第10話 再会と最大の喜び
私は久しぶりにY子ちゃんと再会をした。
Y子ちゃんを見るのは半年振りだろか?
それは同級生の結婚式に、S子の付き添いで行った会場であった。
Y子ちゃんは心なしか髪が長くなって、そして大人びた雰囲気になっていた。
『久しぶりだね~元気だったY子(笑)』
そう言ってY子ちゃんに駆け寄ったのはS子だった。
『うん元気だったよ~S子!もう三ヶ月振りだね(笑)』
あのファミレスの一件以来、彼女はどうしているのか気になっていた。
S子ともY子ちゃんの話しをあえてしなかったが、二人は今でも連絡を取り合っていたのだ。
それは私が知らないことだったが、二人の仲が決裂していないことに喜びを感じた。
『あ!TETSUOさん、こんにちは(笑)』
私の存在に気付いたY子ちゃんが挨拶をしてくれた。
『元気そうだね~』
私はあえて短く挨拶をした。
そう言えば悪友Hとはあの一件以来、私は会っていなかった(汗)
正直、その方がHにとっても良いだろうと思った。
私の顔を見るとS子のことを思い出してしまうだろうからと。
そしてY子ちゃんとS子の幼馴染である同級生の結婚式はフィナーレを迎えていた。
結婚式場の外に設営してあるチャペルで、幸せそうな新婚の二人を見ることが出来た。
そして、そのチャペルから下りて行く階段の両側には、親戚や友人が新婚の二人を祝福するようにライスシャワーを浴びせていたのである。
真っ青な空に白い無数のシャワーが舞い上がって、初めて見たその光景は男の目から見ても素敵な光景だった。
『おねでとう!おめでとう!』
会場にいる皆が新郎新婦へ、ライスシャワーと共にお祝いの言葉も投げかけていた。
そして結婚式の最後は新婦が投げるブーケの争奪戦が始まるのだ!
それは独身女性の願掛けみたいなものだろうか?
階段の少し上にいる新婦は後ろを振り向き、そして独身女性の集団へとそのブーケは天高く投げられた。
勿論、その集団にはY子ちゃんとS子も参加していた。
そして集団の頭上に舞い降りたそのブーケは揉みくちゃにされながら、最後は一人の女性がしっかりと両手で掴んでいた。
そのブーケを掴んだ次の幸せな女性は、なんとY子ちゃんだった!
彼女はブーケを胸元に抱いて、そして笑顔のY子ちゃんが印象的だった。
幸せそうな彼女の笑顔を見れて私も嬉しい気分になれたんだ。
『おめでとう!次はY子ちゃんの番だね♪』
会場の皆にY子ちゃんは祝福された。
そしてY子ちゃんと別れた後に、今は彼氏が居るとS子から聞かされた。
大学へ進学したY子ちゃんは、その大学で今の彼氏と出会ったのだ。
そしてS子はY子ちゃんの彼氏と会っていた。
S子が言うにはその彼氏の雰囲気が「TETSUO似」なんだとか(笑)
そんな彼氏を選んだY子ちゃんは、まだ私に未練があるのではとS子が推測していたのだ。
『良かったね~Y子!じゃあ、またね(笑)』
私はその会場で祝福をするS子のことを、遠く後ろから見つめていた。
そしてS子が純白のウェディングドレスを着た姿を想像したのである。
ウェディング姿の隣には、もちろん私が居ると思っていた。
それが彼女にとって『最大の喜び』だと信じていたから。
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