第2話
俺が困惑しつつも帰還しようとしている頃、ダンジョンの最奥には先程の四人と、そんな彼らと対峙するノーライフキングがいた。
「貴様を葬り去って、ここに強制的にさ迷わせている魂たちを解放してやる!!」
そう息巻くのは、四人の中でリーダーとして動く男の剣士。
「クカカカ、ソンナコトノタメニワザワザ乗リコンデ来ルトハ御苦労ナコトダ。」
「こいつの戯れ言にいちいち反応しても意味ないから、さっさと殺ろう。」
剣士の言葉に返答したノーライフキングの言葉をバッサリと切り捨てるとともに戦闘開始を促したのは女盗賊。
「そうですね。憐れな魂に安寧を。」
「速く終わらせて飯でも食いに行こーぜ!!」
女盗賊の言葉に同調するように女神官と男戦士が答える。
「クカカ!コノ我ヲ前ニシテ軽口ヲ叩ク余裕ガアルカ。ダガ、ソノ余裕ガイツマデ続クカナ?
キタレ、不死の軍団、イモータルレギオン」
ノーライフキングの呼び掛けに呼応するかのように地面から何百、何千の骸骨軍団が涌き出てきた。
漆黒のローブを身に纏う骸骨、ノーライフキングの対となるようないかにも騎士のような鎧を着た骸骨たちによる蹂躙が始まった瞬間だった。
なぜか機敏に動ける肉体を得た俺は、ノーライフキングのいる場所へと向かっていた。そして、目的地に着いたとき眼前に広がっていたのは先程対峙した四人組が地面に倒れていた。
「これは!?一体どういうことだ。」
彼らは俺がこれまで見た中でも強い方だったはず。そんな彼らを葬れるほどノーライフキングは強いのか?
「貴様ハ……モシヤ我ガ子カ?……シカシ、ソノ姿。クク、クカカカクカ!ツイニ生マレタカ。我ガ追イ求メテイタ個体ガ。」
そう言いながら俺の方へと向かってくる。
「サァ、我ガ子ヨ。我ニソノ身ヲ寄越スガイイ。」
そう言われて最初に浮かんだ疑問を投げ掛ける。
「えっと、俺の身を受け渡すとどうなる?」
そう聞くとノーライフキングはなんの抑揚もなく一言。
「魂ガ消滅スルダケダ。我ノタメニ魂ヲコトガデキルノダ。本望ダロウ?」
その答えを聞いた瞬間、俺の中で何かが壊れる音がした。
「ふん!そんな下らないことに使われるくらいなら!!俺は俺なりの魂の使い方をしてやる!!!」
そう言った瞬間、ノーライフキングは心底驚いたというような反応をしたあと、一言。
「従ワヌナラ、従ワセルマデ。」
ダンジョン史上初めての反逆の始まりだった。
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