渡しても私より女子力の高い女の子しかいない。

えっと、隣の子の名前、何だっけ?あっ、思い出した。植村芽衣だ!名前も顔も可愛いなんてムカつく。神様は不公平だ。


隣の子は身長が小さく、可愛くていかにもモテそうだ…私なんて身長が162センチ。

中途半端すぎる。せっかくならモデルになれるぐらいの身長が欲しかった。

隣の子にさっきからこっそり笑われているしこの状況から早く抜け出したい。姉妹で同じ高校に入学するものじゃないって…後悔先に立たずた。



「じゃ、今日の放課後グラウンドに来てね」


「えー…本当に言ってるの?」


「当たり前でしょ、じゃなきゃ1年の教室まで来ないわよ」


「でも…」


「あとで、ジュース奢ってあげるから」


「分かった…」



はっ、しまった。これじゃ、ジュースに釣られて陸上部に入るみたいだ。

恥ずかしい///、さっきから隣の女の子が楽しそうにジッと見てくる。

私は隣の女の子からしたら、食い意地が張った女の子の印象になってしまった。


新しい友達できるかなって、ただでさえドキドキしているのに最悪なイメージがついた。

ときめく女子高生生活が出だしで転けて私はスタートダッシュに失敗した。

お姉ちゃんのせいで周りからもジロジロ見られているし、お姉ちゃんのこと綺麗とか聞こえてくるし良いことが何一つない。



私に甘くスイートな恋は訪れるのだろうか。お腹が空いた…パンが食べたい、お菓子が食べたい。遅刻しそうになり、朝ご飯を食べ損ねた私のお腹がグーと鳴りそうな勢いだ。

やっと、お姉ちゃんが教室を出て行き私は机に体を伏せた。疲れと空腹で動けない。


お姉ちゃん、同じ学校に行くなら起こしてくれてもいいのにと恨み節を言いたい。

今日は入学式だけだから短時間で終わると思って空腹も我慢できると思ったのに悲しい。

居残り決定だし、来る途中お母さんにパンを買って貰えばよかった。お腹が空きすぎて、私はこのままでは餓死しそうだ。



「(ちょんちょん)ねぇ、具合でも悪いの?」


「お腹空いたー」


「グミだったらあるよ。いる?」


「いる!」


「ふふ、はい」


「ありがとうー」



隣に座っている可愛い女の子から神のお恵を得た私は甘酸っぱいグミを口の中に入れ、ゆっくりと味わう。

美味しい…美味しすぎて更にお腹が空いてきた。とても1個じゃ足りない。



「(ぐぅー)」


「全部食べていいよ」


「今度、お返しにお菓子あげるね…」


「じゃ、マシュマロがいいな」


「マシュマロ?いいけど、そのまま食べるの?」


「ホットミルクに入れるの」


「えー、それはない」


「酷い!飲んだことないくせに」



いやいや、ホットミルクにマシュマロを入れるなんてない。ココアやコーヒーだったら分かるけど牛乳は絶対に有り得ない。

白い飲み物に白いマシュマロって、どれだけ可愛いことをするのってツッコミを入れたい。もしかしたら、顔に比例するのかも。


それとも白い飲み物に白いお菓子を合わせるのが女子力が高い証なのかもしれない。

私には無い発想だった。思いついてもやりたくないけど、発想が可愛くてムカついてくる。

隣の子は私にないものを沢山持っており、急に眩しい存在になった。



「グミ返して」


「やだ!お腹が空いて死にそうだもん」


「ミルマロにケチをつける人にはあげない」


「ミルマロって、、ははは!変なネーミング」


「返せー」


「これはもう私の物だ!今度、マシュマロあげるからいいでしょ」


「ついでに牛乳もくれたら許す」



うげ、、マシュマロと牛乳ってグミの値段より高い。でも、お腹が空いてるから全部食べたい…全てミルマロが悪いんだ。

だって、変な名前だしツッコミたくなる。



「ねぇ、何で牛乳とマシュマロ合わせるの?普通さ、ココアとかコーヒーに合わせるのに」


「し、、身長…が伸びるように」


「ぷっははは!女子は高校生になったらもう身長は伸びないよ」


「わ、、分からないじゃん!」


「身長何センチ?」


「149.5センチ…」


「149か」


「149.5!」



私もお姉ちゃんも身長が160センチ以上だし、いくら女の子でも149.5センチは小さい。

でも、顔は可愛いから身長が小さいとよりモテそうだ。男子って…小さい女の子好きな人多いし。まぁ、ここは女子校だけどね!!!

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