即戦力
水谷一志
第1話 即戦力
一
「俺は、即戦力になれる…!」
そう思って、この球団にやってきたのに。
二
俺は、今までひたすらボールを投げ続けてきた。
そして昔の俺に比べて、球速は確実に上がっている。
俺は今なら160kmのストレートを投げることも可能だ。
それに変化球もキレのいい球を投げられる。
スライダー、緩いカーブ、それに今流行りのスプリット、ムービングボール―。
とにかく俺は、一般的なピッチャーに比べて多彩な球種を持っている。
三
それに俺は、他のピッチャーのフォームなんかも研究してきた。
これは、昔の俺では考えられなかったことだ。
こんな風に俺は進化してこの球団にやってきた。
しかし、しかし―。
四
監督は、なぜ俺を試合で使ってくれない?
俺はこんなにスペックが高いのに!
俺はこんなに努力しているのに!
もちろん開幕投手で、とは言わない。
ただ、せめてローテーションピッチャーとしてチャンスを与えて欲しい!
五
確かに俺は昔からいるベテランに近い存在だ。
でも俺は昔と違い、こんなに進化しているのに!
それを監督は分かっているのか?
俺は間違いなく、即戦力になれるのに!
六
「いやあ~まさしくこれは【即戦力】ですね、監督!」
「ああ、こんなにスペックが高いとは思わなかったよ。」
「何せ《相手ピッチャーのクセ》も再現できるんだからな。」
「そうですね、買って良かったです、この【ピッチングマシーン】!」 (終)
即戦力 水谷一志 @baker_km
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