第6話 運命はなるよにしかならない
まだ四人でグループ交際をしていた当時のことを、私とS子の視点からエピソードを語ったことがあった。
私はY子ちゃんと夜景を観に出掛けたことを話した。
するとS子は物陰に隠れながら、友人Hと一緒にその場面を見ていたんだと。
もしかしたら私がY子ちゃんと如何わしい行為をしないか?
S子はドキドキしながら、二人を見つめていたと聞かされた!!!(驚)
自分が逆の立場だったらどうだったんだろうか?
小心者の私なら友人Hと一緒にいるS子を見ながら、胸が張り裂けそうになって直視できなかったであろうと。
『運命はなるようにしかならないから』
そう言うと彼女は笑いながら、私にお道化て見せた。
そして彼女はひょうひょうとした顔で話しを続けた。
いつも四人で行ったファミレスでは、私とS子は向かい合わせに座ることがあった。
私がS子を意識し始めた頃から、私は正面に座ることに抵抗を感じていた。
『S子を意識して顔を直視することが出来なかったな~』
私は彼女と目を合わせないようにしていると、彼女は逆に私の瞳をじっと見つめていたのだと言った。
『TETSUOと目が合うと、実はドキドキが止まらなかったよー』
『でも私、女優だから誰にも気付れなかったでしょ♬』
平然とした彼女の態度からは、それが本当に分からなかった。
そして、私はS子がファミレスで何を注文するのか興味があった。
彼女が必ず注文していたのが食後の『レアチーズケーキ』だといつしか知った。
『あそこのファミレス、レアチーズケーキが美味しいよね♪』
私は『モンブラン派』だったけど彼女に合わせて、いつしか『レアチーズケーキ』を注文するようになったと打ち明けた。
『うん!また一緒に食べに行こうね!!!』
そう彼女が嬉しそうに答えると、次に彼女からは四人で京都へ泊まりに行った時のエピソードを語り始めた。
それは宿泊料金が安いユースホステルへ泊った時の事だった。
宿に着いて案内されたのが30畳ぐらいある大部屋で、後から当日の宿泊客が相部屋になるかもしれないと告げられていた。
古い木造建築は京都の雰囲気を醸し出していたが、そこは幽霊が出てもおかしくないほどの雰囲気だった。
そこで「怪談話し」をするって提案があって、四人が思い思いの怪談話しをしたのだ。
まあまあビビリな私は平静を装っていたけど、S子が「学校の怪談」を語ったことは今でも忘れないエピソードだ!
忘れ物をしたA子さんが薄暗い教室に戻ると「長い髪と白装束」の女生徒が、ひっそりと教室の端の方に立っていた。
A子さんがその女生徒に話しかけると、その女生徒の上半身だけがA子さんめがけて飛んで来たのだ!!!
S子はその上半身が飛んでいる姿を私に向かって再現するんだけど、驚いた私を見てS子は大笑いした!
そして結局、その相部屋は四人の貸し切り状態になったが、今思うと男女同部屋ってあり得ないシチュエーションだった。
四人は深夜までトランプゲームを行い、そのゲームで負けた人がビールを一気飲みをするルールになっていた。
若者に有りがちな展開で、ゲームにもアルコールにも弱い私が一番に潰れて寝てしまった。
友人HとS子はお酒が強く、そして最後は二人だけで飲んでいた。
獣並みの友人Hは酔うこともなく、いつしか三人が酔って寝てしまった。
でも、それは友人Hの企みでもあったのだ。
Hは酔ったS子の衣服を脱がし、そして下着だけになった無抵抗の彼女へ、今まさに上から覆い被さろうとした次の瞬間!!!
『やめろ!このヘンタイ野郎!!!』
私がそう叫びながら起き上がったのだ!
その行動は酒に酔って全く記憶がないのですが(汗)
そのことで眠りから覚めたS子曰く、私の言動でHはそれ以上の行為を諦めたと言うのだ。
もうそれは衝撃の事実だったよ!
でも、S子はそのエピソードを笑いながら話していた。
『TETSUOが私を守ってくれたんだね♪』
ポジティブなS子の勘違いだけど、結果オーライだと私は心底思った。
そして彼女はいつも話しの最後にこう言っていた。
『運命はなるようにしかならないから』
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