第4話 彼女がくれた愛のカタチ
『恋は盲目』だと人は語り、恋をすると誰しも自分だけの観点で物事を判断してしまうのだと。
そして誰の助言も入ってこなくなって、正しい判断が出来なくなってしまうことがあるようだ。
S子は私と付き合っている時に沢山の『愛のカタチ』をくれたんだ。
愛ってそれぞれのカタチがあるけど、本当の意味での『愛のカタチ』なんて誰の目にも見えない。
でも、彼女は私に『愛のカタチ』を分かり易く語ってくれたんだ!
『貴方が浮気をしたって、それはただの浮気だから私はそれを許すわ』
『この世の中のすべての人を敵に回しても貴方のことを必ず信じてる』
『貴方がもしも過ちを犯しても、私も一緒にその罪を償うからね』
そういう真面目で勇気があって朗らかな女性は、異性じゃなくて好きになるタイプだと思った。
ましてやそれが好きな女性からだったら、その『愛のカタチ』は尚更嬉しいに決まっている!
もちろん浮気なんてする気もさらさら無かったし、その『愛のカタチ』を自分も彼女へいつしか表現をしたくなった!
『これはS子だけを思う俺の気持ちだから』
私は愛車の助手席にあるダッシュボード上に、『S子専用』と言うステッカーを貼り付けた。
それは友人だろうが家族だろうが、何人たりとも『S専用の助手席』には座らせない意思表示だった。
親友からは冷やかされ、両親からは恥ずかしいから止めてくれと言われた。
その当時は人を愛することの何が恥ずかしいのかと逆に疑問に思ったぐらいだ。
『嬉しいけど少し恥ずかしいね(笑)』
S子はそう言って喜んでくれた。
いや、それは私の自己満足であって、S子も本心から喜んでいる訳ではなかったのかもしれない。
この行動こそが正に『恋は盲目』なんだろう。
そしてS子と会えない日は毎晩のように電話で話しをした。
『じゃあーまた明日ね♪』
そう挨拶を交わして電話を切ろうとしたけど、彼女は絶対に自分から電話を切ろうとしなかった。
『TETSUOが電話を切るのを私は待ってるよ♫』
文章にしても恥ずかしいけど、これも嬉しい『愛のカタチ』だよね(笑)
実はフリーの女性とお付き合いをしたのは初めてだった自分。
過去に付き合った女性には彼氏が居たし、そんな女性しか知らなかった。
だから今の心境は晴れ晴れとして、全てが新鮮に感じた訳ですよ!
『じゃあ電話を切るね!また明日(笑)』
そう私が告げる。
『うん!また明日ね♪』
そう彼女が言い返して電話は切れた。
だが、そんなやり取りの会話は、電話を切る30分ぐらい前からずっと繰り返していたのである(笑)
二人で週末の計画を立てたり、旅行のプランを考えたり、そんなことをするS子との何気ない毎日が楽しくてしょうがなかった。
そんな幸せな「愛のカタチ」は、永遠だと信じていた自分がそこには居た。
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